コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
シャオロン
シャオロン
シャオロン
シャオロン
シャオロン
シャオロン
ずっと辛かった。 ....って、今もか。 家に居れば両親の喧嘩に巻き込まれたり、憂さ晴らしに殴られる。 学校に居れば"シャオロン"の仮面を被ってヘラヘラ取り繕って演技しないといけない。 でもみんなは、明るくていつも馬鹿みたいに笑ってるシャオロンを望んでるから。本当の俺なんかを見せて仕舞えばきっと失望させてしまう。 だから俺は今日も取り繕う。 ヘラヘラ笑って、皆んなの人気モノなシャオロンの仮面を被る。 だから、どうか
シャオロン
ガラガラ
俺が教室の扉を開ければ、友達と喋ってた奴らも、校則違反のスマホを堂々と触っていた奴も、大人しそうなメガネを掛けた委員長も、"シャオロン"に満面の笑みで笑いかけてくる。
シャオロン
ニコリと"シャオロン"の仮面を貼り付けた挨拶をする。愛想を振りまいて生活していれば、いつの間にか色んな人間に囲まれていた。
シャオロン
シャオロン
シャオロン
そんな事を考えて教室の入り口に立ち止まっていると、不意に凄まじい勢いが背中にぶつかってきた。
ゾム
いきなりドンと背中を強く押される感覚がしたかと思うと、楽しそうなゾムの声が耳元で響く。 振動で揺れた腕がズキリと傷んで、つい腕を抑えてしまった。 傷んだのは昨日に母親に灰皿で殴られた左腕だ。
シャオロン
ゾム
俺が痛がった事に慌てたゾムに、 「大丈夫、お前の所為じゃ無いで。昨日、機嫌が悪かった母親に灰皿で殴られたとこが痛いだけだや。」なんて言えるはずもなく、曖昧に笑って誤魔化した。
シャオロン
ゾム
シャオロン
ゾム
ゾムの大きな声に、クラス全員が驚いたようにコチラを向いた。 コレは不味いと思ったのだろう、ゾムが俺に耳打ちをする。
ゾム
ゾム
シャオロン
場所を変えよう、と言ってきたゾムに屋上へ連れられる。幸いな事に屋上には誰も居なかった。 俺はゾムの言葉をじっと待つ。 でも、なんだか嫌な予感がした。
ゾム
そう、ゾムに問われて一瞬 ドキリと心臓が脈打つ。 バレた、のだろうか.....? いきなりな事に冷や汗が止まらなくて、今すぐにでも逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。でもここで逃げ出せば、確実に何かを隠していると気付かれる。 でも今ならまだまだ言い訳ができる
シャオロン
シャオロン
ゾム
目を逸らして言い淀んだゾムは 「それじゃあ」 と自分の左腕を指差した。
シャオロン
ゾム
シャオロン
確かに灰皿で殴られた場所を見せるだけなら、派手にぶつけただけだって言い訳できるかも知れない。 でも、今までで散々つけられてきた痣や火傷の跡を見られればもう言い逃れ出来ない。 俺は無意識に自分の腕をそっと後ろに隠して下がった。
ゾム
俺が一歩後退すればゾムが一歩前に進む。俺は気がつけば屋上のフェンスを背にして追いつめられていた。
シャオロン
何か打開策は無いかとグルグル巡らせた思考は、ガッと腕を掴まれる感覚がして慌てて現実に引き戻された。
ゾム
ゾム
ゾム
ゾムがすべてを言い終えると、俺の腕を掴んでいた力はだんだんと弱くなっていって、最終的には優しく離された。
シャオロン
シャオロン
ニカっと笑った俺に、息を呑んで絶望したようにゾム
シャオロン
ゾム
ゾム
ゾム
シャオロン
その、ゾムの一言に今までの生き方を否定されたような気分だった。 わかってる。ゾムは悪気があって言ったわけでも無いし、俺の事を助けようとして言ってくれたんだって事も、わかってる。 でも
シャオロン
シャオロン
キーンコーンカーンコーン
俺が言えたのは精々謝罪の言葉だけ。 俯いて、気まずい空気から俺を救うように予冷が鳴った。
シャオロン
シャオロン
俺は癖のように"シャオロン"を貼り付けて、さっきまでの気まずさが何処にも見当たらないヘラリとした顔で笑った。 始終、何か言いたげに揺れていた翠に見つめられながらも俺は屋上から逃げ出すように教室に戻った。
授業は既に終わり、部活動に励んでいた生徒達もちらほらと帰り始める影を、目立たない木陰から見ていた。
いつもなら屋上でも見ていたのだが、ゾムに問い詰められたあの時を思い出すのが嫌だったので、普段あまり来ない中庭に来ていた。
シャオロン
カレンダーで今日の日付を確認してそっと俯く。 今日は7月10日。 父さんが出張から帰ってくる日だ。
シャオロン
あんなに喧嘩ばかりして、いつも怒鳴りあっているのに。
シャオロン
570円っす。 ちょうどお預かりしやしたー
会計を済ませた商品を差し出した、気だるげな男に一言礼を言いって煙草を受け取る。
受け取りざまに防犯カメラからは絶妙に見えない位置から男に千円支払った。所謂口止め料だ。 本当、理解のある奴で良かった。
シャオロン
辺りを見回して一息つく。
俺が、学生という身分で煙草を手に入れる事ができたのは、ひとえにこの辺りの治安の悪さのお陰だ。
シャオロン