テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#生きるのが辛い
御番.
109
137
コメント
1件
読み終わりました……。主人公の、家でも学校でも息ができない苦しさが、ひしひしと伝わってきました。そんな中で放送部の先輩たちとの出会いが、ほんの少しの灯りになっていて。「記憶喪失のフリ」という選択をしたシーンでは、追い詰められた気持ちがひしっと胸に刺さりました。それでも6人のことを思い出して「生きよう」と決めたところ、じんわりと温かくなりました。続きがとても気になります……!
『私が救われるその日まで』 〝私〟が救われるための物語。
ここから先の内容は、私の独り言です。
辛い人には辛い内容かもです。 注意です
私の家は、父が厳しく、 誰も父に逆らえなかった。 母は、うつ病になってしまい、 仕事を休んでいた時期もあった。
私には弟がいる。 2歳下の弟は、おそらく知能に 問題があり、普通の会話が できないときがある。 そんな弟と父の相性は最悪で、 母は別室で動けなくなっているため、 誰も止めることができない。
中学校に私が上がるまでは、 弟が怒鳴られているくらいだった。 私は滅多に怒られることがなかった。
しかし、私が中学生になり、 テストの点数を見られるようになった。 私の平均はだいたい80ぐらいで、 私的には良い方だったが、 父は納得いかないらしく、 間違えたところを理解するまで 何度も怒鳴りながら教えられた。
怒鳴りながら、何時間も。 クラスの人に話すと、 「え、80取れてるの? 私なんか平均ぎりだよー」と 言われてしまった。
気にしてほしいのはそこじゃなかった。 「え、でもさ、〇〇さん 頭良さそうだよね」とか… 論点が違うのばかりで、 …話すことを諦めた。 話すことが疲れた。
心の支えがほしかった。 優しく受け止めてくれる人が。 静かに気にかけてくれる人が。 明るく照らしてくれる人が。 周りの違和感に気づける人が。 否定せず背中を押してくれる人が。 温かく頼りになるような人が。 …私は…ずっと…そんな人を探していた。 ……そして、…6人の推しができた。
私は、帰宅部だった。 特に入りたい部活もなかった。 4月の段階では、テストの結果で 怒られることなど、 考えてもいなかった。
…結局、逃げ場もなく、 家に帰りたくない日々が続いた。 …学校が終われば、 どうしても家に帰らなければならない。 …学校の虐めは、転校すればなくなる。 先生や親に相談すれば、 解決する可能性もある。
…でも、親は…。 …親からは、…逃げることができない。 …母の給料では…暮らしていけない。 …新しい土地で、母や弟を 巻き込んで暮らす勇気もない。 ……私は……居場所を 用意してくれる人がほしかった。
一年生の10月の合唱コンクールで、 アナウンスをする人が 足りないという理由で、 私は担任の先生から声をかけられた。
合唱コンクールのアナウンスは、 放送部がしているが、 同学年の放送部員は2人しかいない。 2、3年の先輩は、10人以上いるが、 今年は勧誘をミスったらしい。 担任の先生が放送部の 顧問だったこともあり、 帰宅部の私に声がかかった。
家に帰りたくなかった私は、 とりあえずオーケーを出した。 放課後、放送部の人たちと 一緒に練習すると聞いたから。 親は、先生に頼られたと言えば 喜ぶだろうと思った。
先生に声をかけられた日の放課後、 先生と一緒に放送部の部室へ行った。 先生から原稿を渡されて、 一通りの説明を受けたあと、 自主練しといてと言われた。 ……自主練って…どんな風に すればいいんだろうと思っていると、 一人の先輩が声をかけてくれた。
?
私
声をかけてくれたのは、 優しい雰囲気の男性の先輩だった。 初対面なのに、不思議と安心した。 穏やかな話し方で、落ち着いた人だった
?
私
?
何をすればいいか、 具体的に教えてくれた。 よく周りを見てるな、と思った。
?
石瀬先輩
?
石瀬先輩
……可愛いな。……気づけば、 そんな言葉が頭に浮かんだ。 …石瀬先輩というらしい。 石瀬先輩に声をかけた人も、 優しそうな目をしていた。
…驚いた顔、可愛かった。 男性に可愛いと思ったのは2人目だな。 とか、いろいろ考えながら、 イントーネーションの確認をした。 ちなみに、可愛いと思った一人目は 一個年上の幼馴染。
石瀬先輩
私
?
