佐原さん達が部室を荒らしたのを目撃したこと。
2年で副主将なのを疎まれていたと聞かされたこと。
それからずっといじめられていたこと。
俺は全てを語った。
話している間にもまた涙が出てきて、途切れ途切れだったけど3人はしっかり聴いてくれた。
赤葦
木兎
木葉
小見
先輩たちの優しさに、俺は泣き止むどころか再び涙が止まらなくなってしまった。
最近は涙腺が緩みっぱなしだ。
木兎
木葉
赤葦
俺は口を開いた。
赤葦
小見
赤葦
赤葦
木葉
俺は無理やり笑顔を作った。
赤葦
赤葦
もう、充分です。
そう言おうとした瞬間、俺は木兎さんに肩を掴まれた。
木兎
赤葦
木兎
_俺たちのこと、頼ってこい!!
赤葦
……本当に、今日は何回泣かされるんだろう。
次の日、制服に着替えてきた俺を見て母さんは驚いた顔をしたが何も言わなかった。
家の外にはレギュラーメンバーの3年生が待っていてくれて、俺が駆け寄ると母さんは5人に頭を下げた。
母
鷲尾
猿杙
歩き始めた時は良かったが、学校に近づくにつれて恐怖が大きくなり俺は思わず立ち止まった。
すると、木兎さんたちは俺の背中を叩いて笑顔を向けた。
木兎
俺はそれだけで安心できた。
廊下で俺たちの姿を見た生徒はみんな驚いていた。
3年生達と別れて教室に入ると、全員からの視線が突き刺さり足がすくんだ。
俯いて席に着こうとすると1人が言った。
桜田
赤葦
桜田はクラスでもカースト上位にいる女子だ。
その一言をキッカケに、皆んなが口々に罵声を浴びせ始めた。
モブ
モブ
モブ
予想はしてたけど、やっぱりストレートに言われるのは辛い。苦しい。
野球部だかのガタイのいいやつが歩いてきて、俺の胸ぐらを掴み上げた。
野球部
拳を振り上げるのが見えた。
殴られる。
そう思った瞬間、ひときわ大きな怒鳴り声が教室どころか廊下中に響き渡った。
木兎
赤葦
戻ってきたのか、木兎さんの後ろには木葉さんたち4人も立っている。
猿杙
普段温厚な猿杙さんのその迫力に、野球部は舌打ちをして俺を突き飛ばした。
鷲尾さんが前に進み出て言った。
鷲尾
クラスの奴は誰も答えない。
鷲尾
鷲尾さんに睨まれてクラス中が震え上がる。
すると桜田が言った。
桜田
木葉
桜田
小見
うぐ、と桜田が声を詰まらせる。
再び静まり返った教室に、低くて静かな声が響いた。
木兎
クラスの何人かが俯く。
木兎
木兎
木兎
気の弱い女子あたりはとうとう泣き始めた。すると桜田がまた声を上げる。
桜田
木兎
モブ
モブ
ここぞとばかりに皆んなが騒ぎ出し、形成が逆転し始めた。
モブ
_やめろ
モブ
_なんも、知らないくせに…ッ
モブ
赤葦
俺は思わず叫んだ。
滅多に大声を出さないからクラス中が驚いて静まる。
赤葦
野球部
野球部に顔面を殴られ後方にすっ飛んだ。
鼻血が滴るのも気にせず、すぐに床を蹴って立ち上がりそいつを殴り返す。
ガッターン!と派手な音を立てて机がなぎ倒され、周りから悲鳴が上がった。
俺たちは取っ組み合いになって床に転がる。
口の中が切れて血の味が広がった。
俺は野球部の胸元を掴んで叫んだ。
赤葦
後には俺の荒い息だけが残った。
野球部
野球部はただそれだけ言うと、俺を押しのけて席に戻った。
それを合図に他のみんなもそれぞれ机を戻し始め、木兎さんたちは少し戸惑いながら帰って行き、先生が来る頃にはすっかり元どおりになっていた。
出席を取るとき俺がいるのに気づいた先生は少し驚いていたけど、すぐに次の人の名前を呼んだ。
朝の話はすでにどこのクラスにも広まっていて、その日一日中俺がいじめられることはなかった。
ただし、話しかけて来るやつもいなかった。
コメント
3件
う"う"ん赤葦くーん♡♡♡ だいじょうぶ僕付いてるよ良ければいじめた奴らまとめて殺ってあげるよ??
あーもうなんていうか、んん…一言にまとめると…すき。