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ラブシーンNG(だったはず)

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ラブシーンNG(だったはず)

3 - 第3話 脚本変更のお知らせ心臓に悪すぎる

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2025年10月04日

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第3話 脚本変更のおしらせ、心臓に悪すぎる

ある日の夜。スタジオの一室。 えとは台本を手に、プロデューサーの話を聞いていた。 そこで告げられた言葉はーー

プロデューサー

第7話、ベッドシーンを入れることになったから。

プロデューサー

恋人役として、ここで一気に関係を深めたいって脚本家の要望でね

et.🍫

……はい?

一瞬、聞き間違いかと思った。 けれど渡された新しい台本には、しっかりと記されていた。

『静かにベッドに倒れ込む二人。視線が重なり、そっと唇が触れ合う。』 『そのまま、服のボタンに手が掛かり、画面がフェードアウト。』

et.🍫

いやいやいやいや

思わず声が漏れた。

et.🍫

ちょっと急すぎませんか

プロデューサー

視聴者もいい感じに“沼ってる”からさ、ちょっと攻めてこうってことで。

プロデューサー

で、相手のなおきりくんにはもう伝えてあるから

et.🍫

……え?

その瞬間、扉が開く。 現れたのは、当然のように笑ってるなおきりだった。

no.🌷

やっほ。新台本、受け取った?

et.🍫

……おまえ、知ってて来たの?

no.🌷

うん。ほら、えとさんの反応、見たくて

et.🍫

……

キィィィィィィィ…… 心の中で何かがきしむ音がした。

no.🌷

まぁ、演技だしね

さらっと言うなおきり。 けれど、その瞳はほんの少しだけ、揺れていた。

no.🌷

じゃあ、今夜は軽く動きだけでも確認しとく?明日のリハに向けて

et.🍫

ベッドシーンを、リハーサルで?

no.🌷

動きの確認、大事でしょ。……役者なんだし

なおきりさんの言葉は正しい。けれどーーずるい。

et.🍫

わかってる。演技。でも、でも……

結局、私ははその夜、控え室に用意された”簡易ベッド”でリハーサルをする事になった

no.🌷

……じゃあ、このへんに倒れ込む感じで

なおきりさんが、私の腰を軽く支えてベッドに誘導する。 自然な動作。プロのそれ。でもーー心臓は騒がしい。

no.🌷

距離、こんなもん……かな

なおきりさんが、顔を近づける。目が合う。

no.🌷

……さっきの台本、“触れるだけのキス”だったけど、

et.🍫

……だったけど?

no.🌷

僕、正直どこまで"演技"にできるか、ちょっと自信ないかも

et.🍫

......なにそれ

no.🌷

だってさ、えとさんの顔、真っ赤だし

et.🍫

うるさい......

えとが顔を背けると、なおきりの手がすっと伸びて、そっと彼女の頬に触れた。

no.🌷

......ふざけてないよ

et.🍫

......は?

no.🌷

さっきまで、僕も"演技"って思ってた。

no.🌷

けど......えとさんの目を見る度、演技と現実の境目が分からなくなる

et.🍫

............

no.🌷

明日、本番だけど

no.🌷

えとさんが嫌なら、ちゃんと止めるから

その声音は、なおきりにしては珍しく、ーーまっすぐで、優しかった。

えとは、言葉を失ったまま彼を見上げる。ベッドの上、触れていないのに、体温だけが伝わってくる距離で。

et.🍫

......大丈夫。私も、逃げない

その一言に、なおきりさんがふっと笑って。次の瞬間、そっと額を重ねてきた。

no.🌷

......ありがとう。じゃあ、明日、覚悟しといて

et.🍫

......なんの?

no.🌷

役のフリして好きになるんじゃなくて

no.🌷

好きなフリして本当に落とすからさ

えとの胸の音が、もうずっと鳴り止まなかった

撮影本番当日。 照明が落とされた室内セット。静寂の中、スタッフたちが気配を殺して見守る。 モニターに映るのは、ベッドの上ーー えととなおきり、2人だけの空間

よーい......スタート!

演出家の声と同時に!カメラが回り始める。

et.🍫

......なんで、こんなに苦しくなるんだろうね

えとの台詞。揺れる目線。それに対し、なおきりがそっと手を伸ばし彼女の頬に触れる

no.🌷

それが、好きってことだよ

あくまでも脚本通り。でも、声の震えはーーどこか演技じゃなかった。

なおきりがえとをそっとベッドに倒す。えとは彼の胸に手を添え、軽く押し返すような仕草をする。

けれどーー抵抗の力は、すぐに抜けた

et.🍫

(やばい。このままじゃーー)

なおきりの手が、えとの髪を撫でる。ゆっくり、丁寧に。指先が頬をかすめ、唇の輪郭をなぞるように触れた。

えとの呼吸が、浅くなる

et.🍫

(これ、本当に演技?)

唇が、触れる。わずかに、でも確かに。

台本では"数秒のキスの後、目を見つめ合うって台詞"けれどーーなおきりさんの動きは、台本通りには止まらなかった

no.🌷

......好きだよ

その一言。 そんな台詞、書かれていない。

et.🍫

(いま、なんて......)

その瞬間、私は思わず、彼の胸に手を当てた。 止めるわけじゃない。でも、受け止めきれない。

et.🍫

......台本に、そんな台詞なかった

no.🌷

ごめん

なおきりさんが微笑む。それは、からかいでも演技でもない

本気の笑み

no.🌷

役としてじゃなくて、言いたくなった

et.🍫

......バカじゃないの

指先が私の唇に触れたまま動かない。 目を閉じれば、もう一度キスされる。 でもーー

et.🍫

......それ以上したら、本当に嫌いになるから

no.🌷

......了解

なおきりが、そっと体を起こす。 距離がゆっくりと開いていく。

「カットーー!! .....OKです!1発OK!!」

スタジオが拍手に包まれた。でもえとの心臓の音は、まだ止まらない。 むしろ今もーーなおきりの"好きだよ"が、頭の中でリフレインしていた。

et.🍫

(信じたら、もう戻れなくなるから)

et.🍫

(あれは、演技じゃなかった)

et.🍫

(でも私、まだ信じられない)

控え室に戻る途中、なおきりが後ろから声をかけてきた。

no.🌷

さっきの、台本に無い台詞

no.🌷

ーー怒ってる?

et.🍫

......怒ってない。でも、許してもない

no.🌷

ふーん

et.🍫

だから次、また勝手に言ったらーー私が台詞変える

no.🌷

へぇ。どんな台詞?

et.🍫

"あんたのこと、本気で好きになるわけない"って

そう言い捨てて前を歩き出すえとの背中を、なおきりは静かに見つめていた。

けれど、 ーー口元は、少しだけ、笑っていた。

no.🌷

.....なら、今度は台本ごと、僕が書き換えてみせる

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コメント

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久しぶりの更新!! めっちゃ良い😭😭 これからも頑張ってぇー!

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