石瀬先輩
希粋先輩
…もう一人は、希粋先輩というらしい。 …てか、タイピング速っ!
希粋先輩
?
顧問の先生
?
石瀬先輩
希粋先輩
溝咲先輩
希粋先輩
二人と話していたら… 太鼓部の人が助けを求めに来た。 太鼓を運ぶのを手伝ってほしいらしい。 …太鼓部の人は溝咲先輩というそうだ。 …先輩3人が、世間話をしていた。 …石瀬先輩と希粋先輩は、 溝咲先輩と仲良しらしい。
溝咲先輩
石瀬先輩
溝咲先輩
希粋先輩
溝咲先輩
希粋先輩
…希粋先輩と溝咲先輩が、 教室を出ていった。
石瀬先輩
私
………ここは…あったかいな。 ……余計…帰りたくない。
声田部長
石瀬先輩
私
石瀬先輩
私
…石瀬先輩が…自主練に戻った。 ……優しい先輩だったな。 …男性が話しかけてくれるの意外。 ……まあ…あの2人は、 そういうの気にしないんだろう…。 ……同学年の2人とも… 話したいんだけど…誰だろう…。
…まあ、…その後… 同学年の男子と話したり…。 ………そんなこんなで…練習が終わった。 同学年の女の子は入院しているらしい。 女子の先輩とは…あまり話せなかった。 ……これは…一人で帰るパターンか…。
石瀬先輩
希粋先輩
石瀬先輩
希粋先輩
石瀬先輩と希粋先輩が、 テニス部の話をしていた。 …待ち合わせをしているらしい。 ……テニス部…。……そういえば、 あの2人もテニス部か…。 …最近…会ってないな。
石瀬先輩
希粋先輩
石瀬先輩
希粋先輩
…2人の会話から、…翡翠と聞こえた。 …翡翠って…。……翡翠凛太郎だよな…。 ……さすが同学年。…仲いいんだ。 …凛太郎くんは、幼馴染で、 一番最初に可愛いと思った男子。 家が隣。
私
石瀬先輩
私
希粋先輩
石瀬先輩
希粋先輩
私
石瀬先輩
希粋先輩
私
一人で帰ろうとしていたら、 二人から声をかけられた。 暗いから、できれば一緒に 帰ってほしいと言われた。 さすがに申し訳ない…。 2人モテそうだし。 2人のファンから嫉妬されたら嫌だ。
凛太郎くん
将暉くん
私
凛太郎くん
将暉くん
私
…凛太郎くんと将暉くんが 2人を迎えに来た。 …将暉くんも幼馴染。 凛太郎くんの妹と、私が仲良くなって、 私の弟含め4人で遊んでたら、 自然と将暉くんとも遊ぶようになった。
凛太郎くん
私
将暉くん
凛太郎くん
私
…なんやかんやあり… 一緒に帰ることにした。 …凛太郎くんと家隣だし。 ……でも…これでは… 4股してるみたいでは…。
?
凛太郎くん
?
石瀬先輩
将暉くん
希粋先輩
凛太郎くん
久保先輩
私
久保先輩
私
久保先輩
将暉くん
石瀬先輩
久保先輩がきた。初対面だった。 というか…誰も説明しないから… 幻覚だと思われてた…。 …5股になったな…。 …ていうか、急にイツメンに 異性来たらもっと拒否らないか…? ……優しすぎて怖い…。
溝咲先輩
……美女…?…ああ…凛太郎くんか。
溝咲先輩
私
溝咲先輩
私
久保先輩
私
将暉くん
私
石瀬先輩
希粋先輩
石瀬先輩
希粋先輩
私
溝咲先輩とも合流して、 放送部の一年生少ない問題に 少し触れてから、 ……急いで靴箱に向かった。 もう少しで門が閉まる。 学年が違うと靴箱も違うので、 門で集合している。
……将暉くん…足速くなってたな。 …身長あんま変わってないけど。 ……将暉くんは、小さい頃 身体が弱かったらしい。 ……ほんと…治って良かった。 …てか、6股になってしまった…。
(門)
私
凛太郎くん
私
石瀬先輩
私
希粋先輩
私
溝咲先輩
急いで走ったため、 息切れをしていたら… 待ってくれることになった。 帰宅部走ってるイメージなのか…。 …私は…亀並みの速度で帰っている。 あ、今日は…先生が家に 連絡を入れてくれたので、 思う存分遅れて帰ることができる。
希粋先輩
石瀬先輩
希粋先輩
石瀬先輩
希粋先輩
石瀬先輩
希粋先輩
石瀬先輩
希粋先輩
石瀬先輩
石瀬先輩が、明日 希粋先輩の家で遊ぶらしい。 ……希粋先輩…パソコン使えるんだ。
将暉くん
石瀬先輩
久保先輩
石瀬先輩
私
………凌くん…?……彼氏…?
