どうして分かったの?
彼に聞く。
太宰
なんとなくかな…でも強いて言えば…
君が私と似てるから
花子
…ふーん……
太宰
おそらく、君は彼女をこの世界に閉じ込めようとしているのだろう?或いはそれに近い事をしようとしている
花子
……君はどうする…
太宰
?
花子
生きていてほしい人が生きる道が一つしかないのなら、君はその道をたどる?
太宰
……どうだろうね
太宰
君は今、その状況なのかい?
花子
……さあね?
花子
けど忠告しといてあげる
太宰
…?
俺の邪魔はしないで
太宰
……肝に銘じておくよ
花子
……
再び布団に寝転がった。
死んで怪異になった今も、眠ることは出来る。ただ寝る必要が無くなっただけ
例え再び生まれ変わったとしても、眠りたくはない
いつもあの瞬間を思い出すから
五十年以上経った今でも、あの日の事を鮮明に思い出す。
柚木 普
はぁ…はぁっ…はぁ…
手の震えが止まらない。
血の臭いが、ツンっと鼻をさす。
柚木 司
あ…まね…
目の前に倒れ込んでいる弟は、俺の頬に触れる。
柚木 司
ス…キだ…ょ
その手を俺は、震えながらもギュッと握った。
柚木 普
っ…つか、さ…
弟の体温は徐々に低くなっていき、酷く冷たくなるとー
柚木 司
っ………
スルッと手が床に着いた。
柚木 普
っ!…つかさ!!
何度も
何度も…!
何度も…!!
俺は弟の名前を呼び続けた。 しかし、返事は一向に返ってこなかった。
柚木 普
………っ
自分の手のひらを見ると、弟を殺した凶器となる包丁を握っていて、逆の手には、弟の血が付いていた。
柚木 普
………つかさ…
この日…俺はフタゴの弟を殺した
花子
っ!!
ガバっと布団から起き上がる。
花子
はぁ…はぁ…はぁっ…
まるであの時の様に、俺は手のひらを見た。
幻覚か、一瞬あの日の血に染まった手が見えた。
花子
……っ
ギュッと手を握りしめる。
花子
(だからっ…)
眠るのが嫌なんだ…