舞
ねぇ皆!ほんと3年間ありがとうね!
健斗
なんだよ舞ー。改まって。
恭弥
そうだぞ。別に会えなくなるわけでも無いのに。
舞
でもでも!やっぱ別の高校ってなったら会う機会も減っちゃうじゃん!
恭弥
まぁ‥それはそうだが。
健斗
でもさ、どうせこうやっていつもみたいに3人で集まってるって!
舞
本当!?約束だよ!絶対また皆で集まろうね!
健斗
あぁ!もちろんだ!だって俺達‥
恭弥
親友だからな‥だろ?
健斗
あぁ!恭弥!先読みするんじゃねぇよ!
舞
はははっ!でも私、健斗のそういうところ好きだよ?
健斗
ちょ‥おま‥好きって‥
恭弥
なんだ健斗。照れてるのか?
健斗
べ‥別に照れてなんかねーし!!
舞
はははっ!
こうして私達は中学を卒業して、別々の高校に進むこととなった。
舞の母
ちょっと舞ー?お弁当忘れてるよ?
舞
あ、いっけね!
舞の母
もう‥入学早々から不安ねぇ‥
舞の父
舞。筆箱机の上に置きっぱなしだったぞ
舞
あー!ごめん!ありがと!
舞の母
もう!そんなに慌てないの!まだ時間もあるんだし‥
舞
えへへ‥ちょっと緊張してるのかも
舞の父
あぁそうか‥まぁ、舞なら大丈夫だろ!すぐに慣れるさ!
舞
うん‥お父さん、お母さん。ありがとね。
舞
お金ないのに、私を私立に通わせてくれて‥
舞の母
もう!子供がお金のことは気にしないの!
舞の父
そうだぞ?せっかくの三年しかない高校生活だ。存分に楽しんでこい!
舞
‥っ!うん!ありがと!行ってきます!
舞
(えっと‥私の席は‥‥あった!)
舞
(あ、教科書とか机の中に入れて良いのかなぁ‥)
美衣奈
あ‥あの‥
舞
ん?何?
美衣奈
ひっ‥!
美衣奈
そ‥そこ‥私の席‥だから‥
舞
ん‥あぁほんとだ!一つずれてる!ご、ごめん!
美衣奈
あ‥いえ‥大丈夫です‥
舞
ん?なんで敬語なの?タメ口で大丈夫だよ!
美衣奈
あ‥う‥うん‥ごめん‥
舞
なんで謝るのよー。悪いことしたのは私なんだからぁ
舞
名前、なんて言うの?
美衣奈
え‥あ‥みいな‥です‥
舞
みいなちゃんね!私は舞!席‥間違えちゃってごめんね?
美衣奈
いや‥大丈夫‥
舞
もう!せっかくの入学式なんだから、もっと元気だしなよー!
美衣奈
あ‥その‥ごめんなさい‥
舞
もう‥また敬語。もっと気軽に接してくれていいのにー
美衣奈
う‥うん
舞
ふふっ‥変な子。ねぇ、みいなはどこ中学出身なの?
美衣奈
え、あ‥私は‥
こうして、私と美衣奈は友達になった。
そして私は一生、この出会いを後悔することとなる。
もしこの時の私に何か伝えられるなら、私は席を間違えないように伝えるだろう。
それほどまでの後悔。絶望がこの先の私に襲いかかるのだから