ジェシーside
ゲームマスター
ゲームの参加者が全員集まった時、 また、不思議なゲームマスターの声が 聞こえてきた。 この声が、今日から本当に リアル鬼ごっこが始まってしまうという 事実を物語っている。
京本大我
小さなため息の音。 それは、大我が発した音だった。 昨日はあんなことを言った大我だけど、 みんなを殺す準備なんか、 できてるはずないよな。 なにわ男子の鬼の子たちは、 みんな大我より年下で、混乱してて。 きっと、どうにかして 守ってやりたかったんだと思う。 大我はそういうやつだから。 自分が悪者になってでも、 誰かの味方でいる。 俺は、そんな大我の姿が好きだった。 だから、どうか、 大我が助かりますように。 俺は、絶対に死ぬつもりはないし、 みんなを死なせるつもりはもっとない。 それは、鬼も含めて、 全員に言えることだけど。
帰れるかな、全員でー。
京本side
さっきのアナウンスが流れてから、 30分が経とうとしている。 もうすぐ俺は、逃走者を殺す鬼になる。
嫌だ。
みんなを殺すのは、嫌だ。 どうして。 どうして、俺が鬼なんだ。 鬼が他のやつだったら…。 そんなことを思ってしまう自分が、 憎くて仕方がない。
その時ー
田中side
ゲームマスター
俺たちが絶対に 聞きたくなかった言葉は、 いとも簡単に投下され、拒否権の ないままゲームが開幕した。
京本大我
ふと横を見ると、悔しそうに 奥歯を噛み締め、拳を握り込んだ きょもの横顔が目に入った。 いつも綺麗なその顔が、今日は 歪にゆがんでいる。
きょも…。 変わってやれなくてごめん。
でも。 変わってやれない代わりに、 まずは、俺を殺して良いから。
なんて、格好のいい台詞は、 俺には言えなかった。 俺は、どこまでも臆病で、 大切な仲間が自分と闘っている今も、 自分が助かることばかり考えてる。
だから、これだけ。
お願いします、神様。
これほど、俺たちを殺すことを躊躇っているきょもの優しさが、 何かの形で報われますようにー。
髙地優吾
ゲームマスターのカウントが 90を超えた頃、髙地が叫んだ。
髙地、ごめんな。 最年長で、全部の嫌な役を押し付けて。 本当は、お前だってきょもたちと 話したいことがあるはずなのに…。 俺は、SixTONESの まとめ役とか言いながら、 ここに来てから何ができた? 何も出来てねえだろ。 不甲斐ない自分が、心底嫌になる。
だから。
田中樹
みんなを最後に逃げさせる役割は、 俺がもらおうと思った。 だって、皆んなを逃すってことは、 このゲームが始まることを 認めるってことだから。 今まで動き出すのを渋っていた皆んなを 動かすのが、どれだけ荷が重いことかは 分かっていた。 だからこそ、これ以上、 髙地だけに荷物を 背負わせるのは嫌だった。
森本慎太郎
一番最初に動いたのは、 やっぱり慎太郎だった。 慎太郎は、俺の気持ちを、覚悟を わかって動き出してくれたんだと思う。見た目の割に、情に厚い 慎太郎のことだから、 きっと、みんなが動き出せない状態に 耐えられなかったんだよな。 このまま動き出さずにいたら、 絶対に逃走者側が負けてしまうから。 とにかく捕まらないでいれば、 全員で助かる方法が 見つかるかもしれない。 俺たちは、その可能性に賭けた。
NO side
そうして、不気味なほどに静まり返った洋館のロビーには、 鬼の3人だけが残された。
皆んなが去っていってから、 約1分半後。
ゲームマスター
ゲームマスター
感情のない無機質な ゲームマスターの声が、 無慈悲にもゲームの開幕を告げた。
コメント
2件
すっごい楽しみです…!!!