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その日から。
私は、放課後になると海へ向かうようになった。
別に約束した訳じゃない。
待ち合わせをした訳でもない。
ただ、何となく。
本当にそれだけだった。
…少なくとも、私はそう思っている。
校門を出る。
いつもと同じ放課後の空気。
部活に向かう生徒達の声が聞こえる。
クラスの男子
クラスの男子
クラスメイトの男子が聞いてきた。
雨季
クラスの男子
それ以上は聞いてこなかった。
この町の人は、距離が近いけど、 無理に踏み込んで来る訳でもない。
そこが少しだけ、ありがたかった。
坂道を下る。
海の方へ。
潮の匂いが、少しづつ濃くなる。
足が自然と早くなる。
雨季
そう思いながら、海岸へ出た。
今日も海は静かだった。
夕方の光が水面に広がっている。
波がゆっくり砂浜に寄っては帰る。
そして。
雨季
雨季
黒い髪。
水色と白のセーラー服。
海のすぐ近くで、また歌っている。
風に乗って声が届く。
昨日と違う歌。
でも、やっぱり綺麗だった。
彼女はくるくる回りながら踊る。
スカートがふわりと広がる。
夕焼けの光の中で、まるで舞っているみたいだった。
私は砂浜の端に立って、その光景を見ていた。
雨季
そう思うのに。
目が離せない。
やがて歌が終わった。
彼女はくるりと回って、海を見た。
そして
振り向いた。
最初から分かっていたみたいに。
雨季
笑う。
私は肩をすくめた。
雨季
雨季
彼女は首を傾げた。
砂浜を歩いて近づいてくる。
雨季
雨季
雨季
彼女はくすくす笑った。
私の隣に来る。
見上げてくる黒い瞳。
雨季
雨季
雨季
彼女は砂浜にしゃがんだ。
指で砂に線を描く。
雨季
しばらくは、波の音だけが聞こえた。
そのとき、私はふと思った事を口に出した。
雨季
雨季
彼女は自分のセーラー服を見た。
水色と白。
風でスカーフが揺れている。
雨季
彼女は少し考える顔をした。
雨季
綺麗に笑う。
雨季
雨季
雨季
彼女は少しだけ空を見あげた。
夕焼けの色が変わり始めている。
雨季
その言葉は、少しだけ不思議だった。
私は海を見た。
確かに綺麗だった。
静かで
広くて
でも
毎日ここに来るほどなのかは、まだ分からない。
雨季
雨季
雨季
雨季
雨季
本当は、理由はもう一つある。
でも
それを言うのは、少しだけ恥ずかしい。
だから、私は言わなかった。
彼女は少しだけ私を見て、それから笑った。
雨季
雨季
彼女はくるりと回った。
雨季
即答だった。
雨季
雨季
彼女はまた笑った。
そして突然、私の手を取った。
雨季
引っ張る。
海の方へ。
雨季
波が足元まで来る。
冷たい水が靴にかかりそうになる。
雨季
彼女は海を見ながら言った。
風が強く吹く。
黒髪が大きく揺れた。
小さく続ける。
私はその横顔を見ていた。
さっきまで笑っていた顔が、少しだけ静かだった。
そのとき
波が強く寄せてきた。
雨季
私の靴に水がかかる。
彼女が笑う。
雨季
雨季
私は濡れた靴を見てため息をついた。
でも
不思議と嫌じゃなかった。
空はもう少し暗くなっている。
海の色も深くなっていた。
雨季
彼女言った。
雨季
私は少し考えた。
そして
雨季
そう答えた。
彼女は嬉しそうに笑った。
黒髪が揺れる。
その時、私はまだ知らなかった。
この町で
この海で
この子と過ごす時間が。
私の世界を少しずつ変えていくことを。
そして
私はまだ知らない。
海辺のあの子が
本当は
誰なのかを。