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アルミ
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#カントリーヒューマンズ
ねがてぃぶろっこりー
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コメント
1件
うわー、今回の話、ナチスの状態がすごく気になってしまった……。朝の記憶がなくて別人のような態度になる症状、それに3週間も続くって重いな。でもアメリカと日帝が「支える」って言ってくれたシーン、とても温かくてホッとしたよ。イギリスの距離感も相変わらず掴みづらいけど、それがまたこの作品のリアルさだな。 カードとT字の棒、アイテムの意味も気になるし、最後のシーンの草むらと「もう大丈夫だよ」の声、これは誰の夢なんだろう……。次が楽しみ!
17日目 午前7時15分
日帝
1番小さい明るさの電気。
まだ完全な電気はつけられない。
日帝
アメリカ
2人で部屋の隅に座る。
まだ3人とも起きない。
昨日は初めての体制で探索したから…
疲れが溜まっていても無理はない。
そういえば、アメリカより先に起きたことが 一回も無い。
7時くらいに起きて見回したが、 もうすでにアメリカが起きていた。
日帝
アメリカ
アメリカは天井をぼんやりと見る。
アメリカ
日帝
思わずどよめいてしまう。
自分と比べたかった。
アメリカ
日帝
そんなに早いのか……。
1番始めに消灯を提案するのも アメリカだしな……
早寝早起きが好きなのかもしれない。
健康的だ。
ナチス
前から大きな声がした。
2人同時に顔を向ける。
ナチス
見れば、ナチスが頭を掻きながら 布団から出ていた。
上体を起こし、 目を細めながらこちらを見た。
ナチス
日帝
声をかけてみる。
ナチスは2回ほど瞬きし、 呟くように返した。
ナチス
アメリカ
すごく眠そうだし、まだ布団を掴んでいる。
座ったまま動かない。
ほとんど目を閉じている。
目が明るさに慣れないのか、 本当に眠いだけなのか。
アメリカ
不意に、アメリカがそんな事を俺に聞いた。
言われてみれば、こういう姿は初めて見る。
日帝
ナチスは、起床後いつも すぐに起き上がって動いている。
眠そうな感じは一切無かった。
しかし今はすごく気力が無い。
昨日の探索が体に響いたんだろうか。
アメリカ
ナチス
ゆっくりとアメリカの方に向く。
ナチスは少し黙ってから、 再び布団に潜ってしまった。
アメリカ
アメリカが少し縮こまる。
ナチスは何も反応しなかった。
日帝
少し気まずい空気が流れる。
アメリカになんて声を掛ければ良いか 考えている内に、アメリカから話し出す。
アメリカ
日帝
開き直りが早い。
声を掛けたかったが、先を越された。
でも少し息が詰まる。
アメリカは気にしていなさそうだが……
ナチスが起きる気になったら話さないと。
17日目 午前7時42分
じゃんけんで負けた イギリスとナチスが朝食を持ってきた。
食料が出てくるあの掃除用具入れから 自由に食料を取り、 自由な時間に食事できる体制だ。
アメリカ
イギリス
イギリスがあからさまに 機嫌を損ねている。
隠す気も無い。
相当この係を嫌がっている。
一方、ナチスからの反応は無い。
無表情で袋を抱えて持ってきた。
日帝
様子がおかしい。
アメリカもソ連も分かっているだろう。
しかし誰も口にできない。
普段のナチスなら何か言ってくれる。
必ず会話に入ってくるし、 自分から会話を始めることだってある。
いくら寝起きが悪いとはいえ…… それだけでは庇いきれないほど異常だ。
ここでは言わない方がいい。
2人きりになってからだ。
冷静に判断しないと。
アメリカ
2人が机の上に袋を置いた。
この量なら今日の3食分は持つ。
アメリカが真っ先に袋を取った。
それに続いて皆も袋を取る。
俺も迷った挙句にあんぱんを選んだ。
アメリカ
日帝
ソ連は袋だけ取って部屋の隅に行き、 背を向けながら食べている。
いつもの事だ。
日帝
あんぱんの生地を咀嚼しながら、 ナチスの顔を盗み見る。
机を見ながら、調理パンを黙々と 食べ進めている。
相変わらずの無表情。
いや……少し、怒っている……?
どうしたんだ……?
原因が全く分からない。
何かあったのは間違いないが…
おそらく、きっかけの出来事は朝ではない。
様子がおかしいのは起きてからすぐだった。
それなら、昨日……?
