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89
夏菜
32,260

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キャラ崩壊 赤水要素有 超超超スランプ 本当は何も書きたくない
その日は夢見が悪かった。 その日は天気が悪かった。 その日は……
全てが上手くいかなかった。
ふ、と目が覚める。 瞬きを繰り返し、手探りでスマホを取った。
時刻は10時
今日は9時から打ち合わせだっけ。やってしまった。
初兎ちゃんから、マネージャーさんからの着信あり
9時10分を過ぎたあたりで諦められたのか、それ以降着信はなかった。
とりあえずと、折り返しマネージャーに電話をかける。
『またですか。』
いつもの声のようでもあり、あきれ果てた声でもある。
失望されてしまっただろうか。
そろそろ愛想尽かされるだろうか。
思考は悪い方にしか行かなくなってしまう。
『遅くても大丈夫なので、気を付けて来てくださいね。』
その言葉は頭には入ってきてくれなかった。
支度を済ませようともぞもぞと立ち上がり、洗面所に行くと、窶れた顔をした自分がいた。
目の下には痣のように濃く大きい隈。
頬は痩け、顔色も悪い。
唇はひび割れて、少しでも動かしたら血が出てしまいそうだ。
💎
自嘲気味に笑えば、死んだ目をした自分が鏡の中で顔を歪めた。
顔を洗い、歯磨きを済ませ、軽く寝癖を直す。
もたもたと服を着替えれば出かける準備は出来た。
扉を開け、鍵をしっかりと閉め事務所へと向かう。
少し歩いていればズキズキと痛みを主張する頭。
偏頭痛か、風邪の引き始めか。
これは面倒な事になりそうだと携帯ケースに入った薬を飲む。
これ以上悪くならなければいいのだが。
曇天。今にも雨が降り出しそうだ。
そう言えば急いでいて傘を忘れた。折り畳み傘は前に風で壊れて持ち合わせていない。
バスを使おうと考えれば、Suicaの残高が少なかった気がすると思い出す。
ならば現金で……とポケットを探れば膨らみが無く、家に忘れたか落としたかの2択であることに気付いた。
取りに戻る選択肢は、メンバーとマネージャー達を待たせていることから後ろ髪を引かれる。
結果、走ろうとなったのだ。
貧弱な身体は100mもしないでダウンする。息は切れ、だるさが込み上げてくる。
諦めて歩こうとした時。 ポツリ、水滴が当たった。
それはバケツをひっくり返したような大雨に変わる。
その様子を第三者視点で見ているようだった。
何となく現実味がない。自分が体感しているはずなのに、まるで別の人の視点を見ているようで。
その時自覚した。 あ、ダメだ
心がバキッと折れた音がした。……気がする。
雨音だけが響く世界に取り残された錯覚をする。
目の前をトラックが通り過ぎた。
水溜まりが跳ね飛ばされて、身体にかかった。
こんな格好で行けない。あぁ、頭が痛くなってきた。
寒い、雨が冷たい。待たせているのに。
また迷惑をかける。
歩道の真ん中で蹲る。 周りには人が居ない。
頭をぐしゃぐしゃに掻き毟る。
雨で濡れた髪がもっと酷く乱れ、目に入ろうが抜け落ちようが気にしない。
気が済むまでそうしていれば、自然と真顔になる。
目からは涙が零れていた。それは雨と見分けがつかない。
けれど、泣いている。その事を分かっていた。
真顔になり、家へと歩みを進める。
マネージャーには無意識でメッセージを入れていた。
『すみません、今日無理です』
🤪Side
👤
ほとけのマネージャーさんが口を開く。
ほとけの遅刻はそこまで珍しくない。
1時間待たされたこともある。
それでも珍しいな、と思ったのは折り返しの電話まで掛けてきたのに来なかったことだ。
いつもならどんな雨が降ろうとちゃんと着いてくれたのだ。
ただ、頭からつま先まで水浸しになりながら、何でもない顔をして「遅れました」とだけ言って。
風邪を引くからと言っても、タオルでろくに拭きはしないし。
何かと甘えてくる。
そんな姿に仕方がないと自分も絆されて、そして許してしまうのだ。
まぁ、少々お節介な部分でもあると思っているのだが、彼奴は危うい。
人見知りの癖に、人の懐に入って来るし。
その癖自分は何事も無いかのように立ち去る。
飄々と掴みどころのないやつだ。
だから、そんなほとけと相方になっている自分は特別では無いのかと思っている。
自惚れでも、きしょいとか言われたっていい。
ほとけの不在により、今回の打ち合わせは解散。
直接帰っても良かったのだが、彼奴の家に寄ろうと思った。
何となく嫌な予感がしたから。
別に外れてたらそれでいい。何かあって欲しい訳では無いから。
ちょっと顔を見るだけ。様子を見に行くだけ。そう理由つけてタクシーを捕まえ、ほとけの家に向かった。