凛太郎くん
溝咲先輩
久保先輩
将暉くん
私
…石瀬先輩の弟は、ブラコンで ヤンデレで愛が重いらしい。 ……ブラコンでヤンデレで愛が重い…? ……最高…多分石瀬先輩は気づかないし。 確かに…こんな兄がいたら… ブラコンになるのは仕方ない…。
私
凛太郎くん
久保先輩
息が整ったので、歩き始める。
溝咲先輩
凛太郎くん
溝咲先輩
凛太郎くん
溝咲先輩
凛太郎くん
久保先輩
溝咲先輩
凛太郎くん
……凛太郎くんがあわあわしてる。
将暉くん
私
溝咲先輩
凛太郎くん
溝咲先輩
私
石瀬先輩
希粋先輩
私
溝咲先輩が、凛太郎くんのことを 師匠と呼んでいた。 理由は誰にも分からないらしい。 ……溝咲先輩は、凛太郎くんのことが 好きなのか…、なるほど…。
凛太郎くん
溝咲先輩
凛太郎くん
久保先輩
凛太郎くん
将暉くん
凛太郎くん
久保先輩
凛太郎くん
久保先輩
久保先輩は、小学生の時に 転校していたらしい。 出会えてよかった。
楽しい時間があっという間に過ぎ、 ……家についた。 ……6人と、…手を振って別れた。 ……少し…心が… いつもより…軽くなっていた。
…しかし…家に帰って 最初に聞こえたのは、 …父の怒鳴り声だった。 …………なんで……こんな家に… 生まれちゃったんだろう。
父は怒ったまま部屋に戻り、 母は部屋を出た。嫌な予感がした。 ……部屋を出ても、お母さんはいない。 ……どうやら…家の外に出たらしい。
父が部屋から出てきて、 私に母を探してこいと言った。 私が何か答えるよりはやく、 父の怒鳴り声が響いた。 …私は、反射的に家を飛び出た。
………父と弟を2人きりに させてしまった。 ……母はよく、一人で家を出る。 ……外に出るときは言ってって… いつも言ってるのに。 なんで、一人だけで逃げるんだろう。 私と弟も連れていけばいいのに。
誰が連れ戻すと思ってるんだろう。 お母さんが出ていった後の家が どうなってるか、 考えたこともないんだろう。
……私だって…逃げたい。 …でも…夜に逃げだしたら… 警察に補導される。家に帰される。 お金もない。どこにも行けない。 食べ物もない。
………一人だけで逃げる母も…。 ……すぐに怒鳴る父も…。 ……いつまで経っても 同じ過ちをする弟も…。 ……全員……大嫌いだ。
全部めんどくさくなってしまった。 …お母さんを探すのは諦めて、 …家の隣にある公園で、 ブランコを漕いでいた。 ………このまま……消えたい。 ……このまま……誰もいない…遠くへ…。
………なんで…私は… 救われないんだろう。 ……どうしたら…救われるんだろう。 ……どうしたら…生きれるんだろう…。 ……生きたいって…思えるんだろう…。 ………放送部に入れば…何かが… …変わるんだろうか。
……母を探そう。 ……轢かれてないといいけど…。 過呼吸で動けなくなってる 可能性もある。
……なんで…外に出るんだろう。 ……めんどくさい。 ……全部…ぐしゃぐしゃだ…。 ……ムカつく。苦しい。悲しい。 痛い。辛い。
……お父さんが、…轢かれればいいのに。 …お父さんが…死ねばいいのに。 ……お金…ないのか…。 ……お金さえあれば…殺せるのに…。 あんなやつ……死んだほうが いいに決まってる。 ……なんで…いい人が殺されて、 死んで欲しい人は死なないんだろう。
……私は…間違ってるのかな…。 ……父親に…死ねばいいのにと思うのは… 酷いことなのかな。 ……お父さんが私にしたことと… 私のこの気持ちは… どっちが残酷なのかな。
河川敷に、母がいた。 母は泣いていた。 ……もう、何も感じなかった。
家に帰ると、父は母に謝った。 ……父が全部悪いわけじゃない。 弟がやらかして1ポイント。 受け答えが下手で2ポイント。 母が火に油を注ぎ3ポイント。
……母と、弟は、下手なんだ。 コミュニケーションが。 何をしたら駄目なのか、 何を言ったら駄目なのかを、 察することができない。
