流星side
次の日から授業が始まる。 編入のため、もうクラスは何組かのグループができていた。 僕は特に紹介されるわけでもなく... コソッとクラスに入っていく。
ガラッ...
静かにドアを開けたつもりが、 初めましての僕をみんなが見てくる。
女子学生
女子学生
男子学生
誰か話しかけに来るのかな?と思ったが、 みんな陰でこそこそ僕のことを噂するだけ。
まぁ、そんなもんだよね。
いまは私服だからか、誰も僕を男の子なんて思ってない。
そんなことを無視していると、先生がやってきて 授業が始まる。
2年生からとのことで、ある程度授業内容は進んでいた。 勉学は少し得意な僕は予習もし、ある程度はついていける。 そこは持ち前の頭脳に感謝した。
けれど...
先生
僕の1番恐れていた、実習が始まろうとしていた。 お菓子屋の息子なのに、全くと言っていいほど お菓子を作ったことがない。 こればかりは本を読んでも、どれだけ勉強しても... 全くと言っていいほど分からない。
ここは思いきって... 誰かに教えて貰うか。
そう思って声をかけようとすると
流星
女子学生
女子学生
女子学生
女子学生
流星
やばい。誰も相手にしてくれないどころか 変な噂まで立ってる。
どうしよう... これは夜、特訓をするしかない。
そう思って、学校が終わった後 僕は実習室で1人で明日の練習に取り組んだ。
流星
なんだ。簡単そう。 だって生クリームをシャカシャカ泡立てるだけ。 こんなの混ぜてればできるでしょ。 そう思って、少し安心した気持ちで始めてみると...
カシャカシャカシャ...
流星
カシャカシャカシャ...
流星
そう思って目分量で砂糖を入れる。
うーんちょっと泡立った?
カシャカシャカシャ...
流星
教科書を見るけれど...全く分からない。
その後何回か繰り返したが、コツが掴めず...
流星
と弱音を吐くしかない僕。 目の前のクリームはボソボソだけど...
ペロッと舐めると、甘くて...優しい味がした。
大吾
すると、急に目の前に男の人が現れた。 物音ひとつせず僕の前に。
流星
大吾
流星
大吾
そう言うと、男性は僕の後ろに周り 手を添えながら教えてくれる。
大吾
流星
大吾
そう言って一緒に泡立て器を持ち、道具の当て方や クリームの見極め、砂糖の量など...細かく教えてくれる。 こんなの教科書には載ってない。 すごく...分かりやすい。
そうしているうちに...
流星
見た目は理想の硬さの、綺麗な生クリーム。
大吾
食べてみると... フワッと溶けて、でも少し弾力もあって。 甘さもすごく丁度いい。 こんなクリーム、僕にも作れたんだ。
流星
大吾
何を言ってるんだこの人は。 不思議な人もいるもんだなぁと思っていた。
流星
大吾
大吾
流星
この学校には優しい先輩もいるんだなぁ。 そしてなんか、かっこいいし...。
これからも、なんか頑張れそう...。 僕の心にちょっとだけ光が差し込んだ瞬間だった。
コメント
1件
ここ最近で読んだ中でいちばん好き !!。+゚((ヾ(o・ω・)ノ ))❤❤