父親
沙耶、お誕生日おめでとう。
沙耶
ありがとう。
お父さん。
お父さん。
父親
早いもんだな。
お前、幾つになったんだ?
お前、幾つになったんだ?
沙耶
七つだよ。
お父さん。
お父さん。
父親
……もう、十七になるのだな。
沙耶
七つだよ。
お父さん。
お父さん。
父親
中々会いに来れなくてごめんな。
寂しかったろう。
寂しかったろう。
沙耶
んーん。
お父さん、仕事で忙しいの、解ってるから。
お父さん、仕事で忙しいの、解ってるから。
父親
沙耶はイチゴが好きだったよな。
ほら、ショートケーキ買ってきたんだ。
ほら、ショートケーキ買ってきたんだ。
父親
沙耶
ほんと?!
すっごく、うれしい!!
すっごく、うれしい!!
父親
お父さん、本当はもっと沙耶の側に居たかったんだよ。
沙耶
解ってるよ。
「仕事」なんでしょ?
「仕事」なんでしょ?
父親
俺が、もっとしっかりしてれば良かったんだよな。
沙耶
そんな事無いよ。
それ、たぶん関係ないから。
それ、たぶん関係ないから。
父親
あいつにも、もっと厳しく言っていれば、こんな事にはならなかったんだよ。
沙耶
やめて。お父さん。それは違う。
父親
……ごめんな。
こんな話するつもりじゃなかったのにな。
こんな話するつもりじゃなかったのにな。
沙耶
お父さん……
父親
それでも、やっぱり、あいつが憎くて仕方ないんだ。
沙耶
お父さん!
沙耶
やめて!!
父親
俺は、あいつを。
沙耶
やめて!お母さんは悪くない!!
父親
あいつが全部悪い。
沙耶
違う!違うの!!
沙耶
お父さんがそうやって、お母さんを責めるから!
沙耶
そうやって、お母さんを怒鳴ったり、叩いたりしたから!だから!!
父親
なんだって、こんな事に。
あいつが。
あいつがあんな性悪でだらしない女だったのが悪いんだ。
あいつが。
あいつがあんな性悪でだらしない女だったのが悪いんだ。
沙耶
お父さん!気付いて!違うのお父さん!!
父親
………
沙耶
おとう、さん……
父親
そろそろ、帰るよ。
沙耶
お父さん。
沙耶
お母さんが、何故
沙耶
私を殺してしまったのか。
-
沙耶
気付いて。
---------- ひとーつ ひとーつ 数える。 ひとーつ ひとーつ ひとーつ 今日は私の誕生日。 私の前に父が来た。 泣いている。 「もう、十七になるのだな」 ひとーつ。 #呟怖
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