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︎ ☑︎ 名前 芙梛( ふな )
・蓮華の人間時の姿
朝の光が蝶屋敷に差し込む頃、
蓮華は屋敷の前の日陰に立っていた
白を基調とした金青色の着物
髪をまとめ、人間のふりを完璧に整えて
芙 梛
芙 梛
にこりと微笑むその顔は、鬼のものではない
完全に "人間の少女" として仕上げた姿
だが、その内側では鬼の目がゆっくりと開いている
出迎えたのは、「 栗花落カナヲ 」
感情を読み取りにくい瞳が、蓮華を一瞬だけ見つめる
芙 梛
芙 梛
無邪気な笑顔で返しながら、
蓮華は静かに屋敷の中へと足を踏み入れた
さて、どこにいるかな、 "あの子"
屋敷に来た目的は一つ
「 鬼として敵を調べる 」なんて建前
本当の目的は、もっとずっと個人的で、曖昧
しばらくして、昼下がりの庭
芙梛は縁側に腰をかけ、干された布団の山を見つめる
しのぶに頼まれた雑務の最中、少しだけひと休み
芙 梛
ぽつりとこぼしたその瞬間
声がして顔をあげる
そこに居たのは長い黒髪とまっすぐな瞳を持つ少年
時 透
「 時透無一郎 」
蓮華が探していた人物
芙 梛
芙 梛
芙 梛
時 透
芙梛の心臓が少しだけ跳ねる
芙 梛
時 透
時 透
芙 梛
芙 梛
笑顔を保ったまま蓮華は少しだけ視線を逸らした
やっぱりこの子、鋭い
時 透
時 透
芙 梛
時 透
無一郎の目が瞬きもせずに揺れる
それが少しだけ、ちょっぴり面白かった
芙 梛
芙 梛
ふわりと立ち上がり蓮華は振り向かずに手を振る
その背中に、無一郎の声が小さく届いた
時 透
芙 梛
振り返らなかったのは
笑って誤魔化せない顔を、見られたくなかったから
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