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佐原さん達が部室を荒らしたのを目撃したこと。

2年で副主将なのを疎まれていたと聞かされたこと。

それからずっといじめられていたこと。

俺は全てを語った。

話している間にもまた涙が出てきて、途切れ途切れだったけど3人はしっかり聴いてくれた。

赤葦

…だまっ、てて…すいません、でしたっ

木兎

謝るのはこっちだ。…庇えなくてごめん。

木葉

許せとは言わん。ただ、赤葦のことは絶対に信じる。だから…もう、泣かないでくれよ。

小見

猿も、鷲尾も、俺たちみんな赤葦のこと信じてるよ。疑って、本っ当にごめん!

先輩たちの優しさに、俺は泣き止むどころか再び涙が止まらなくなってしまった。

最近は涙腺が緩みっぱなしだ。

木兎

…それにしても、アイツら許せねえっ!!

木葉

大事な後輩を陥れやがって、マジぶっ飛ばしてやる!

赤葦

あのっ…

俺は口を開いた。

赤葦

もう、いいです。気持ちだけで充分ですよ。

小見

赤葦…でもっ

赤葦

だって、きっと大半の人は俺のこと信じないです。そしたら今度は皆さんが何かされるかもしれない。

赤葦

だったら、俺1人が被害を受ければいいんです。

木葉

赤葦…。

俺は無理やり笑顔を作った。

赤葦

俺は…こんな俺を信じてくれた皆さんが大好きです。

赤葦

だから皆さんが俺のせいで傷つくの、見たくないんです。

もう、充分です。

そう言おうとした瞬間、俺は木兎さんに肩を掴まれた。

木兎

赤葦っ!!

赤葦

えっ…ちょ……!?

木兎

お前、こんな時まで人の心配ばっかしてんじゃねえよ!誰がなんと言おうと俺はお前を守るって決めたんだ!!だから…

_俺たちのこと、頼ってこい!!

赤葦

…っ!

……本当に、今日は何回泣かされるんだろう。

次の日、制服に着替えてきた俺を見て母さんは驚いた顔をしたが何も言わなかった。

家の外にはレギュラーメンバーの3年生が待っていてくれて、俺が駆け寄ると母さんは5人に頭を下げた。

…京治を…お願いします。

鷲尾

任せて下さい。

猿杙

俺たちが絶対守ります。

歩き始めた時は良かったが、学校に近づくにつれて恐怖が大きくなり俺は思わず立ち止まった。

すると、木兎さんたちは俺の背中を叩いて笑顔を向けた。

木兎

大丈夫。俺たちがついてる。

俺はそれだけで安心できた。

廊下で俺たちの姿を見た生徒はみんな驚いていた。

3年生達と別れて教室に入ると、全員からの視線が突き刺さり足がすくんだ。

俯いて席に着こうとすると1人が言った。

桜田

…きっしょ。

赤葦

っ!

桜田はクラスでもカースト上位にいる女子だ。

その一言をキッカケに、皆んなが口々に罵声を浴びせ始めた。

モブ

お前ほんと信じらんねー。

モブ

人に罪なすりつけるとか最低だよな。

モブ

お前みたいなやつ人間じゃねえよ。

予想はしてたけど、やっぱりストレートに言われるのは辛い。苦しい。

野球部だかのガタイのいいやつが歩いてきて、俺の胸ぐらを掴み上げた。

野球部

…マジ死ねよ。

拳を振り上げるのが見えた。

殴られる。

そう思った瞬間、ひときわ大きな怒鳴り声が教室どころか廊下中に響き渡った。

木兎

てめえら何やってやがる!!

赤葦

ぼくとさんっ…!

戻ってきたのか、木兎さんの後ろには木葉さんたち4人も立っている。

猿杙

お前、今すぐ赤葦離せや。

普段温厚な猿杙さんのその迫力に、野球部は舌打ちをして俺を突き飛ばした。

鷲尾さんが前に進み出て言った。

鷲尾

お前ら、何をしていた。

クラスの奴は誰も答えない。

鷲尾

…何やってたって聞いたんだ。答えろ。

鷲尾さんに睨まれてクラス中が震え上がる。

すると桜田が言った。

桜田

あのぉ。じゃあ逆に聞きますけど、なんで先輩たちはこんな奴の味方するんですか?部室荒らされたんですよねぇ?

木葉

んなもん、赤葦のこと信じてるからに決まってんだろ。

桜田

何を根拠に。こいつがやってない証拠なんてないじゃないですか。

小見

じゃあお前は、赤葦がやったとこ見たのか。

うぐ、と桜田が声を詰まらせる。

再び静まり返った教室に、低くて静かな声が響いた。

木兎

なあ…お前らさ、根拠のない噂聞いただけで赤葦いじめてたの?

クラスの何人かが俯く。

木兎

俺にとってはそっちの方が人間じゃないと思うんだけど。

木兎

自分に置き換えて考えてみろよ。

木兎

やってもない罪で退部になって、関係ないやつにもいじめられて、学校行けなくなったら…。

気の弱い女子あたりはとうとう泣き始めた。すると桜田がまた声を上げる。

桜田

でも、先輩たちも最初は疑ってたんですよね?それならあたしたちと一緒じゃないですか。

木兎

…っ

モブ

そうですよ。何正義ぶってんですか。

モブ

だいたい、最初から先輩たちが庇ってれば良かったんじゃないですか?

ここぞとばかりに皆んなが騒ぎ出し、形成が逆転し始めた。

モブ

俺たちと同じことしたくせに人のこと言えないんじゃないですかー?

_やめろ

モブ

つか元々先輩のせい説〜ww

_なんも、知らないくせに…ッ

モブ

先輩こそ人間じゃないじゃないですか。

赤葦

…黙れっ!!

俺は思わず叫んだ。

滅多に大声を出さないからクラス中が驚いて静まる。

赤葦

お前らと木兎さんたちを一緒にするな…。この人たちは俺の大事な先輩だ!お前らなんかとは違うっ!!

野球部

うるせえよクズ!!

野球部に顔面を殴られ後方にすっ飛んだ。

鼻血が滴るのも気にせず、すぐに床を蹴って立ち上がりそいつを殴り返す。

ガッターン!と派手な音を立てて机がなぎ倒され、周りから悲鳴が上がった。

俺たちは取っ組み合いになって床に転がる。

口の中が切れて血の味が広がった。

俺は野球部の胸元を掴んで叫んだ。

赤葦

木兎さんたちはっ、こんな俺のこと信じてくれた!!ずっと気にかけてくれてた!お前ら、もういっぺん言ってみろ!その時は退学覚悟でぶっ飛ばすぞ!!

後には俺の荒い息だけが残った。

野球部

…悪かったよ。

野球部はただそれだけ言うと、俺を押しのけて席に戻った。

それを合図に他のみんなもそれぞれ机を戻し始め、木兎さんたちは少し戸惑いながら帰って行き、先生が来る頃にはすっかり元どおりになっていた。

出席を取るとき俺がいるのに気づいた先生は少し驚いていたけど、すぐに次の人の名前を呼んだ。

朝の話はすでにどこのクラスにも広まっていて、その日一日中俺がいじめられることはなかった。

ただし、話しかけて来るやつもいなかった。

嫌われ梟と檸檬と太陽

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コメント

3

ユーザー

う"う"ん赤葦くーん♡♡♡ だいじょうぶ僕付いてるよ良ければいじめた奴らまとめて殺ってあげるよ??

ユーザー

あーもうなんていうか、んん…一言にまとめると…すき。

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