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三日目の夜。 背中の包帯はまだ取れないが、 歩ける程度には回復していた。
明日にはここを出よう。これ以上、 ここの空気を汚すわけにはいかない。
実
実
義勇が顔を向けると、庭の陰に不死川がいた。 定期健診か何かで訪れたのだろうか。相変わらず義勇への嫌悪が張り付いている。
実
義
実
義
義
実
実
実
弁解の言葉も出てこない。 『違う、俺は守ったんだ』 と言えば、不死川はどう反応するだろうか。
『嘘をつくな』と激昂するか、『じゃあなんであんなに嫌われてるんだ』と嘲笑するか。 どちらにせよ信じてはもらえないだろう。
義
実
ガシッ。不死川は義勇の胸ぐらを掴んだ。
実
義
義
実
義
不死川は拳を振り上げたが、殴らなかった。 怪我人を殴れば、それこそ自分の名誉に関わると思い直したのか、殴る価値もないと判断したのか。
実
彼は乱暴に義勇を突き放した。捨て台詞を残し、 不死川は去った。
義
突き飛ばされたことで背中の傷が開き、ひどく痛む。
義
太陽のように眩しくて、強かった少年。 もし彼が生きていたら。
きっとあの子供も何事もなく救い出し、 不死川たちとも酒を飲み、 誰からも愛される立派な水柱になっていただろう。
義勇は掌を見つめた。剣ダコだらけの手。 この手は何かを掴めているのだろうか。 いや、指の隙間から全て零れ落ちていく。 姉も、親友も、守りたかった子供の心も。
義
義勇は夜闇に紛れて屋敷を出ることにした。 誰にも挨拶はいらない。 自分が居なくなることは、誰にとっても朗報だろう。
モブ
義
振り返ると、酒瓶を持った薄汚い男が立っていた。 酔っ払いか。 義勇は無視して立ち去ろうとした
モブ
モブ
義
モブ
背筋が凍りついた。 半々羽織。それは自分だ。 そして「弟を殺された」という言葉。 前の、社での出来事だ。あの青年か。
モブ
誤解だ。あれは鬼だった。人を喰らっていた。 だが、その真実は歪められ拡散している。
モブ
義
「違う」と言えば嘘になる。殺したのは自分だ。 「あれは鬼だった」と言えば、死者への冒涜だと罵られるだろう。 どう答えようと、自分は「悪」にしかならない。
モブ
そう言うと男が羽織に唾を吐いた。
モブ
義
義勇は、ゆっくりと歩き出した。 罵声を浴びせられても、何も感じない。 心の一部が壊死して、感覚を失ってしまったようだった。