テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
俺の目の前には、帰ったはずの彼が立っていた
少しだけ息が荒い…走ってきたのだろうか
rt
見ると、彼の手には2本のペットボトルが
どうやら、近くの自販機まで飲み物を買いに行っていただけだったらしい
ky
1本差し出す彼
rt
断る理由もないので、素直に受け取った
彼は再度ひざまずくと、自分の分の水を飲まずに、まだ赤みを帯びる跡にそっと充てがった
rt
急な冷たさに、一瞬身体がビクリと強張る
ky
不安気に俺の顔を覗き込む
rt
ぼそぼそと呟くしかできなかった
ky
そう言うも、彼の表情はどこか固かった
真剣な顔で跡をじっと見つめている
しばらくすると、ペットボトルを静かに跡から離した
ky
そう言うと、彼はゆっくりと手を近づけ、跡に触れた
まるで、壊れ物を扱うように
rt
彼の手はひんやりと冷たかった
ky
だけど…温かくて
心の奥がじん、と熱くなった
置いていかれた訳ではなかったことに、少しだけ安心感が芽生えたから
あと…勘違いしてしまったことへの恥ずかしさ
rt
ぶっきらぼうに、短く答える
でも、彼の眉は寄ったまま
ky
rt
ky
ky
rt
そのひと言に、何重もの感情が滲み出ていた
彼にはもう、嘘も冗談も通用しなくなっていた
rt
気づけば、無意識のうちに謝っていた
彼の動きがぴたりと止まる
ky
ky
迷いなく言い切る
だが視線は、相変わらず手首に落ちている
ky
ky
静かだった
だけど、吐き出すような怒りの声でもあった
rt
ky
ky
rt
酔っ払いにすら力で劣ってしまうんだから、呆れられたも同然だ
rt
ky
半ば強引に遮られる
ky
rt
ky
ky
何か言いかけて、口をつぐんだ
その代わり、ぐっと奥歯を噛みしめるようにして
ky
小さくそう呟くと、彼は俺の手を取り、両手で包みこんだ
彼の大きな手は、信じられないほど優しくて
温かった
rt
目頭がじんわりと熱くなる
rt
ky
rt
rt
ky
どうして、と言わんばかりの表情を浮かべている
rt
視線を下に向ける
rt
手首に残る跡が、嫌でも目に入る
rt
声が震えるのを堪える
rt
息が詰まる
rt
言葉が途切れるたびに、呼吸が乱れる
それらは、間違いなく彼へ伝わっているだろう
rt
rt
それでも、止まらない
ぎゅっと目を瞑る
rt
止まれなかった
rt
息が浅くなっていく
空気を上手く体に取り込めなくて
うまく言葉にならない
rt
最後の言葉は、ほとんど消えかけていた
rt
rt
ky
言い切る前に、ぐいっと身体を引き寄せられた
突然視界が暗転し、思考が止まる
温かい何かに包まれて、やっとゆっくり息を吸うことができた
脳が現状を把握するまでに数秒かかった
rt
俺は彼に──キヨくんに抱きしめられていた
ky
低く、少し強い声
ky
ky
ky
そのひと言で、
rt
俺の全部が揺らいだ
ky
ky
少しだけ腕の力が強くなる
ky
口調は相変わらず荒い
ky
でも、優しさが混じってて
それが、俺には心地よかった
ky
元の口調に戻る
rt
だけど、キヨくんは静かに
ky
ky
ky
そう呟いた
rt
ky
ky
rt
キヨくんには、すでに見透かされていたのか
本心を隠しても、どうやら無駄らしい
ky
ギリッと奥歯を噛みしめて
ky
ky
小さく呟いた
rt
ky
暗がりのなか、キヨくんの瞳が揺らめいた
ky
rt
胸の奥が大きく揺さぶられた
どうして、そんなに優しい言葉をかけてくれるのか
どうして、そんな顔をするのか
どうして、こんなに安心できているのか
分からない、けど
rt
そんな眼差しを向けられたら───。
rt
rt
気づけば、そう口にしていた
rt
ky
rt
ky
rt
息が詰まる
rt
伝えたいのに
ky
キヨくんの手が、ぽすっ、と俺の頭に置かれた感触が伝わる
大きくて温かな感触が伝わってくる
ky
ky
ky
はっきりと、迷いのない言葉だった
rt
今まで我慢してきたものが、ついに溢れてしまった
…、いや、溢れてよかったのかもしれない
rt
大粒の雫になって、ぽろぽろ、とせきを切ったように落ちていく
言葉とともに零れ落ちていくそれらは、マスクを容赦なく濡らしていく
ky
ただでさえ鼻声なのに、もっと鼻声になって
rt
キヨくんの服を濡らさせまいと、彼の身体から少し顔を離す
ky
抱きしめる力がより一層強くなった
ky
背中をゆっくりとさすり、時折とんとん、とまるで子供をあやすような動作を繰り返す
ky
降ってくる声は、あまりにも優しかった
rt
やっと、言葉にできた
ぎゅっと彼の服を掴む
すがるように、居場所を求めるように
震えが止まらない
でも、この震えは恐怖からくるものだけではなかった
rt
ky
涙が引いてくると、彼は名残惜しそうに、ゆっくりと身体を離した
ky
そして、袖をくい、と引き下げられる
まるで、赤い跡を隠すように
rt
彼を見上げると、少し曇った表情…いや拗ねているような表情をしていた
ky
ky
短いが、さっきよりずっと柔らかい
ky
そう言うと、彼は俺の手を取った
指が絡む
rt
少々驚いたが…不思議と嫌ではなかった
ky
ky
rt
頷くと、ほんの一瞬だけ力が緩んだ
だが、離れはしない
ky
小さく呟いて、ゆっくり立ち上がる
ひゅう、と秋風が吹いた
rt
彼は即座に、着ていたコートを脱ぎ、俺の肩に羽織らせた
ky
ぼそっと呟き、じっと見下ろす
返事はそっけないくせに、離れようとしない
rt
『ずっと、そばにいる』
その言葉が、耳の奥で何度も反響している
rt
ky
夜の静けさのなかで感じていた孤独は、冷たい風に溶けていった
代わりに残ったのは
手から伝わる体温と、
胸の奥に残る、忘れられない言葉だけだった
To be continued...
#ゼノブレイド