少女
こんにちは!
祐樹
……
少女
ちょっとー!
少女
そこのおにーさん!
祐樹
え?
祐樹
は?
祐樹
俺?
少女
そう!
祐樹
何?
少女
おにーさん、何か願い事ない?
祐樹
……間に合ってます
少女
いやいや、ちょっと、勧誘とかじゃないし!
祐樹
ハロウィンのイベントか何か?
少女
この服!
少女
コスプレとかじゃなくて!
少女
実はわたし、本当に魔法使いなんです!!
祐樹
へー
祐樹
間に合ってます
少女
だから!
少女
キャッチセールスとかじゃなくて!
祐樹
だったら何?
少女
わたし、魔法が使えるんで!
少女
おにーさんの願い事を一つ叶えてあげます!
祐樹
願い事とかないし
少女
いや、何かあるでしょ
祐樹
願い事言ったら解放してくれるの?
少女
はい
少女
いやそうじゃなくて!
少女
願いを叶えたいんです
祐樹
えーもうじゃあ、背が5センチ高くなりますようにー
少女
七夕の願い事みたいに言わないでー
少女
どうでも良さそうだし!
少女
まぁ、いいわ
少女
じゃあ、その願い事叶えますので
少女
10秒間目を閉じてください
祐樹
めんどくさー
少女
いいから!
少女
早く!
祐樹
あーはいはい……
祐樹
いちにーさんしー
少女
待って待って!
少女
もっとゆっくり!
少女
魔法には手順があるの!
祐樹
えー、もうそっちで適当に数えてー
少女
じゃあ、「いいよ」って言ったら目を開けてね
少女
はい、目を閉じて!
祐樹
……
祐樹
……
祐樹
……
祐樹
まだ?
祐樹
おい
祐樹
おーい!
祐樹
目を開けるぞー
祐樹
……あれ?
祐樹
いない
祐樹
何だったんだ
祐樹
背は……伸びてるはずないか……
祐樹
帰ろ
祐樹
あ
祐樹
……やられた
祐樹
財布がない







