テラーノベル
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芙梛は、無一郎の手の温かさが まだ指に残っている気がして、暫く黙っていた
二人の間には言葉にならない時間が流れている
窓の外では、虫の声が小さく響いていた
芙 梛
ぽつりと芙梛が呟く
まるで誰かに聞かれるのを恐れるような、 微かな声だった
無一郎は、ほんの少しだけ考えてから言った
時 透
時 透
時 透
芙 梛
芙 梛
芙 梛
時 透
時 透
その言葉は何処までも静かで、真っ直ぐだった
芙梛は目を見開いて、言葉を失う
時 透
時 透
芙 梛
蓮華の中で何かが壊れそうになった
恐くて、情けなくて、 でも、...どうしようもなく嬉しかった
芙 梛
その言葉は震えていたけど嘘じゃなかった
暫くの沈黙の後、無一郎がそっと口を開く
時 透
芙梛は少しだけ顔を伏せた
けれど、もう逃げなかった
芙 梛
芙 梛
時 透
芙 梛
芙 梛
芙 梛
無一郎は、その言葉を最後まで聞き終えてから、 小さく頷いた
時 透
時 透
芙梛の目が少し潤む
芙 梛
時 透
その一言に、蓮華はふいに笑ってしまった
初めて、自分の事を「 一人の人 」として見てくれた
それが、堪らなく嬉しかった
その夜、二人は長く話した
敵と味方という立場を超えて
ただ、一人の少年と、一人の少女として
そして、部屋の灯りが落ちる頃
蓮華の心に一つの決意が芽生え始めていた
「 この手を、もう血で染めないようにしたい 」
コメント
4件
うわぁぁぁぁぁーーーー!ヽ(^○^)ノ続き楽しみにしてまーーーーーーす😁
好き好き好きききえ?最高すぎだろ