何かやらかしたら、すぐに謝り、 すぐにカバーすれば怒られない。 でも、弟は…怒られると黙り込む。 言葉が出ない気持ちも分かる。 でも…喋らないと、余計怒るだけだ。
父は、今度は私に謝った。 ………私の居場所なんて… …どこにも…ないんでしょ?
(合唱コンクール当日)
合唱コンクールを迎えた。 ……これで………今日で…終わりなんだ。 もう…放送部に顔を出すこともない。 ………楽しかったな。…短かったけど、 …すごく……楽しかった。 ……終わるのは…悲しいな。
出番がきたので、 アナウンスをする。 ……お父さん…お母さん… いるんでしょ…? …………聞いてるんでしょ…?
………ここで…終わりたくない。 ……放送部に入りたい。 …先輩に会いたい。居場所がほしい。 心の支えがほしい。 ……生きてもいいって……思いたい。
(帰宅後)
…父と母が、興奮気味に 私に話しかけた。 ……お母さんとお父さんが仲いいの… 嬉しいな。
…予想以上にアナウンスが 上手かったらしく、 あっさり放送部への入部が認められた。 …反対されると思っていた私は、 面食らった。 ……また……あの先輩に、会えるんだ。
『部活』
声田部長
私
石瀬先輩
希粋先輩
声田部長
同学年男子放送部員
声田部長
………みんな…いい人そうで、よかった。 結構歓迎してくれてるみたい。 私含めて、一年生三人だもんな…。 ちなみに…部長一人副部長二人なので、 …私たちの代だと、 3人全員が役職持ちになるらしい。
入部してからは、 家に帰れば地獄なものの、 放送部で楽しい時間を過ごした。 放送部が、願い通り心の支えになった。
私
父から怒鳴られた日に、 部長にポロっと、 言ってしまったことがある。
声田部長
私
声田部長
私
…褒められたことなんて、一度もない。
声田部長
私
石瀬先輩
私
声田部長
私
声田部長
私
石瀬先輩
部長の家庭は、親の仕事が忙しく、 一人のことが多いため、 そう言われるだろうなと納得した。 あんなやつ、いないほうがいい。 いてくれて助かるのは、優しい親だけ。
…その後は、特に何もなく、 あっさり一年が過ぎた。 …後輩が20人近く入部し、 先輩は卒部していった。
そして、私が部長になった。 残りの2人は副部長。 部長になったのは、 残りの2人がやりたくなさそう だったから。
3人で20人近くを まとめるのは大変で、 残りの2人は塾でいない日もあって、 次第にまとまらなくなっていった。 私のことを「ぷっちょ(部長)」と 呼ぶ人もいれば、突き飛ばしたり 首を絞めたりしてきた人もいた。
何度注意しても、 全く聞く耳を持たない。 さすがに首を絞められたときは、 怖かった。
顧問の先生
後輩
顧問の先生
後輩
私
顧問の先生
私
後輩
顧問の先生
後輩
私
後輩
顧問の先生は、私が部長になってから 厳しくなった。 先輩たちが、大会で優勝したから、 私たちへの期待が大きくなっていた。
後輩がミスをすると、 顧問の先生はねちねち嫌みを言う。 泣いてしまう子もいた。
…私は、先輩たちが作り上げた 楽しい雰囲気が好きだったのに、 …私が壊してしまった。 受験で忙しくしている先輩に、 相談することはできなかった。 顧問の先生に萎縮されて、 後輩のミスは増えていった。
顧問の先生
私
顧問の先生
私
…だんだん、部活の時間も 地獄になっていった。 …どうして、顧問の先生は… 私に嫌がらせをする後輩は怒らなくて、 いい子ばかり怒るんだろう。
後輩
私
後輩
私
後輩
私
後輩から、部活をやめたいと 相談を受けた。 『まあ…そうだよな』と思った。 この今の部活にいても、 先生に怒られるだけ。全然楽しくない。
私もやめたい。…でも…やめたら…。 先輩に顔向けできない。 後輩に顔を合わせられない。 残りの2人に申し訳ない。
同学年女子放送部員
私
同学年女子放送部員
私
同学年女子放送部員
私
同学年女子放送部員
私
