上弦の月が輝くときに。

あいつは一体誰なんだ？

まずはそこからだ

やっぱり、白銀の関係者？

父親…

だとしたら、白銀は両親を失うことになる

それは白銀にとって、地獄の道だ

でも、放置しておいたら俺たちが死ぬ

どうする？

どうする？

…１００のために１を切り捨てる覚悟はできていた

この場合、白銀の人生は１だ

俺と六花、咲希さんの命が１００

…白銀は、命を狙われるのだろうか

実の娘の命を奪うか？

それとも、俺らへの殺意の方が強いか？

ガチャッ

私は刑事役

刑事って、事件に関わることは真面目で、真顔だと思う

そして、固い感じ

でも、刑事だって１人の人間

人間味をなくしてはいけない

そこがきっと、大変なんだろう

天音のお父さんへの憎しみを、精一杯詰め込む

桜風は幼い頃からお父さんっ子だった

そのお父さんが、目の前の少女のお父さんに殺された

どれほど辛いだろう

…でも

桜風が憎んでいるのは、天音のお父さん

天音を殺して、怒りは収まるのだろうか

天音の視線が痛い

殺さないで、殺さないで

そりゃあそうだ

天音はまだ１２歳

それで殺されてしまうなんて

そうだよ

何か、道はあったはずだ

きっと別な世界では、私たちは仲良くしていたのに

父親同士の問題で、娘に被害が行くなんて、ひどい

救われない

今の桜風には、きっとどんな言葉も届かない