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コメント
6件
やばい、なつくんの過去も気になってきた…っ すちくん大丈夫ッ!?
主
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 警察官パロ⚠️ 黄様若干翠様に嫌われ⚠️ 敬称に違いあり⚠️ パクリ禁止⚠️
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11,赦しは、他人から貰うものではなく、自分に与えるもの
第六刑務州の夜は、いつも薄暗い青に染まっていた。
それは昼と夜の境目のような色で、希望も絶望も、どちらも輪郭を失って混ざり合う。
静寂を切り裂くように、重い鉄扉が軋んだ。
低く響く夏希の声。
美琴は薄く目を開け、反射的に顔を引きつらせる。
夢ではない。
あの冷たい白の世界が、また自分を呼んでいる。
声が震えた。
それでも立ち上がる。
夏希は無言のまま、前を歩く。
早朝とも深夜とも呼べぬ時間、廊下には二人の靴音だけが響いた。
白い部屋の扉が開かれる。
壁も天井も床も、すべてが無菌のように白い。
その中心に、蘭・亥留馬・夏希・須智の四人がいた。
冷ややかな亥留馬の声。
美琴は無言で従い、金属の寝台に身を横たえた。
冷たい鉄の感触が背に突き刺さる。
手足を固定され、袖が無造作に捲られた。
注射針を持った須智が近づく。
美琴はその手を見た。
前回の針痕がまだ赤く残っている。
須智はわずかにずらし、再び針を差し込んだ。
液体が血管を逆流する。
冷たい。
それが心臓に届いた瞬間、視界が一気に白に塗り潰された。
――熱い。
――苦しい。
――吐きそうだ。
拘束は逃げ場を許さない。
呻き声だけが喉を震わせる。
須智の視界が滲んだ。
注射器を握る指がかすかに震える。
美琴の掠れた声。
その一言が、須智の奥底に封じ込めた記憶を引きずり出す。
――夏の日。
――笑い合っていた二人。
――「また明日」と手を振った少年。
今、その少年が苦しげに喘いでいる。
現か幻かも分からない。
けれど白の世界の中で、確かに声が聞こえた。
幼い須智の声だった。
美琴は泣きそうな顔で、虚空に答えた。
現実の須智は、その声に手を止めた。
胸の奥が痛む。
それでも、深く息を吸い、再び液体を押し込む。
懇願の言葉が響くたびに、須智の指が震えを増した。
そして、投与が終わる。
須智はその場に崩れ落ちた。
亥留馬が駆け寄り、その身体を支える。
須智は意識を手放しながら、美琴の名を呟いた。
――みこちゃん、どうか、生きてくれ。
部屋には、夏希と美琴だけが残った。
機械音が、静かに時を刻んでいる。
夏希は寝台のそばに立ち、黙って腕を組む。
美琴の唇がわずかに動くが、意識は戻らない。
ぽつりと夏希が呟く。
冷たい声の奥に、かすかな揺らぎがあった。
夏希は視線を落とし、苦笑した。
一息、吐き。
ふっと笑う。
白い光の中で、その声だけが人間の温度を持っていた。
朝。
光が、白い部屋の角を溶かしていく。
美琴は微かな痛みと共に目を開けた。
呟いた時、扉が開く。
夏希が入ってきた。
表情はいつも通りだが、どこか柔らかい。
歩き出した廊下の途中で、夏希がふと立ち止まる。
そう言って、夏希は背を向けた。
独房の扉が閉まる音。
すぐに、心雨が駆け寄ってきた。
美琴が微笑むと、心雨は安堵の息を吐き、そっと手を伸ばした。
その手は、驚くほど温かかった。
思わず目を瞬かせる美琴に、心雨はへっと笑う。
鉄格子の隙間から、光が差し込んだ。
それは、血のように赤くも、祈りのように白くもあった。
――赦しとは、誰かのためにではなく。
――自分が、もう一度生きるためにある。
美琴は静かに息を吸い、瞳を閉じる。
延命という名の地獄の中で、確かに鼓動が続いていた。
それは、罪の声を抱えながらも、なお祈りを捨てぬ者の鼓動。
檻の奥、遠くで誰かの足音が響く。
百年の祈りは、まだ終わらない。
11・了
主
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡120
主
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