昨日の寝る直前まで 普通にしているように見えたが……。
思い当たる出来事がない。
俺は昨日、ソ連と2人で探索した。
アメリカ、イギリスの2人と探索した時に、 何かあったのか……?
ナチスは何でも素直に言ってくれる、 というイメージを持っていたが……
誰だって素直に言えないこともある。
食べ終わったら聞いてみよう。
食事が終わり、それぞれバラけ始めた頃。
アメリカも気になっていたようだが、 ナチスに話しかけようとする俺を見て下がってくれた。
どう話を切り出そうか迷ったが……
意を決して口を開く。
日帝
後ろから肩に触れる。
ナチス
ナチスはすぐに振り返った。
いつもより目に力が入っていない。
日帝
日帝
すぐに本題に入った。
警戒されないように、 なるべく無難な形で問う。
これで答えてくれるとは思えないが、 気にしていることは伝わるはずだ。
ナチス
目を合わせているが、特に感情を見せない。
ナチス
そう言って、また前を向いてしまった。
日帝
何も無いわけがない。
明らかに無気力だ。
すぐに離れて、アメリカの方に駆け寄った。
待っていましたと言わんばかりに、 アメリカは俺を見た。
できるだけ声を抑える。
日帝
アメリカ
アメリカは大きく頷く。
日帝
日帝
アメリカは首を横に振る。
アメリカ
日帝
八つ当たりしているとは思えない。
そういう人間ではないし…
もしそうだとしたら、 昨日寝るまで普通だった事の 説明がつかない。
……そうだ……イギリスといえば。
朝食を一緒に運んできたな……。
日帝
日帝
アメリカ
アメリカから離れ、先に部屋を出た。
17日目 午前8時01分
集まった生徒を数え終えた。
日帝
今日は4Fに向かわせる。
続々と生徒が入っていく中、 後ろに振り返って4人を見た。
日帝
ソ連が勢いよく手を挙げた。
イギリス
……2年の2人か……
アメリカに目配せすると、 わずかに首を横に振った。
ナチスが気になるんだろう。
ナチスは行きたくなさそうだから、 1人にしないために 誰かを部屋に残すことになる。
現状だと、部屋に残るのは ナチスとアメリカ。
探索に行くのは、俺とイギリスとソ連。
……うーん……。
でも、アメリカを探索に行かせるのは 間違っている。
イギリスとソ連は 何を言っても行くだろうし……
2人をどうしても放っておけない。
こうするしか無いか。
日帝
日帝
全員に言い渡した。
ナチスを任せた、と アメリカに視線を送る。
アメリカ
サングラスで目が見えないが、 俺を見た事は分かった。
分からないくらい小さく笑い、 頷いてくれた。
後でゆっくり話を聞こう。
日帝
イギリスとソ連に言い、 先に棟の中へ入った。
今日の探索は4Fだから、 階段を上るのか。
幸い、すぐ近くに階段がある。
生徒もその階段を使って行ったのだろう。
迷っている生徒がいなければいいが。
後ろを振り返ると、既にソ連が 真後ろで歩いていた。
いつの間に。
日帝
静かすぎて気づかなかった。
意地悪なのか天然なのか……
日帝
ソ連は俺の右隣に来て歩く。
日帝
ソ連
ソ連が振り返ったので、 俺も真似して振り返る。
イギリス
2mほど距離を置いて歩いていた。
すごく離れているように感じる。
日帝
手招きをしてみるが、来ようとしない。
イギリス
軽く微笑みながら、 さらっと傷つくことを言う。
日帝
手を引っ込めて前を向く。
ソ連は興味が無さそうにぼーっと歩いている。
ああ……気まずい……。
気まずいと思ってくれ…… 2人とも……
ソ連
廊下を曲がった所で、ソ連が 階段に向かって駆け出した。
ソ連のあとを追おうとするが、 足が止まる。
日帝
イギリスに聞かなければ。
朝食を運んできた時、何か話したのか。
振り返ってイギリスを見た。
イギリス
イギリスは怪訝そうな表情で 目を合わせる。
日帝
イギリス
きっとナチスの事だ。
イギリスも分かっているはず。
日帝