同学年女子放送部員
私
…残りの2人も、 …精神的に参っているようだった。 …私より、部活にいる時間は 短いはずだけど…。…それでも、 メンタル的に不安定ということは… 放送部の状況は、結構やばいらしい。
私
……放送部でそんなことが 起きている間も、家に帰れば 怒鳴られる日々が続いた。 怒られながら勉強をした。
怒られるたびに、頭が真っ白になって、 いつもなら解ける問題も解けなくなる。 簡単な引き算すらも間違える。 そんな私を見て、また機嫌が悪くなる。 誰も助けてくれる人はいなかった。
私
2年生の三回目の定期考査が終わった。 テストの点数は、今までと同じくらい。 帰ったら怒られることは分かっていた。
そして、放送部の大会も近づいていた。 私も、だんだん限界になっていった。 部活を辞めたいと思った。 辛いことが2つあるより、 一つならまだ耐えられると思った。 残りの2人も、辞めたがっていて… 3人でやめるという話も出ていたが… 結局、やめれなかった。
私
?
やめられる理由がほしかった。 逃げていい理由がほしかった。 「生きていれば、きっといつか 良いことがある」…? 真剣に考えるつもりないでしょ。 他人事みたいなこと言われて… 救われるわけない。
「いつか」っていつ? 私は…いつかじゃなく…今救われたい。 「きっと」…?なんでそんな 綺麗事が言えるの? …私は…明確に、…どうしたらいいかを 知りたい。 「良いこと」…?…その良いことって… 今苦しんでまで待つ価値があるの?
私
……助けなんてない。救いなんてない。 …せめて…中学に上がる前に戻りたい。 小学校のときは、まだ辛くなかった。
…戻れるわけない。 忘れられるわけない。 ……忘れられたら…楽になれるのに…。 ……何も知らないまま…。 …何にも囚われないまま… もう一度…やり直せるのに。
同学年女子放送部員
私
同学年女子放送部員
私
同学年女子放送部員
私
………私も…死にたいな…。 ……死んだら…もう…苦しい思い、 しなくていいじゃん。 ……死んだら…もう、 …頑張らなくていい。
……他人に変わってほしいなんて、 …馬鹿な願い…やめたほうがいい。 …私が…諦めるしか、ないのかな。 ………逃げたい。……自由になりたい。 ……普通の暮らしがしたい。
……死んだら何も残らないとしても…。 …無になるとしても…。 ……今…救われたい。
私
………目を閉じると、父や顧問の先生が、 すぐ横にいるような気がして、 寝れない日々が続いた。 目を閉じるのが怖かった。 寝れそうになったら、 今度は金縛りになり、 身体が重たくなる。
心音が近づいてきて、耳が痛くなる。 寝るのを諦めて、2次元の推しの動画を 見続けた日もあった。 寝不足だからなのか、 幻覚も見るようになった。 急に視界が一瞬真っ暗に なることがあった。
私
母
私
母
私
母
私
母
私
さすがにやばいと思って、 母に相談するも、 真剣に話を聞いてくれなかった。 母は、私のことより自分が優先らしい。
幸い、授業中に眠くなることは 何故かなかったが、 …ずっと身体がだるく、 保健室で休むことが多くなった。 …保健室では、10分くらいなら 寝れる時もあった。
しかし、保健室に行った日は 部活に行けないという校則ができて… 保健室に行かなくなった。
私
いつも吐き気がした。 いつも胸が締め付けられた。 いつも息苦しかった。 いつも動悸が激しかった。
学校が嫌だった。 家に帰るのが嫌だった。 虐められているわけでも、 暴力を振るわれているわけでもない。 私よりつらい思いをしている人は、 何万人といる。
もしかしたら、クラスの中にも、 私よりつらい思いをしている人が いるかもしれない。 これくらいは我慢しないと いけないのかもしれない。
私
父に怒鳴られた日の夜、 布団に横になりながら、 どうしたら死ねるかを考えていた。 我慢するのが嫌だった。 他に逃げ道が見つからなかった。
