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久
僕は絶叫した
千鶴
千鶴
久
久
千鶴
千鶴
千鶴さんは行ってしまった。
しかし、もう女は消えていた。
千鶴さんが声をかけたその瞬間に、霧の如く無くなっていた。
僕を再び地獄に落としたのは、やはりあの女だった。
朝、家族に話をすることになった。
哲夫
哲夫
哲夫
友枝
友枝
久
久
友枝
久
久
千鶴
千鶴
千鶴
久
もうずっと、出ていなかった。
あの女の姿を見たのも、数年ぶりだったし、夜のあの女の狂ったような笑いは何だったんだろう。
今思い出しても、恐ろしい。
僕は体を震わせた。
哲夫
哲夫
久
久
哲夫
友枝
久
幸い、冗談や悪ふざけと捉えられることもなく、僕の悩みを受け入れてくれた。
だが、この頃からもう壊れていたんだ。
壊されていたんだ。
あの女のせいで。
上司
上司
久
上司
上司
久
上司
上司
上司
上司
久
この頃から、あの女によるストレスと不眠で、僕は仕事でも多くのミスをするようになった。
周囲からもだんだんと軽蔑され、態度も露骨になっていった。
無能 使えない クズ
これくらいの暴言は、もはや当然のように浴びせられた。
ああ、声が聞こえる。
「久さんってさ、中卒らしいぜ」 「まじ!?」
「うわぁ、だからあんだけミスも多 いし、怒られてんじゃないの」 「そうだろうなぁ。俺らより給料多いの納得いかねぇ〜」
「新入社員の方がまだマシな働きするよなぁ」 「そうだな。それで、ベテランの雰囲気だされても(笑)」
そんなことはしていない。
違う。
「久くんはどうなってるんだね、君」 「すみません。部長」
「君の指導がダメだからあんなんじゃないのかね」 「いえ、以前までは今みたいな様子ではありませんでしたが……」
「じゃあ、どういうことだね」 「それは、完全に気が抜けてるんじゃないですかね。ほら、同じ部署の者と結婚したでしょう」
「あぁ、確かにそんなこともあったな」 「どうやら、勤務中でも公私混同のように夫婦の会話を挟んで、もうそれは大変な迷惑になっているらしいんですよ」
「なに!?それは、問題じゃないか」 「えぇ。ですから、私も注意を何度もしているに関わらず、いつまでもお熱い雰囲気を崩さずに、ふわふわと舐めた態度で仕事をしてるんでしょう」
「それは、彼個人に問題があるな」 「えぇ、えぇ、それはそうです」
そんなことはしていない。
違う。
「聞いた?久さんの話」 「え、なになに?」
「奥さんの千鶴さんに愛想尽かしてるから、社内の女性を食い尽くしてるってうわさ」 「えー、ありえない」
「ほら、あんた結構可愛いから狙われちゃうかもよー?」 「きゃー、ははは」
そんなことはしていない。
違う。
違う。違う。違う。違う。
ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう
みんな、あんなに温かった社員全員が、僕に対するまことしやかな噂話、嘘をついて貶めている。
不平不満を、いわれのない僕にぶつけて解消しようとしている。
僕は、みんなのおもちゃではない。
道具なんかじゃない。
ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう
違う!!!!!!!
……
疲れた。
最近では、千鶴さんは僕を避けて帰るようになっている。
例の噂話を気にしているのか。
とにかく、毎日が辛い。
玄関に立つ。
扉を開けようとした、その瞬間。
正直、死んでほしいなんて考えてしまうの
とんでもない言葉が耳に入ってきた。
その場で硬直する。
続けて。
だって、あの人が生きているだけで周りの人が死にたくなるでしょう?
千鶴さんの、声だ。
私、もう無理なの。
最近では、ほぼ毎日のように夜中、隣でうなされてたり、急に叫んだり。
怖いし、ストレスなのよ。
職場でも、知ってますか。
あの人の言われよう。
仕事ができなくて、散々に誹謗中傷されているんです。
それも、私まで!!
あることないこと、あの人のせいで色々言われてるんですよ!!
私以外の女と付き合ってるなんて噂まであるし。
今だから思うけど、あの人が夜に「女」にうなされてるのは、そういうやましいことがあるからじゃないの!?
……はぁ。
あの人だって辛いかもしれないけど、私たち家族はどうなりますか!?
あの人が憎いです!!
あぁ。あぁ。
やめてくれ。
この子の言う通りだわ
友枝……お義母さんの声。
妙な気持ちの悪い話で私たちを驚かしたばかりいて、子供が欲しいって千鶴の願いでこっちに住んでるのに。
仕事もできないんじゃあ、困りますわよ。
お荷物ですよ、本当に
何故、そんなことが言える?
違う
ねぇ、あなた、もう言ってやるべきです
あの人に、出ていってくれと
認めない
違う
ああ、もう我慢の限界か
哲夫……お義父さんの声。
俺もあいつが前から気に食わなかったんだ
自分のことも世話できないなら、生きる価値なんてない
ふっ。まったく。
あの女がどうのこうのという話を聞かされたときは驚いたよ。
頭のおかしい奴は、実際にいるんだなぁってね。
キチガイは、この世から消えてくれ
これが、世間の大多数の本音じゃないかな。
ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう
おれはあたまおかしくないおれはあたまおかしくないおれはあたまおかしくないおれはあたまおかしくない
おかしくない、おかしくない
きが、ちがってもいない
くるってるのは
くるっているのは
狂っているのは
お前らだぁぁ!!
僕は家に入った。
そして、包丁を手に取り、千鶴、友枝、哲夫一家3人を皆殺しにした。