西畑side
どうしよう…。3人に何かあったら…。
俺は、流星から、 恭平から、 京本さんから、 逃げて来てしまった。
松村北斗
俺の心の中を読んだかのように、 ポンッと、俺の肩に優しく 手を置いて、北斗くんは言った。
昨日の夜。 逃走者として名前を挙げられた俺ら 10人は一度、はっすんの部屋に 集まっていた。
髙地優吾
まず口を開いたのは最年長で、 ここにきてから ずっと皆んなを引っ張って くださっている髙地くんやった。
髙地優吾
髙地優吾
髙地優吾
髙地優吾
いつになく厳しい髙地くんの 表情を見て、俺は背筋が伸びる ような思いやった。
長尾謙杜
初めに髙地くんの提案に 意見したのは、まさかの謙杜だった。
その顔色は、心なしか青白く見える。
長尾謙杜
ぎゅっと握り込んだ拳には、 深く爪が食い込み、 見ていて痛々しい。
いつも明るい謙杜をここまで追い込んだ このゲームが許せへん。
かける言葉も見つからず、 俺は唇を噛み締めた。
森本慎太郎
皆んなが険しい顔をしていたその時。 この場にそぐわない、明るい声が 部屋中に響いた。
何事かと顔を上げる皆んなと しっかり目を合わせ、 森本くんは笑った。
森本慎太郎
謙杜の肩を抱き、森本くんは 一息にそう言う。
長尾謙杜
森本慎太郎
未だ渋り続ける謙杜の目を、 真っ直ぐに見つめている森本くんの 瞳は、曇りひとつない。 心の底から、思ったことを そのまま伝えている。 そんな表現がピッタリやった。
長尾謙杜
その覚悟を 受け取った謙杜は、 少し不安が和らいだような、 そんな顔をしていた。
凄いな。SixTONESさんは。 俺たちが何も言えへん時、すぐに 助け舟を出してくれる。
俺より年下の森本くんでさえ、 こんなに頼りになる。 なんか、情けないな。俺。 この場所で、俺には何が出来るんやろ?
このやりとりがきっかけで、 俺たちはペアを作り、鬼の3人から 逃げることを決めた。
西畑大吾
田中side
田中樹
俺が声をかけた相手は、 ゲーム開始から一言も喋らず、 小さく震えている彼。
大橋和也
大橋だった。
普段、誰より明るく 場を盛り上げている彼の面影は、 この場所を訪れてから、 影を潜めていた。
そりゃあ、そうだよな。 信頼する大好きなメンバーが 葛藤する様子をあんなに間近でみて、 何も感じないはずがない。
俺たちが出演するYouTube、 ゲーミングルームでも、 大橋は誰より声を張り上げて 撮影に臨んでいた。
どこか抜けているところの多い 大橋だけど、根はとても真面目で、 よく周りを見ているやつだと俺は思う。 なにわ男子のリーダーとして、 皆んなを見守って来た 大橋にとってこのゲームは、 彼のトレードマークでもある笑顔を 簡単に奪ってしまうほどの 大きな存在になっている。
俺はどうにかして、 大橋の心を楽にしてやりたいと思った。
田中樹
大橋和也
大橋は、花が咲くように優しく微笑んで 俺を見つめた。
自分がどんなに苦しくても、 人の心配を絶対に忘れない 心の綺麗な大橋の瞳には、 光が戻っている。
きっと、もう大丈夫。
そんな気がした。
ジェシーside
俺たちは、どうなるんだろう…。
大我は。 高橋は、大西は、本当に 俺たちを殺しにくるのだろうか。
誰にも死んでほしくない。
それが、俺の1番の願いだった。
皆んなが傷つくくらいなら、 俺が犠牲になる。
だから、もし。
鬼側が本当に、 俺たちを殺すために建物を 動き回っているのなら。
一番最初に見つかるのは、俺で良い。 俺が良い。
道枝駿佑
ジェシー
俺を呼んでいたのは、ペアになった みっちーだった。
ジェシー
怯えている様子のみっちーを 安心させるため、俺はいつもの調子で おどけて見せた。
でもー。
みっちーの目は、俺を見ていなかった。
みっちーが見ていたのは、 俺のもっと後ろのほう。
道枝駿佑
ジェシー
俺は、思わず叫んだ。 みっちーと狭い一本道を走る中、 俺の背中にはものすごい殺気が 迫ってきていた。
みっちーが巻き込まれないよう、 俺は思い切りみっちーを突き飛ばし、 自分は大我に向かって走った。
振り返れば、ナイフを振り上げた 大我の姿が見える。
きっと、お迎えが来たんだ。
まだ、みんなに言いたいことが たくさんあるなぁ。 髙地。今までありがとう。 昨日と今日は、皆んなを守るために 普段はしない役を 買って出てくれてありがとう。 最高にかっこよかったよ。 樹。俺、樹の安心感が 大好きだった。 樹が隣にいると何でも 突っ込んでくれるから、 安心してボケられたよ。 北斗。北斗と一緒にいると、 時間がゆっくり流れていくような 気がして心地よかった。 もっと一緒に笑いたかったな。 慎太郎。慎太郎とは、たくさん ご飯に行ったね。真面目な話もたくさんしたけど、いつも明るい慎太郎に たくさん助けられたよ。ありがとう。 大我。逃げてごめん。 俺のことを殺しても、 自分を責めなくて良いんだよ。 皆んなで絶対、助かってね。
俺は、SixTONESが大好きだよ。 SixTONESは俺の居場所で、 家族みたいなものなんだ。 もっと一緒に、 6人で活動したかったな。
みっちー、ごめん。 俺が殺されるところなんか見たら、 トラウマになるよな。
俺が犠牲になれば良い、 なんて。 そんなの、ただの自己満足だ。 みんなが死んでしまうのが嫌だから、 まずは自分がいなくなりたかった。 遺される人になるのが怖くて。
みんな、ごめん。 バイバイ。
大我の動きは、スローモーション みたいにゆっくりに見えた。 でも俺の体は、それ以上に動かない。
大我の手は、ブルブルと震えていた。 大我も、怖かったよな。 俺は大丈夫だから、 そんな悲しい顔するなよ。
グサっ。
胸に、焼けるような痛みを感じた。
きっとこれは、大我が感じている 心の痛みと同じなんだろうな。
ジェシー
大きな目いっぱいに涙を溜める 大我の頬に手を添えて微笑む俺を見て、 大我は目を見開いた。
京本大我
俺に抱きついて子供のように涙を流す 大我の熱を感じながら、俺の意識は 闇へと堕ちていく。
コメント
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すごい……です…✨ 続き待ってます!!