家を出たとしても、 またすぐ引き戻されるに決まってる。 部活をやめたら、 学校での印象が悪くなる。 私には、やめていい理由もない。 やめてもいいと言ってくれる人もいない
私
石瀬先輩
希粋先輩
私
石瀬先輩
先輩
石瀬先輩
希粋先輩
私
…でも、多分…死ねないことは 分かっていた。 楽しいこともあった。 …死ぬのを躊躇うくらいには。
凛太郎くん
久保先輩
将暉くん
溝咲先輩
石瀬先輩
希粋先輩
…あの6人が、頭から離れなかった。 死にたいと思うたび、 あの6人と帰った帰り道が、 私を引き止めた。 また会いたいと思わせた。
先輩が卒部してから、 会うことは滅多になくなった。 たまに学校で見かけるたび、 嬉しい反面…胸が痛くなった。
……いつの間にか、 6人が推しになっていて、 …心の支えになっていた。
凛太郎くん
優しく受け止めてくれる人。
久保先輩
静かに気にかけてくれる人。
将暉くん
明るく照らしてくれる人。
溝咲先輩
周りの違和感に気づける人。
石瀬先輩
否定せず背中を押してくれる人。
希粋先輩
温かく頼りになるような人。
…私は…気づかぬうちに、 ずっと探していた人に会っていた。 6人が、忘れられなかった。 あの6人との思い出以外は、 全部…忘れたいことばかりだ。
私
……忘れたい…そう思ったとき、 …ふと、…一つの言葉を調べていた。 …『記憶喪失』。
…アニメや漫画でよく出てくる言葉。 調べたのはなんとなくだった。 どうせ寝れないし、 時間を潰そうみたいな感じだった。 検索結果に出てきた内容を見て、 正直驚いた。
『記憶喪失は実際に起こり得る』と 書いてあったから。 記憶喪失について、徹底的に調べた。 心臓がバクバクいっていた。
……これだと思った。 …『記憶喪失のフリをしよう』。 そう考えた。
父に私の気持ちを伝えても、 多分これっぽっちも伝わらない。 …でも、記憶喪失になれば… 『記憶喪失になるほど辛かった』 とは伝わる。
記憶喪失なら、部活もやめられるし、 もしかしたら、 父も変わってくれるかもしれない。 …少し…希望ができた。
私
もちろん、不安もあった。 バレたら怒られるだろうし。 医者にはバレるだろうし。 でも…バレたとしても、 『何故そんなことをしたのか』は伝わる
だから…バレてもいい。 怒られてもいい。 このまま死ぬよりは、…全然いい。
また、あの先輩に会えるなら…。 生きることができるなら…。 ……全員を、騙そう。 …完璧に、演じよう。
誰も助けてくれないなら…。 私は自分で、私を救ってみせる。 ……私には…あの6人みたいに、 互いを支え合う関係の人はいない。 友達がいないわけではないが… 素を出せる人はいない。 …いつか…あの6人みたいに… …心からの友達がほしい。
私
周りの目が怖い。 一人が怖い。 自分を出すことが怖い。 本当の自分がバレることが怖い。 我慢することが怖い。 周りからの期待が怖い。
……そんな本音を… 言い合える関係になりたい。
私
「無理しなくていい」 「頑張らなくていい」 「ありのままでいい」 「取り繕わなくていい」 「我慢しなくていい」 「自分を責めなくていい」
…そう言ってくれる人が、ほしい。
私
自分が嫌いだった。 孤独だった。 自分を出せなかった。 取り繕うしかなかった。 我慢しなきゃいけなかった。 誰よりも努力しないといけなかった。
……ずっと、見つけてほしかった。
私
………結果から言うと、 記憶喪失のフリは成功した。
両親はあっさり信じた。 「いい子だから」「真面目だから」 「素直だから」 私は嘘をつかないらしい。 いつもは嫌いな言葉も、 このときはありがたいと思った。
……精神科に行くと、私は記憶喪失だと 正式に診断された。…本当は違うのに。 …私が一番驚いている。 両親は、この医者の言っていることが 嘘だということを知らない。
……なんで…。……どうして… 気付いてくれないの…?