その時唯一ナチスを見ていた イギリスなら…
何か分かることがあるかもしれない。
イギリス
じっと見つめてくる。
嘲笑も何も無い、真っ直ぐな目。
笑っていない。
イギリス
日帝
イギリス
無表情で言い放った。
呆れ切った低い声。
イギリス
日帝
……なんで……。
……いい加減にしてくれ。
日帝
拳を握った。
どうしようもない問題なのに。
真剣になっている時さえ、 こちらに協力してくれない。
イギリス
イギリスがようやく薄笑いを浮かべた。
イギリス
日帝
……頭に血が上っている。
教えてくれないならそこまでだ。
落ち着け。
日帝
イギリスには聞かない。
作り話をされても困る。
アメリカと何とかするしかない。
イギリスが俺の後ろを指差した。
イギリス
振り返ると、階段の一番上で ソ連がこちらを覗いていた。
一回上って、なかなか来ないから 降りてきたのだろう。
ソ連
日帝
ソ連が4Fに入っていく。
すぐに体をそちらに向け、 階段に駆け出した。
日帝
ソ連
階段を上り、4Fに入った。
ソ連が手前のドアを指でつつく。
早く行きたいらしい。
でも、2人いたって仕方ない。
イギリスも来てくれないと。
日帝
階段の方に呼びかけた。
少ししてから、 イギリスが階段からゆっくり歩いてきた。
焦ろうとしないその様子を見ても もはや何も感じない。
慣れてしまったのだろうか。
日帝
そう言うと、 ソ連はすぐにドアを開けて 部屋に入っていった。
そんなソ連を見送りながら、 イギリスに目をやる。
2m距離を開けて立っている。
イギリス
日帝
本当に入ってほしそうに急かす。
距離は縮まらない。
頑なに近づいてこない。
日帝
日帝
ただ純粋に聞きたい。
その態度は楽しいから取っているのか?
別の理由があるのか?
よほどの理由が無ければ こんな態度を取らないはずだ。
……その思いも込めて聞く。
イギリス
イギリスはすぐに肯定した。
イギリス
イギリス
……どうしても、目の前の人間が 理解できない。
本当に分かり合えないのか……?
この2日間、何も分からなかった。
そちらからは絶対に来ないのに…
歩み寄ろうとしても遠ざかる。
一向に距離を縮めてくれない。
日帝
諦めるしか無いのか?
本人が本当に嫌がっているなら、 やめた方がいい。
でも、まだ真意が分からない。
……もう少し頑張ってみようか……。
……一旦頭を冷やしたい。
また後で考えることにして、 今は探索だ。
息をついてから、 ソ連が入った部屋に足を踏み入れた。
17日目 午前9時04分
ナチス
気づけば部屋の隅で正座していた。
夢から覚めた……
いや、急に正気になったような……
そんな感覚と共に、思考が覚醒する。
アメリカ
途端にアメリカが飛びついてきた。
正座をしていたが横にぶっ倒れる。
ナチス
アメリカ
アメリカが俺を起こし、 肩に腕を回してきた。
ナチス
そう軽く言いながらも、 ひどい胸騒ぎがする。
何度も経験してきた感覚だった。
信じたくない。
予想が間違いであってくれ。
ナチス
アメリカ
いつも以上に笑顔だ。
その光景も何度も見てきた。
ナチス
ナチス
時計を見れば9時04分。
こんな時間までこの姿勢で 寝ていたなんてありえない。
皆が起こしてくれないのもおかしい。
絶対にこの体で動いていた。
朝食が腹の中にあると、感覚でわかる。
でもどうしても思い出せない。
頭が痛い。
両手に力がこもる。
皆に何かしていたら……
どうしよう……
アメリカ
思わず顔を上げる。
アメリカ
帽子越しに頭を撫でてくれた。
ナチス
頭が手の方に傾く。
アメリカ
張り詰めていた胸の奥が、 少しだけ温かくなる。
目を瞑った。
ナチス
アメリカ
探索か……。
日帝、ソ連、イギリスの3人で 探索に行ったことになる。
何かしらの配慮をしてこの形になったんだろう。
後で日帝にもお礼を言わないと。
ナチス
ナチス
記憶が抜け落ちている症状。