マンションに着けばいつも通りエレベーターに乗り、行きなれた階数を進む。
部屋の前に着くと、一応勝手知ったる人の家だが礼節は弁えた方がいいだろうとインターホンを鳴らす。
しかし1分、2分、と待っても出てこない。
こりゃ寝落ちか?と思い合鍵を使おうとすれば、鍵を使わなくても扉が開いた。
これは些か不用心過ぎやしないだろうか。
嫌な予感がじわじわと現実味を帯びていく。
ほとけの部屋は酷く散乱していた。まるで強盗にでも入られたみたいだ。
本格的に心配になってきて声を張ってほとけを呼ぶ。
返事は帰ってこない。正気が侵されていく。
リビングには誰も居なかった。
配信部屋に居るとも考えにくい。なら寝室か。
こうなったら迷っては居られない。
無遠慮に寝室の扉を開ける。
すると蹲る物体を発見した。
部屋が暗すぎて見えなかったというのもあるが、それはモゾモゾと動いて苦しそうに嗚咽した。
ゆっくりと近付く。 そうすれば蹲った何かは人の形を帯びてきて、特徴的な水色髪が揺れた。
🤪
すかさず掛けよれば、じっとりと濡れた冷たい感触がした。
こいつ、着替えもせずに……、と舌打ちを1つ。
🤪
トントンと叩いて呼び掛ける。
どうやら意識を失っているようだ。
なかなか目を開けないことに焦っていれば、「ん……っ、ぐ」と苦しそうな声が聞こえた。
慌てて名前を呼べば、瞳がこちらを向く。
いや、向いてない。
見ているはずなのに、目が合っているはずなのに、ほとけは俺を見ていなかった。焦点が合わない。
視線が震えている。
ただ事では無いと察し、必死に名前を呼び続ける。
ほとけはボーッとどこかを見て、一言「ぃふ、く?」と言った。
🤪
そう言うと、ほとけは首を横に振った。
あまりにも緩慢な動作だったから良く見ていないと分からない程だった。
🤪
思わず声を荒らげてしまう。
それにビクッとほとけの肩が跳ねた。
あぁ、違う、怖がらせたい訳じゃないんだ。
ただ心配で。 努めて優しい声を出す。
🤪
ほとけは口をキュッと結んだまま何も言わない。
首を横にふるふると動かすだけで、必死に口を閉ざしている。
まるで何かを耐えるように……。
何かがおかしい。けど分からない。
思考が巡って、答えは出なくて。
悩んでいると、ほとけの手からカサ……、と何かが落ちた。
視線を移せば、それは薬のシートだった。
1シート全部薬が無くなっている。
なんでこんなの持って……、と思ったところでハッとする。
目線をほとけから周りに広げれば床には大量の薬の空になったシートに、残り2、3粒しかない薬の瓶。
いつからあるのか、それとも今日全部飲んだのかエナドリの缶が沢山転がっていた。
その中にお酒の缶も何本か混じっている。
理解した途端冷や汗が吹き出る。
何を思って、とかどうしてこんな事、とか考えはしたけど今は邪魔な思考だ。
すまん、と言いながら嫌がるほとけを横向きに寝かせ、口を無理やり開かせる。
🤪
💎
ほとけは可哀想なくらい涙を流しているけど、こっちだって必死なんだ。
指を喉に突っ込み、ほとけが苦しそうにする。
じたばたと手足が暴れ、身体に掠った。
力が入っていなくても、無理矢理動かしているからか中々痛い。
🤪
どれだけ暴れようとも意地で喉奥に指を進め、ほとけが嘔吐く。
キュゥッと喉が締まり、身体を丸まらせる。
唾液がダラダラと垂れ、反射なのか歯が俺の手にくい込んでいく。
いっ、と声が出てしまうとほとけは目を開いて更に涙を零した。
余りにも申し訳なさそうな顔をするから、大丈夫と伝えたくて頭を撫でた。
そのまま耳元で安心させるように呟く。
🤪
🤪
ほとけは強ばっていた身体の力を少しだけ緩めた。
偉いな、と褒めてあげながら喉奥を刺激する。
💎
とうとう我慢出来ずにビシャ、と水っぽいものが出てくる。
ほとけは止めようとしたけど、背中を撫でて「そのまま全部出し?大丈夫やで。」と言いながら手は止めない。
💎
ビシャビシャと止まらなくなった嘔吐を早く終わるように祈って背中を摩る。
吐瀉物を見れば、水状のものの中に溶けかけの錠剤が数え切れないほど出ていた。
嘔吐が止まれば、ほとけは力なく床に倒れ込んだ。
慌てて支えながら頭をおれの膝に乗せてやる。
頭を撫でてあげて、俺もいつの間にか泣きながら言葉を放つ。
🤪
ほとけはぐったりして動かなかった。
気絶しているのかもしれない。
俺は一頻り泣いた後、救急車へと電話したのだ。
目が覚めたら病院だった。
なんて事現実で起こるんだ。
日常とは掛け離れ過ぎだな。首だけを動かせば、横に座っていたメンバーと目が合った。
しかし、何も言ってくれない。
いつもならふざけた感じで「おはよ、あほとけ」と言ったりするのだが。
バレてしまったからか。そりゃ嫌だよな。
遅刻した挙句打ち合わせに来ない。
しかも気を使って家に向かえば救急車沙汰だとはな。そろそろ潮時なのかな。
でも、一瞬だけでも。例え薬が見せた幻覚でも良い。