本当は…気づいてもらえる予定だった。 気づかれる予定だった。 ……私は……ずっと…… 記憶喪失のフリをしないといけない…?
………もう…今更、後戻りはできない。 ……石瀬先輩たちと今まで通り話すのは… …諦めるしかない。 ……中途半端な気持ちで… 嘘をついてしまった私が悪い。
私
結局…先生にも、親にも、 医者にも、友達にも、後輩にも バレることはなく、私は部活をやめて、 今も記憶喪失のフリをしている。
顧問の先生も辞めることになった。 あと、残りの2人も退部した。 私に嫌がらせをしてきた後輩は、 今も放送部員として放送している。
…ちなみに、……部活の先輩… つまり、石瀬先輩や希粋先輩にも、 私が記憶喪失になったことが伝えられた
私
凛太郎くん
将暉くん
私
……将暉くんと凛太郎くんとは… その後何度か話した。
将暉くん
私
将暉くん
私
将暉くん
凛太郎くん
将暉くん
私
クラスメイト
私
振り返ると、同じクラスの人がいた。
将暉くん
私
クラスメイト
凛太郎くん
私
………だから…嫌だった。 …2人の前だと…普通に言えるのに…。 ……2人は…そういうの、 気にしないから。
……「僕」って言うたびに… 僕っ子だのぶりっ子だの…。 ……そんなに……おかしい…?
私
石瀬先輩
久保先輩
溝咲先輩
石瀬先輩
希粋先輩
石瀬先輩
私
…他の4人とは…見かける程度で、 話すことはなかった。 ……それでも…嬉しかった。 また…会えたことが。
……忘れたふりをしなければいけない。 石瀬先輩と希粋先輩が 話しかけてくれたことも。 溝咲先輩と将暉くんが 明るく話をしてくれたことも。 久保先輩と凛太郎くんが、 優しく接してくれたことも。
……でも…絶対…、忘れることはない。 ……私はずっと……覚えている。 …先輩と話した内容も、 先輩と過ごした日々も、 先輩が好きな音楽も、 先輩が笑った顔も。
…絶対に、忘れない。
私
……私は、記憶喪失になって 明るくなったらしい。 私の周りの人はみんなそう言う。 明るくなったねって。
そりゃそうだろう。 記憶喪失ということは、 あの苦しい思い出を 覚えていないんだから。 全部忘れて、 何も苦しいことがない状態なんだから。
………明るいフリをする必要があった。 ……本当は、ずっと息苦しいままなのに
時は流れ…6人が卒業した。 …別々の高校に行くらしい。 …それを知って…悲しくなった。 ……あんなに仲良しだった6人が、 離れてしまうことが。
…それぞれ、自分の目標に向かって、 歩いているんだと思った。
……私は…6人に、救われた。 ……6人の雰囲気が好きで… 6人の会話が好きだった。
……だから…決めた。 ……6人の物語を書こう。 ……6人を…ずっと一緒に いられるようにしよう。
…6人のことを思い出して…。 ……今日も…生きよう、と。
…………私は今も、救われていない。 ………父は…前よりかは 優しくなったけど… 根本的には変わっていない。
……でも…。……それでも…。 ……この世界には…優しい人がいるって… 知ることができたから。 ……生きてもいいって… 気づくことができたから。 ……生きたいって… 思うことができたから。
………〝私〟は…今日も… 6人のことを思い出す。
……そして、…書く。 私が救われるための物語を…。