テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
2019年6月13日
今日も、あの部屋のドアが開く音がした。心ぞうが、ぎゅっとちぢこまる。太陽の光はまぶしいのに、わたしの世界はいつもはい色だ。ママの声は、やさしいときもあるけれど、すぐにとげになる。まるで、ガラスのかけらみたいに、わたしの小さな心をつきさす。 お人形みたいにしていなさいって言われる。かわいいお洋服を着せられて、きれいにかみをすかされて。でも、わたしはただの着せかえ人形じゃない。ちゃんと、心があるんだよ。いたいとか、悲しいとか、こわいとか、色んな気持ちがあるのに。 パパは、見て見ぬふりをする。やさしい笑顔のうらで、なにを考えているんだろう。助けてほしいのに、言葉にできない。のどのおくに、大きなかたまりがつまっているみたいで、声が出ない。 学校では、みんなが楽しそうに話ている。なか間に入りたいけど、どうしたらいいかわからない。わたしの知っている世界は、この箱の中だけだから。外の世界は、キラキラして見えるけど、きっとわたしにはまぶしすぎる。 夜になると、一人でふとんの中で小さくなる。天井を見つめていると、なみだがじわりとにじんでくる。だれにも言えないひみつを、たくさんかかえている。この苦しみは、いつまで続くんだろう。いつか、この箱から出られる日がくるのかな。 わたしの心は、もうボロボロのえ本みたいだ。なんども読まれて、ページはすりきれ、色もあせてしまっている。それでも、まだ物語は終わらない。明日も、わたしはお人形みたいに笑うんだ。本当の気持ちをかくして。
つづき
でもいいんだ、図書館ににげれば、あそこにいけばきっとまたやさしいお兄さんに会えるから、お兄さんはうすぎたないわたしにゆいいつ話かけて笑ってくれてたくさんお話をきかせてくれるしゃべってくれるおとなだから、そうだ、お兄ちゃんに相だんしたらきいてくれるかも。でもなんて言ったらいいかわからない。言葉にするのむずかしい。そうだ、え本、えで伝えればいいんだよね、前にママがテレビで見てた、えだけで伝えたいことを教えるひみつの暗号。わたしにもできるかな、ううん、するしかない。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!