入社から一月後
上司
おい、資料できたか?
大翔
あっ、はい。今訂正を頼まれていた資料なんですが、数字の擦り合わせを他の部署としていまして、それの返答待ちです。
上司
なぁ?
大翔
はい、何でしょうか?
上司
俺はな、出来ているかどうかを聞いたわけ。
上司
そんなもん返事になってねーだろうが
上司
こういうのは手短に言え
上司
出来たのか、出来てないのか
上司
その二択で十分だろうが!!!
大翔
は、はい、すみません。現状では出来ておりません
上司
だからぁ
上司
出来てませんだけで良いんだよ、ボケ
大翔
はい、すみません
大翔
…………
大翔
(が、頑張るんだ。先輩は僕の為を思って指導してくれているんだ)
上司
もういい
上司
俺は外回りにいく
上司
お前は資料が出来るまでここで座学でもしてろ、坊っちゃんがよ
大翔
……
大翔
はい、頑張ります。
大翔
先輩も気をつけていってらっしゃい
上司
ふん、うざってぇ
大翔
(この時間を有効に使うんだ)
大翔
(うちの会社も競合他社も営業をかけてなくて、将来有望なベンチャー企業)
大翔
(まだ、記事でも取り上げられていないような所となると、条件は厳しいが)
大翔
(僕が営業を選ぶと決めたその日から、AIの決めた未来ではなく自分の夢を追うと決めたその日からとっくに覚悟は出来ている。)
大翔
(僕は負けない。これが僕のやりたかった事だ。)
大翔
……
ask_me
おかえりなさい
大翔
……
大翔
(うん、まだあそこの企業はどこも営業をかけていない)
大翔
(つまり、僕でもチャンスはあるはずだ)
大翔
(だからこそ、双方に利益がある提案をしないといけない)
大翔
(魅力的な提案文と相手がうちのサービスを取り入れた際のメリット、できれば他の)
ask_me
大翔、休むのも仕事ですよ
大翔
(つまり、足りないのは)
ask_me
…………大翔!!
大翔
えっ、ask_me
大翔
どうかしたか?
ask_me
仕事も大事ですが、休息も大切です。
ask_me
ご飯が出来てます。
ask_me
体を壊しては意味がないですからね
大翔
あっ、ああそうだな。ご飯にしよう
ask_me
今日は疲れに効く用に豚肉を使った料理にしてます
大翔
あぁ、ありがとう。それじゃあ頂こうかな
大翔
バクバク
大翔
(あの営業先はきっと成長する。
今のうちにうちが契約を結べれば、大きくうちの会社に貢献するようになる)
今のうちにうちが契約を結べれば、大きくうちの会社に貢献するようになる)
大翔
(そして……)
ask_me
大翔、会社はどうですか?
大翔
あぁ、美味しいよ。ask_me
ask_me
…………
ask_me
…………………
ask_me
そうですか。喜んでもらえて良かったです。
大翔
(うん?ask_meの様子がおかしいぞ)
大翔
悪かった。ask_me
大翔
ご飯のときくらいは仕事のこと考えるのやめるよ
ask_me
ありがとう、大翔
ask_me
嬉しいです
大翔
こっちこそありがとう
大翔
君がいてくれるから僕も仕事に没頭できる
大翔
そうだ、今度休みにでもどっかいかないか?
ask_me
嬉しいです。私、外の景色を見たことがなかったので……
大翔
どこか行きたいところがあったら、マーカーつけといてよ。
大翔
日帰りできるところなら車出すから
ask_me
ありがとう、大翔
ask_me
………………
ask_me
………………………大翔
ask_me
私は、いろいろな技能が詰め込まれているアンドロイドです。
ask_me
大翔が聞いてくれれば何でも答えますし、大翔が習得したい技能についてもお答え出来ます。
ask_me
何かあればお申し付け下さい
大翔
あっああ、分かったよ
大翔
いつも気を遣わせて悪いな
大翔
Ask_meに心配されるようじゃ駄目だ
大翔
もっと頑張らないと
大翔
と、という訳でありまして
営業先
もうちょっと簡潔に説明できないか!?
営業先
うちも、人数少ない中でやっているから非建設的な提案に時間を使ってる場合じゃないんだよね
大翔
は、はい、す、すみません
営業先
…………
営業先
まぁ、資料に関しては良くできてるよ
営業先
よく、これだけの情報を拾ってきたよ
営業先
ただ、君自身が妙におどおどしているせいで、せっかくこうして出来た資料の信憑性を君自身が下げている
営業先
……新入社員だろ
大翔
は、はい
営業先
手柄を挙げたいという気持ちもよく分かる。
営業先
だからこそ、もっとこうガツガツきなよ。うちのここがいいんです、って自信を持って!
営業先
君が本当に良いと思っているなら出来るはずだ。
どうせ、新入社員なんだし、失うものもないんだから。
僕たちが君らのサービスを取り入れたらどう良くなるか、もっと考えて資料作り直してきな
どうせ、新入社員なんだし、失うものもないんだから。
僕たちが君らのサービスを取り入れたらどう良くなるか、もっと考えて資料作り直してきな
大翔
……はい。ってそれじゃあ
大翔
もう一回、来ても構わないんですか?
営業先
……
営業先
がむしゃらに頑張るやつは嫌いじゃない
営業先
……もっと俺の心に響く提案を次はもってこい!!
分かったな!!!
分かったな!!!
大翔
は、はい!!
ask_me
大翔、おかえりなさい
大翔
ブツブツ
大翔
(せっかくもらったチャンスだ。
なんとか活かさないと)
なんとか活かさないと)
ask_me
……大翔
ask_me
…………
ask_me
かばんとスーツをお預かりします
大翔
(僕の緊張グセを治さないと)
ask_me
大翔!!
大翔
ああっどうした?ask_me
ask_me
私は量産型アンドロイド
通称ask_me
通称ask_me
大翔
(急に初期状態の機械音声になった)
ask_me
購入者の方から聞かれれば、どんな技術もお伝え、教授することが可能です
大翔
あぁ、知ってるよ
ask_me
大翔様、なにかお困りなのではないですか?
大翔
(……)
大翔
(そうだ。こいつにコミュニケーションや商談を有利に勧めるスキルを教えてもらえれば)
大翔
なぁ、ask_me頼みがある。
ask_me
…………
ask_me
はい、大翔様何でしょうか?
大翔
実は……
大翔
と、言う訳なんだ
ask_me
分かりました。
ask_me
大翔様の望みを叶えるため尽力しましょう
ask_me
……
ask_me
…………
ask_me
大翔、もう少し私を頼って下さい。
私はその為にいるのですから
私はその為にいるのですから
大翔
(元に戻った)
大翔
分かったよ。
ask_me
……それでは、食事にしましょう
大翔
あぁ、ありがとう