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タナカ

先生、お早うございます!

文学先生

田中さん、お昼の挨拶はこんにちは、ですね。

タナカ

そんなことより先生、最近ネコをかったのですが、かわいい!

文学先生

そんなことで済まされましたが、先生は田中さんが遅刻してきた理由を説明してくれるまで、この話題を蛇のごとく執念深く追究していきたいと思っています。

タナカ

ネコの世話をしていて、おくれました!

文学先生

その理由、今思いつきましたね?

文学先生

どんなお世話をしたのですか?

タナカ

なんか、こう、ヒモとかで、ぶわーっと!

文学先生

それお世話じゃなくて完全に遊んでいるね。

文学先生

あと猫かわいい。

タナカ

そしたら、おくれました!

文学先生

おうちの人は遅れるよって注意しなかったのかな?

文学先生

育児放棄かな?

文学先生

そこら辺、追究すると先生の残業が増えそうなので、とりあえず無視しておきますね。

タナカ

まあそんなかんじです!

文学先生

ざっくりまとめましたね。

文学先生

ところで猫はなんという名前ですか?

タナカ

名前はまだつけていません!

文学先生

最近飼ったのかな?

タナカ

かって一年くらいになります!

文学先生

本当に猫が好きなのかな?

文学先生

先生ちょっと心配になりました。

タナカ

漱石リスペクトです!

文学先生

田中さんからまさかの単語が出てきて、先生ちょっと動揺しました。

文学先生

『吾輩は猫である』ですかね。

文学先生

好きな作品から名前をとる、というのはよくある名付け方法です。

文学先生

が、好きになる作品を間違っちゃいましたね。

タナカ

すきになる気持ちとロマンチックは止められません!

タナカ

ところで先生、質問です!

文学先生

先生も田中さんに何歳か聞きたい気持ちがありますが、それはともかく何でしょう?

タナカ

『吾輩は猫である』ってどんな話ですか!?

文学先生

先生、いろんな意味でぞっとしました。

文学先生

この気持ちをごまかすために、簡単に説明しましょう。

文学先生

『吾輩は猫である』というのは、苦沙弥(くしゃみ)先生の家で飼われることになった猫が、先生の家にやってくる友人や弟子たちを通して人間世界を観察する、というお話です。

文学先生

苦沙弥先生やその周りの人々は、漱石自身や知人たちがモデルだと言われていますね。

文学先生

猫の目を通して描くことで人間社会を相対化し、ある種のユーモアを生み出しています。

タナカ

ゆかいな小説ですね!

文学先生

そうですね。

文学先生

ただ……

文学先生

漱石がこの小説を書いたとき、彼はイギリス留学で精神をすり減らし、鬱々としていたといいます。

文学先生

それを見かねた友人の高浜虚子が、気晴らしをかねて何か書いてみないか、と誘ったのが、この小説が出来たきっかけでした。

文学先生

また、物語の始まりで、猫が自分の記憶を語る場面があるのですが、

文学先生

それによると子の猫葉生まれたばかりのときに母猫から引き離され、学生に連れ去られます。

文学先生

その途中で落っこちて、うろうろしているうちに苦沙弥先生の家にたどり着く、という展開なのですが、

文学先生

実は漱石自身、幼いころに養子に出されています。

文学先生

後の漱石は作品の中で家族関係を疑うような話をよく書いていることもあり、猫の出生には漱石自身のトラウマが投影されているような気がします。

文学先生

ユーモラスな作品なのは確かですが、書いている本人もユーモラスな気分だったかどうかは、ちょっと分らないですね。

タナカ

そうですか!

文学先生

まったく響いていませんね!

文学先生

まあいいです。

文学先生

田中さんが遅れてきたので、今日はもう時間になりました。

文学先生

次は、カウンセリングの時間に遅れないでくださいね。

タナカ

わかりました!

文学先生

本当に分かっているのでしょうか?

文学先生

家族の方もまったくお見えになりませんし、報酬が支払われるのかどうかも、私は疑問に思っているのですよ……。

タナカ

先生、それは、残念でしたね!

アナウンサー

次のニュースです。

アナウンサー

先ほど、●県●市の住宅で、遺体が発見されました。

アナウンサー

遺体は、その家に住む田中さん一家のものと見られており、

アナウンサー

警察では、姿の見えない長男が、なんらかの事情を知っているものとみて、

アナウンサー

行方を追っております。……それでは次のニュースです。

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