その国で、王は絶対的な権力を持っていた。
王がすることには誰も逆らえなかったし、王が決めたことには誰も口出しすることは許されなかった。
その国の中心地には、巨大な闘技場があった。しかしここは裁判所であった。
この国には決まりがある。罪を犯したものは、裁判所で用意される扉のどちらかを選んで開け、中に入らなければならない。
どちらか一つの扉の向こうには自分が求めていたものがあり、幸せになれる。
しかしもう一つの扉の向こうにはライオンがいて、食べられるという不幸が待っていた。
そんな国でのある日。
キャシーという女とジェンという男が裁判所に訪れた。まもなく観客席がいっぱいになり、
二つの扉を前にジェンは立っていた。
キャシーは王様と一緒にその様子を見ている。
ジェンは浮気をしたのだ。その相手はアイリスという女だ。
裁判の時がやってきて、王様が好きな方の扉を開けなさいという。
どちらかの扉の向こうにはアイリスが待っていてもしそちらに迎えばそのまま結婚という結果が待っている。
キャシージェンをすごく愛していたのだ。浮気など許せるはずもない。
キャシーはアイリスを憎んでいた。
ジェンはキャシーに視線で合図する。
『幸せになれる扉はどっちだ?』と
キャシーは少し迷いの目をしてしばらく考えた後、右の扉に目を向けた。
ジェンは迷わず右の扉に手をかける。
果たしてジェンを待っているのはアイリスなのかライオンなのか。
コメント
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脱字がありました💦キャシージェンというところ キャシーはジェンです!