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幸せよ、届け~第1話~

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幸せよ、届け~第1話~

1 - 幸せよ、届け~第1話~

2019年02月16日

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俺は何のために生きてるんだろう

この春、坂野宮高校に入学をした

何にもやる気などない、ただ過ぎ去って行く時を過ごしていた

本城 司

おい蓮!

城井 蓮

本城 司

今日もまた病院か?

城井 蓮

おう、行ってくるわ

本城 司

...まだ治らないのか

城井 蓮

もう治んねーよ笑

俺は生まれつき肺の調子が悪く、中学の頃にいよいよ病状が悪化し、肺を片方手術で無くした

その様子を、週に1回ほど検査しなければならない

別になんとも思わないし、平凡には変わらない

だから肺が片方ないことなんて、別に苦でもなかった

松井先生

何も問題はなさそうだね

城井 蓮

だから最初から言ってんだろ。何ともないって

松井先生

だって君、昔からすぐに無理するじゃないか

松井先生

だから小学生の頃なんて大変だったんだよ?

松井先生

隙をついて走ったりするし...だから度々入院もさせてた...

城井 蓮

帰る

松井先生

まったく...気をつけて帰れよ

俺は松井先生の机の上にあった患者のカルテに目がいった

城井 蓮

新しい患者か...?

城井 蓮

心筋梗塞...助からねぇな

松井先生

これだけ病状が進んでれば...ってそんなこと言うな、蓮

城井 蓮

だって病状が進みすぎだろ。よくここまでほっといたもんだ

松井先生

昨日まで何も無かったそうなんだ。違う病気かとも思ったが、心筋梗塞の病状とかなり近かったもんでな

城井 蓮

アンタそれ、別の病状だったらどう収集つける気だよ

松井先生

いや、ほぼ間違いないよ、心筋梗塞で

城井 蓮

...ま、アンタの手は確かだからな

城井 蓮

じゃ、本当に帰るわ

松井先生

お大事にね。くれぐれも、気をつけてよな

城井 蓮

わかってるよ、何もしねぇよ

城井 蓮

(まったく...いつまで経っても親気分だな...)

城井 蓮

(たかが幼稚園からのつきっきり患者なだけだろ...)

城井 蓮

(ん?)

とてもでかいこの病院を、出口に向かって長い廊下を進んでいる最中のことだった

廊下のど真ん中に、本が1冊落ちていた

城井 蓮

(春永 凜々...)

ご丁寧に本には名前が書いてあった

城井 蓮

(春永 凜々って確か...松井先生の新しい患者か...)

俺は松井先生のところにこの本を返しに行こうとした時だった

春永 凜々

あ、あの...!!

後ろから女の子が声をかけてきた

後ろを見ると背の低い女の子が少し怯えた表情をして、こちらを見ていた

城井 蓮

なに?

春永 凜々

そ、その本...私のなんです...

震える指で、俺が拾った本を指さした

城井 蓮

あ、じゃあ返すわ

本を返すと体が少し震えていた

城井 蓮

...そんなに震えて...俺なんかした?

自分が何をしたか身に覚えがなく、唐突に聞いてしまった

春永 凜々

あ、!ち、違うんです!

顔を赤らめてから、その子はほんで顔を隠し、こう答えた

春永 凜々

あ、あまりにも綺麗な顔をしていて...びっくりしたっていうか...!

春永 凜々

私が話しかけるなんて恐れ多くて...すみません...!

これが、春永 凜々との初めての出会いだった

.

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