いふくんが僕の事に一生懸命になってくれて、苦しかったけど頭を撫でてくれて、いい子って言ってくれて、とっても嬉しかったんだ。
だからどうか、お願いだからメンバーとの日々を悪いもので蓋をしたくない。
意を決する。 深呼吸をして口を開く。
明るく、何事も無いように、まずは挨拶だろうか。にっこりと口角を上げ、貼り付ける。 第一声は……
💎
失敗してしまった。今日は本当にダメな日だ。
いふくんは、トントンと一定のリズムで落ち着かせようと肩を優しく叩いてくれる。
咳が治まれば「起き上がれる?」と何かを堪えるような声が聞こえた。
いふくんの手を取り起き上がれば、唐突に抱き着かれた。
勢いを殺す事が出来ず、ベッドに逆戻りだ。
「どうした」の言葉も言いそびれて初兎ちゃんの様子を見れば、鼻を啜った音の後に溢れてしまった様に泣き声を上げた。
🐇
初兎ちゃんは泣きじゃくる。まるで幼子みたいに。
それを見ていて、こっちまで絆されそうだ。
だってこんなに泣いて目覚めを喜んでくれるなら、なんか、凄い大切にされてるみたいじゃん。
じわりと目頭が熱くなる。涙はもう止まる気配は無くて。
点滴が繋がれていたのなんて知らずに背中に手を回す。
不器用に、痛くないように力を入れて抱き締め返す。
彼はそれに気付いて更に抱きしめる力を強くする。
病院だということを忘れて泣いた。
結局、泣き止んだのは巡回の看護師さんが気付いて怒りに来たからだった。
僕たち2人はいい大人の癖して、目を腫らし、鼻を啜りながら注意を受けたのだ。
看護師さんが出ていった後、2人で目を見合せどちらが先か、思わず笑ってしまう。
でも注意されたからちゃんと小声で、吹き出さないようにクスクスと笑った。
初兎ちゃんの顔を盗み見る。
良かった、初兎ちゃんも笑ってる。
安心しそうになった束の間、ないちゃんは僕の手を握って来た。
意味が分からなくて首を傾げれば、彼は良い笑顔のまま握力を強めた。
💎
🍣
その圧力しかない言葉に僕は情けなく「はぁぃ」と目を逸らして答えざるを得なかった。
さっきまでの雰囲気は何処へやら。
僕はまるで取り調べを受ける犯人のような気持ちになっていた。
ないちゃんは宛ら尋問官と言ったところか。
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こんなの言い訳だ。きっと皆も分かってる。
それでも口は止まらなくて。
皆が僕を見捨てないのはさっき抱き締められて実感した。
けど、怒られるのは嫌だ。
ないちゃんの怒り方はねちっこい。
今は身体が休養を欲しているんだ。
何時間もお説教に付き合えない。
ないちゃんの表情を伺えば、眉間に皺を寄せて難しい顔をしていた。
何を言われるのかとビクビクしていればアニキが口を開く。
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アニキの言葉が心に刺さる。
いふくんが来なかったら。
その時は意識が朦朧としながら冷たい床で身体バキバキになって目が覚めていたと思う。
でも皆はこんな回答望んでいない。
きっと危機感が足りないとか、自分を大事にとか言うんだと思う。
言葉に出来なければ、ないちゃんが話し出す。
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グッと心に訴えるように言われた言葉が涙腺を刺激する。
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思った事を口に出した。自然と、何も考えずに。
彼はみるみる赤くなっていく。
あれ?なんで赤くなってるの?
怪訝な顔で見れば彼は咳払い1つ。
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僕が呆気に取られれば、彼は看護師さん呼んでくるから、と席を立った。
こんなに幸せでいいのだろうか。
嫌なんじゃない。実感が湧かないだけ。
けれど、1度手にした愛は自らは手放せない。
彼が居なくなるその時まで、きっと彼の愛を求め続けるんだ。
コメント
4件
んんぅ…… 見るの遅れたぁぁ〰😭 我慢しちゃって一気に爆発しちゃうしちゅ好き🥹💞
んわぁっ!!!ものすごく神作っ!✨ もういむくんが心ブチってなっちゃう 所とかいふくんがいむくんに呼びかける 時いむ?とかいふやよって言っている 所とか初兎ちゃんがものすごい勢いで ハグする所とかもうあげきれないっ! もう神すぎて全部ものすごく大好きですっ!いやもうものすごく神すぎて ニマニマしながら発狂しました笑
神作すぎます✨✨ 💎君はちょっと頑張りすぎちゃったね。頑張った時にいい子とか頭を撫でてくれると嬉しいよね! メンバーみんなは💎君からきっとずっと離れないから安心してね。