何の病気なのかは予想がついているが……
信じられない部分はある。
まだ確定できない。
アメリカ
ナチス
小さく頷いた。
自分が未知であることは 生活に支障を及ぼす。
何故こうなってしまうのか、 自分でも分かっていない。
知らなければ。
このゲーム内でも症状が出たら、 元の世界以上に 周囲に迷惑をかけてしまう。
この機会にいい加減知りたい。
ナチス
ナチス
アメリカ
ちょい長めどころじゃない。
ここから3週間、 今日のような症状が続く可能性が高い。
ナチス
アメリカ
アメリカが快く笑った。
何でもすぐに任せられる所は すごく助かる。
ナチス
ナチス
俺は本当に何も知らない。
なら、症状が出ている時の俺に聞けばいい。
ナチス
アメリカ
深く頷く。
知るためにはこの方法しかない。
ナチス
聞きたいことは他にもあるが、 一番はこれだ。
アメリカは少し固まったあとに頷いた。
アメリカ
今完全に停止していた。
ナチス
アメリカ
ナチス
嫌じゃないなら……
さっきの間は何だったんだ。
ナチス
アメリカは頭に手を当てる。
アメリカ
ナチス
アメリカは苦笑いで頷く。
アメリカ
ナチス
アメリカ
1番尊敬してるのに……。
日帝にも口聞かないのは相当だ。
俺がやったとは到底思えない。
ナチス
ここまで来たら俺じゃないみたいだ。
別人と考えたほうがいい。
後で日帝に謝らないと。
アメリカ
ナチス
もちろんだ。
日帝になら何でも言える。
アメリカ
アメリカが右手を握り、 ピシッと親指を立てた。
アメリカ
無邪気でいて、強くもある笑顔。
その笑顔を見ると、 全て何とかなりそうな気がした。
ナチス
少しだけ頬が緩む。
2人になら任せられる。
日帝が帰ってきたら、 アメリカと一緒に俺も話そう。
17日目 午前10時47分
機械音声
機械音声
17日目 午後12時06分
日帝
また1部屋探索し終えた。
見つかったのは、 中央に黄色い線が入ったシルバーのカード。
用途の分からないものばかり増えていく。
T字の棒はいつもの事だし、
昨日は謎の液体、 今日はカード。
何に使うのか分からなければ 意味が無い。
結構高い棚もあったため、 ソ連に肩車してもらって探索した。
部屋がかなり広くて疲れた……。
次に行かなければ……。
日帝
カードをポケットに入れ、 ドアに向かおうとした。
イギリス
日帝
振り返ると、 イギリスが部屋の隅でこちらを見ていた。
ソ連はまだ床で大の字になっている。
2人とも移動する気がない。
イギリス
日帝
イギリスはそんなに探索してなかった 気もするが……
2人とも休みたいのか……。
ラッキーだ。 これに乗って少し休んでしまおう。
マイペースな2人と組んでも 良いことはあるもんだ。
日帝
すぐに引き返してソファに座った。
少しだけ沈み込んで、 ゆっくり元の形に戻っていく。
弾性が強い。
日帝
誰も喋らない。
でも気まずい空気ではない。
それぞれが別の時間を過ごしている。
それが気楽であり、 少し物足りなくもある。
この2人とはこのくらいの距離感で 十分な気がする。
何となく、 快適な距離感が分かってきた。
相手がどう思っているのかはともかく……
こんな過ごし方が無難だろう。
一緒に過ごすけど、 お互いの空間に干渉しない。
しばらくはこれで過ごしたい。
17日目 午後5時54分
生徒を集めて解散させ、部屋に戻った。
日帝
アメリカ
アメリカが目の前まで走ってくる。
満面の笑顔。
日帝
すると、アメリカの肩の後ろから ナチスが顔を出した。
日帝
ぶっきらぼうな声で、 でもこちらを見て言う。
ナチス
日帝
良かった……!
ナチス……いつも通りだ……!
朝の気怠げな雰囲気が無い。
アメリカ
アメリカが 真ん中のテーブルに駆けていき、 テーブルに載った袋を取った。
日帝
テーブルまで行って座った。
ナチスが隣に座る。
目を合わせてこない。
気まずいんだろうか?
