別に全然緊張してない。
2月。 第一志望である呉董都学園の入試を明後日に控えた俺は、塾の自習室をあとにしていた。
全然緊張してない。 講師に「いよいよ明後日だな」と言われた時も ちゃんと「ががが頑張ります」と答えられた。
本当に全然緊張してない。 右手と右足を同時に出しながらロビーを歩いていると
溝口 圭佑
山崎 孝太
丁度帰るところだったらしい先輩が話しかけて来た。 突然すぎて変な声が出そうになった。
溝口 圭佑
山崎 孝太
溝口 圭佑
間違って自販機に返事していた。 全然緊張してない。
ついでに缶のコーンスープを買う。 しかし なぜか指に力が入らずプルタブが開けられない。
山崎 孝太
溝口 圭佑
山崎 孝太
仕方なく先輩に開けて貰った。 しかし今度はなぜか手の震えが止まらず、缶の中でバチャバチャ音がする。
山崎 孝太
溝口 圭佑
山崎 孝太
山崎 孝太
山崎 孝太
溝口 圭佑
「緊張してるって言ってるじゃないですか!!」
溝口 圭佑
山崎 孝太
溝口 圭佑
山崎 孝太
山崎 孝太
溝口 圭佑
山崎 孝太
山崎 孝太
溝口 圭佑
溝口 圭佑
山崎 孝太
先輩は顔を背けるとやや早口で言った。
溝口 圭佑
先輩はロビーに並んでいる丸テーブルと椅子に歩み寄った。
その中の1つに乱暴に腰掛けると、頬杖をついて向かいの席を指差した。
溝口 圭佑
山崎 孝太
溝口 圭佑
山崎 孝太
溝口 圭佑
山崎 孝太
溝口 圭佑
全然緊張してない。
いよいよ入試を明日に控えた昼下がり。 俺は明日の準備をしていた。
全然緊張してない。 「あと20時間で本番だ……」と計算するくらい余裕がある。
山崎 母
お母さんの矢継ぎ早の質問に「あー」と「んー」を使い回して答える。
持ち物リストと照らし合わせて不備が無いか確認すると、ソファーに倒れ込んだ。
山崎 孝太
山崎 孝太
山崎 母
頭上にお母さんの声が降って来た。
山崎 母
山崎 母
山崎 母
山崎 母
脳裏に様々な人物が浮かんだ。
学校や塾の先生からはたくさんアドバイスを貰った。 先輩はボロクソ言うけど俺が理解するまで粘り強く教えてくれた。(昨日も2時間付き合って貰った) 元カレ先生や柚月にもお世話になった。 お母さんたちは俺が2階の自室に入るとテレビの音量を下げてくれた。
鼻の奥がツンとした。
俺は一人で戦ってるわけじゃなかったんだ。
「そうだよ」と答えるようにスマホがラインの着信を告げて震えた。
激励メッセージが続々と届いた。
少し震える指で1人1人に返信する。最後の1人宛てに紙飛行機を飛ばすと
澪さんからラインが来た。
簡潔なメッセージと1分半ほどのボイスメッセージだった。
少しだけ緊張してる。
いよいよ入試当日。 俺は小さな深呼吸を繰り返しながら駅に向かった。
駅に着くと単語帳や参考書と睨めっ子してる制服姿の学生が ちらほらと見受けられた。
俺も切符を買い、電車が来るまで改札前のベンチに腰掛けて理科の参考書を広げる。
緊張はしてるけど、内容は頭に入って来る。
発車時刻5分前になると改札を通ってホームに降りた。
参考書とスマホを抱えてお喋りに花を咲かせている女子グループが並んでいる乗り場を通りすぎ、奥の方を目指して歩いていると
誰かが肩に手を触れ、隣に並んだ。
相原 澪
澪さんが息を切らしていた。
山崎 孝太
相原 澪
相原 澪
山崎 孝太
相原 澪
ホームの屋根部分が途切れた。 柔らかな陽光が射し込んで来る。
この辺りは俺と澪さんしかいないらしい。 立ち止まると自然と背筋が伸びた。
相原 澪
澪さんが近くの電光掲示板を見上げて、線路に視線を遣る。 …もっと早くホームに降りれば良かった。
相原 澪
山崎 孝太
相原 澪
山崎 孝太
山崎 孝太
相原 澪
山崎 孝太
電子音が鳴り、アナウンスが電車の到着を告げた。
相原 澪
山崎 孝太
ホームに電車が滑り込んだ。 ドアが開く。
相原 澪
山崎 孝太
下車する人の通行を妨げないよう脇にずれる。
澪さんに会釈して、抱えてる参考書を握る手に力を入れて電車に乗り込む_____
__前に 空いてる方の手を澪さんが両手で掴んだ。
目を伏せ、少し赤く染まった顔で 念を送るように、噛みしめるように、澪さんは呟いた。
相原 澪
山崎 孝太
__発車ベルが鳴る。
澪さんが手を放したので俺も今度こそ電車に乗り込んだ。
車内と車外にいる2人の視線が交錯した。
澪さんが再び口を開いたけど、声を発する前にドアが閉まった。
それでも澪さんの言わんとしていることは伝わった。
頷くと、ドアガラスにより やや解像度が下がった視界で澪さんも微笑んだ。
澪さんが掴まれた手を振ると同時に電車が動いた。
周りに流されて、なんとなく物事を決めていた俺だけど
今は違う。 他の誰でも無い、俺自身の声に耳を傾けて
今ここに座っている。
自分で決めたことだから誰かのせいにすることは出来ない。
___それでも 手にはまだ熱が残っている。
俺は1人じゃない。
きっと大丈夫だ。
「始めっ」
号砲が鳴る。
俺は問題冊子をひっくり返した。
お知らせ&サムネ展覧会!
非リア弟です。 まずは謝辞↓
不規則な更新で申し訳ないです! そして読んでくださりありがとうございました!!
第4章から第5章の間のストーリーと言うことで、「4→5章」として4話お送りして来ました😳
そのサムネ、こだわったので見てやってください😳 ↓
……ふう😌。 さて非リアの自己満コーナーはここらへんにして、次は真面目なお知らせです。
次回から 第5章「バレンタイン編」が始まるのですが、
第5章、そして後にやります第6章第7章はひとつなぎの構成になっていると言うか… つまり前章の内容をしっかり把握してないと後々「んん?」となっちゃう構成になってまして😳
しかしご存知の通り、この連載、隔週更新です😳。 間に1週間挟んどいて「ちゃんと話覚えとけよ」と言いやがるわけです、非リアは😳
そこで!
「5,6,7章」構成において重要な第5章を把握して頂くために!
第5章(全3話)はいっぺんに全部投稿致します! (つまり3話ドババーっと出します)
更新日は不明!!
現在鋭意執筆中です。 どこかの日曜日に投稿致します。
第5章投稿日の2週間後に第6章を投稿致します😳 そこから隔週更新(予定)です!
面倒ですが把握のほどよろしくお願いいたします😳 読んでくださりありがとうございました❗
コメント
3件
今回は孝太くんが盛りだくさんで…‼︎‼︎ 幸せだぁぁ…!孝太くん、澪さんといる時に敬語じゃない方が可愛いな、と思ったりして…でも敬語も孝太くんっぽさがあってかわいいっていうか、あぁぁぁでもこの話で頑張ってって言われた時に出た不意打ちの「うん」もめちゃくちゃかっこよかったなぁぁぁ‼︎‼︎ もうなんでもいいから好きです!長文失礼しました。今回もよかったです✨次も楽しみにしてます✨