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朝が嫌いだった。
目が覚めるたびに、
「今日がまた始まるんだ」と思う。
神﨑凛は、いつからこんなふうになったのか覚えていない。
学校に行って、
適当に笑って、
家に帰って、
誰とも深く関わらず、
ただ毎日を消費するだけ。
教室にいても、自分だけ透明人間みたい だった。
神﨑 凛 カンザキ リン
話しかけられても、相手の顔すらちゃんと見ない。
どうせ、明日には忘れられる。
自分なんてその程度の存在だと 思っていた。
帰り道。
踏切の前で足を止める。
赤いランプが点滅していた。
カン、カン、カン_____
響く警報音。
凛はぼんやり線路を見つめる。
__ここで前に出たら、終われるのかな。
そんな考えが頭を過った。
でも、その日はできなかった。
怖かったから。
死ぬのが怖いのか、
生きるのが怖いのか、
もう自分ではわからなかった。
その夜。
凛は机に置かれたカッターを見つめていた。
スマホには「死にたい」と打ち込まれた 検索履歴。
画面を閉じる。
もうつかれた。
全部終わりにしたい。
そう思った瞬間、なぜか涙が出てきた。
苦しいなら死ねばいいのに、
本当は誰かに気づいてほしかった。
そんな自分が一番嫌だった。
翌日。
学校を休んだ。
誰からも連絡は来ない。
カーテンを閉めた暗い部屋で、
凛は静かに立ち上がる。
_____今日にしよう。
そう決めて家を出た。
向かったのは、海沿いの防波堤。
冬の海は冷たくて、
空も灰色だった。
凛は柵に手をかける。
下を見れば、黒い波が揺れている。
怖い。
でも、
神﨑 凛 カンザキ リン
足をかけた、その瞬間だった。
黒瀬 湊 クロセ ミナト
突然後ろから腕を引かれた。
凛の体が大きく揺れる。
振り返ると、知らない男の子が 立っていた。
同い年ぐらい。
黒いパーカーに、眠そうな目。
神﨑 凛 カンザキ リン
黒瀬 湊 クロセ ミナト
即答だった。
凛は苛立ったように睨む。
神﨑 凛 カンザキ リン
黒瀬 湊 クロセ ミナト
その声は静かだった。
怒鳴るでもなく、
説教するわけでもなく、
ただ真っ直ぐだった。
神﨑 凛 カンザキ リン
凛の声が震える。
神﨑 凛 カンザキ リン
その瞬間、彼は少し眉を寄せた。
黒瀬 湊 クロセ ミナト
黒瀬 湊 クロセ ミナト
風が吹く。
冷たい空気の中で、
凛の目から涙が溢れた。
止まらなかった。
苦しくて、
寂しくて、
助けて欲しくて。
ずっと心の奥に押し込めていた感情が、 全部溢れてしまう。
彼は何も言わなかった。
ただ凛が泣き終わるまで隣にいてくれた。
その温かさだけが、今までも世界に なかったものだった。
帰り道。
沈みかけた夕日が海を照らしている。
黒瀬 湊 クロセ ミナト
彼が歩きながら言う。
神﨑 凛 カンザキ リン
黒瀬 湊 クロセ ミナト
少し遅れて、凛は口を開く。
神﨑 凛 カンザキ リン
黒瀬 湊 クロセ ミナト
たったそれだけ。
でも、
"また明日"が来ることを、
少しだけ怖くないと思えた。