日帝
ナチス
ナチスがびくっと肩を震わせて こちらを見た。
顔が強張っている。
ナチス
かなり緊張している。
声もどこか固い。
そんなに緊張しなくてもいいのに。
日帝
ナチス
ナチスはまたすぐに前を向く。
肩がずっと上がっている。
力が入りすぎだ。
何も言わない代わりに、 肩をトントンと軽く触った。
肩がゆっくり下がっていく。
ナチス
特に嫌な気分になっていない、と 伝わっていればいいが。
どちらにせよ、 アメリカから後で話を聞ける。
それだけで今日はいい。
食後、アメリカから話しかけてきた。
声を落として言う。
アメリカ
日帝
自分が頼ってもらえる事が分かり 少し胸が軽くなる。
まあ……いきなり全員には 言いにくいか。
何を話すんだろう。
ナチスがこちらを見て、 静かに向かってきた。
ナチス
日帝
さっきまでの気まずさはなくなり、 まっすぐ目を合わせてきた。
ナチス
言い方に違和感を覚える。
日帝
ナチスは一瞬だけ俯いたが、 すぐにまた目を合わせる。
ナチス
日帝
ナチスは小さく頭を下げる。
アメリカもナチスを二度見した。
アメリカ
日帝
ナチスの肩を掴んで、 すっと体を起こした。
日帝
日帝
ナチスは数回瞬きして、首を傾げた。
ナチス
まだ疑われている。
迷いなく何回も頷いた。
日帝
ナチスがアメリカを見ると、 アメリカも首が折れるほど大きく頷いた。
ナチスがもう一度俺に向き直る。
ナチス
ナチスが少しだけ笑った。
柔らかく、自然な笑い。
今日初めて笑顔を見られた。
アメリカ
アメリカが部屋全体をさっと見る。
日帝
声を落として話せばいい話だが…
聞かれる可能性が高いし、 すごく嫌な印象を与える。
それなら 堂々と3人で廊下に出たほうがマシだ。
アメリカがドアの方に向かった。
ナチスが歩き出すと同時に、隣に行く。
どちらからも話さなかったが、 居心地は悪くなかった。
廊下に出た。
灰色の殺風景な通路が続き、 微かに近くの部屋から話し声が聞こえる。
ここで静かに話したら、 きっと部屋の中には聞こえない。
日帝
日帝
アメリカがナチスの方を向いた。
ナチスは少し黙ったあと、 覚悟を決めたように頷いた。
アメリカが話すらしい。
アメリカ
どこから話そうか迷っている。
複雑な話か……
どんな話でも聞こう。
アメリカ
アメリカ
反射で頷いた。
日帝
……うーん……?
よく分かっていないなんて とても言えないな……
もう頷いてしまったし……。
どういうことだ。
朝の記憶が無く、 あの態度はナチスが取ったものではない……。
聞いていけば分かるものか……?
アメリカ
日帝
それは仕方ない。
記憶が無いのだから、 それが何なのか知る由もない。
分からなくて当然だ。
もし俺だったら 混乱どころじゃ済まないだろう。
ここまで冷静に対処してくれる事自体が 立派でありがたい。
不思議な現象だ。
……いや、現象というより……
……症状……?
アメリカ
アメリカはあくまで淡々と、 重くしないで話してくれている。
アメリカ
ナチス
ナチスが少し俯き気味に頷く。
ナチス
日帝
ここは頷く。
大変だな、とも 可哀想に、とも言わない。
ナチス
ナチス
……症状の事を、か。
ナチス
ナチス
ナチス
日帝
ナチスの話を聞きながら、 思考がぐるぐると回ってくる。
自分の事が分からないのは、 うまく想像できないけど すごく怖いことな気がする。
コントロールできないとなれば 尚更。
それは知りたいよな……。
是非とも協力したい。
そのナチスが知っていることを なるべく聞き出す。
それが明日からのノルマ。
アメリカ
日帝
にこりと微笑んでみせる。
それから、ナチスを見た。
ナチス
ナチスがこちらを見て 首を傾げた。
少しの不安が見え隠れしている。
日帝
日帝
ナチス
ナチスは俺達を見てから、 吐息に近い笑いをこぼした。
ナチス
小さな子供のように大きく頷く。
その顔は今日で一番明るく、 輝いていた。
17日目 午後9時31分
のどかな草むらの中。
目を瞑っていた。
体の芯から末端まで、全てが 温かさで包まれている。
感覚が鈍い。
痛みも疲れも無い。
ここが一番心地よい。
目隠しをされているような。
耳を塞がれているような。
全て忘れられそうな。
どうしようもなく体が休まる場所。
誰かが、静かに歩み寄ってくる。
お前のためだと言って、毎日 ここに寝かせてくれる。
姿を見たことは無い。
見る必要もない。
優しい人。
その人は今日も隣に来た。
ゆっくりしゃがんで、 俺を見つめる。
誰にも聞こえない声で、
俺にしか聞こえない声で、
囁いた。
もう大丈夫だよ。
何もしなくていい。