彩
毎日…退屈ね
恭子
…だよね
彩
渋谷を街ブラするのも飽きちゃったよ
恭子
そうね、だってかれこれ…
恭子
あっ!
彩
どうかした?
恭子
今、あの人と目が合った!
彩
えっ⁈どこどこ?
恭子
ほら、白い服に長い髪の…
彩
あぁ…いかにも!って感じのあの人ね
彩
明らかにこっちを見てるね
恭子
死にそうな表情してる…
彩
その表現、おかしくない?
恭子
あははwだよね
彩
でも、霊が見える人と見えない人の違いってなんだろうね
恭子
そうね…
恭子
私が思うにはテレビのチャンネルみたいなものかな?
彩
チャンネル?
恭子
ほら、テレビってさぁ…チャンネルを合わせないと映らないじゃん
彩
なるほどね!
彩
つまり、お互いチャンネルが合えば見えるけど
恭子
合わないと見えない
恭子
霊能者って言われている人は、チャンネルが多いんだと思う
彩
それ、説得力あるわw
彩
さっきの人は私達とチャンネルが合ったわけね
恭子
そう言うこと
恭子
でなきゃ、亡くなった人、全員が見えたら大変だよ
彩
あははwだよね!
彩
それこそ人類が誕生して以来…全ての人が見えることになるもんね
恭子
そうそう!
彩
ちなみにこれで何人目くらいかな?
恭子
何が?
彩
目が合ったの
恭子
そうだね…ハッキリとは覚えてないけど
恭子
10人も居なかったと思うな
彩
だよね
彩
私達、多い方なのかな?
恭子
さぁ…どうだろう?
恭子
イメージ的には多いと思うけど
彩
そうよね、私もそう思う
恭子
でもさぁ…
恭子
まだ、こっちをガン見してる…
彩
本当だ…それにしても目つきが悪いな
恭子
よほど何かあったのね
恭子
男に騙されて…とか?
彩
…ありえるね
恭子
近付いてみようか?
彩
えっ⁈本気で言ってるの⁈
恭子
もちろんw
彩
こ、怖いよ…
恭子
大丈夫よ、何かされるわけじゃないだろうし
彩
そ、そうだろうけど…
恭子
では、出発進行!
彩
その表現、昭和だわw
恭子
ねぇ、ついでに聞いてみようか?
彩
えっ⁈何を?
恭子
だから…男関係かどうかを
彩
話してくれるの⁈
恭子
話したいからチャンネルが合ったかもしれないよ
彩
う〜ん…なくもないか…
彩
本当に大丈夫かな…
恭子
大丈夫よ!そこまで嫌な感じはしないから
彩
…それならいいけど
恭子
そうこう話しているうちに、あと数メートルよ
彩
ドキドキするね!
恭子
…
彩
…
恭子
あの…見えてますよね?
彩
…反応ないね…ん?
彩
私を見てる…
恭子
もしかして…私は見えていない?
彩
どうやらそうみたい
恭子
彩が話し掛けてみてよ
彩
…分かった
彩
あの…すみませんが…見えてますよね?
「…はい」
恭子
やっぱり!
彩
実は…私の他にもうひとり居るの、分かりますか?
「ご、ごめん…あなたしか見えない」
恭子
彩とだけチャンネルが合っているんだ
彩
今、私の横にもうひとり居るのよ
「そうなんですね…」
「何か…用ですか?」
彩
いや…用ってことじゃないんだけど…
彩
あの…原因は…男関係でしょうか?
「ど、どうして分かるんですか…」
恭子
やっぱり!
「わたし…行かなきゃ…もう…行かなきゃ…」
彩
ご、ごめん!引き留めてしまって…
恭子
あっ…行っちゃった…でもさぁ
恭子
何年振りだろう…気付いてもらえたの
彩
多分、100年振りくらいじゃないかな?
恭子
だよね!前は車なんて走ってなかったもんね
恭子
渋谷の町には