テラーノベル
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暗く、無音の空間に、蓮華の足音だけが響いていた
床は脈動するように揺れ、壁は形を持たない
蓮 華
深く頭を下げた蓮華の前に、影のように現れたのは、 鬼舞辻無惨だった
その気配は怒りも慈悲もなかった
鬼 舞 辻
鬼 舞 辻
低く、短い命令
蓮 華
一瞬の迷いを呑み込むように返事をした蓮華
だが、内心には凍るような葛藤で満ちていた
蓮 華
無惨が蓮華にこの任務を与えたのは、 彼女が禰豆子と接触出来る唯一の存在だからだ
無限城を出たあとの蓮華の足は重かった
「 殺せ 」と言われなかったのが、 せもてもの救いだった
蝶屋敷
芙梛は炭治郎の部屋を訪れた
戸をノックすると、中から元気な声が返ってくる
竈 門
炭治郎は相変わらず優しい目をしていた
芙 梛
芙 梛
竈 門
だが、その奥にある鋭さを、蓮華はよく知っている
芙 梛
芙梛はなるべく穏やかに言った
声が震えないように
竈 門
竈 門
炭治郎の返事は柔らかくも、警戒が混じっていた
芙 梛
本当の理由は勿論言えない
でも、嘘をついても、炭治郎の鼻は誤魔化せなかった
ふと、炭治郎の表情が変わる
芙梛の顔を見たまま、動かない
竈 門
芙 梛
竈 門
竈 門
竈 門
芙梛は思わず息を呑む
炭治郎は目を細め、ゆっくりと首を振った
竈 門
竈 門
その距離は、冷たいものではなかった
むしろ優しすぎて、芙梛の心を締めつけた
芙 梛
芙梛は微笑んだ
けれど、その笑顔の奥では、心が泣いていた
芙 梛
その夜、芙梛は部屋で膝を抱えた
葛藤の渦に呑まれながら、 ただ一つだけ頭に浮かんだのは──
無一郎の 「 斬るんじゃなくて、止める 」 という言葉だった
コメント
1件
切ない … 続き楽しみにしてます!