京介
…
ああ、知ってるぞ
すげーうざいやつだ
いっつもニマニマして話しかけてくる
桜笑
(そっか、京介くんて…見習いくんと知り合いなんだ)
桜笑
(美桜さんの友達だから…)
桜笑
(ていうか、何この沈黙…!?)
桜笑
(あたし何かヘンなこと───)
京介
…ヘン
桜笑
っえ?
京介
その態度ヘンだっつってんの
京介
気持ち悪りぃ
桜笑
(い、いつも通り…だ)
京介
…つーか
京介
んな目の前でイチャイチャされりゃ気まずい気持ちもなくなるわ
桜笑
ご、ごめんなさい…
桜笑
ていうかイチャイチャってなに!?
京介
今更なんだよ
京介
お前、初対面でどっか行けって言った俺にもズカズカ来たくせに
桜笑
!
京介
今更…そんなことで避けてくんな
桜笑
京介くん…
京介
おら水内帰るぞ
菜乃
はっ!?なんで私!
京介
見りゃわかんだろヘンなやつTOP2に関わられてんだよ
京介
…それに
京介
どーせ三日月、こいつに話したいことでもあんだろ
桜笑
…あはは、ありがとう
京介くんは思ってたより鋭いみたいだね
桜笑
そーだよナメてかかると死んじゃうよ
物騒だね
桜笑
…ふふ
…?
それで、話というのは───
桜笑
…あたしってきっともうすぐ死ぬワケじゃん
まあそうなるね
桜笑
…聞きたいことが、あって
ん?
桜笑
(…2回目の質問に、なる)
桜笑
(あのときは誤魔化されたその質問)
桜笑
────きみの名前は、何?
…ああ
そうだね、ずっと言えなかった
俺は───
ガタンッ
電車が大きく揺れる
バランスを崩した乗客たちに押されてあたしもつまずく
桜笑
…ご、ごめん
…
桜笑
…見習いくん?
ふと顔を上げるともたれた先にいる見習いくんは、何処かを凝視していた
ああ、いや…
さて、俺は次の駅で降りるから
桜笑
…そっか
桜笑
(送ってってくれてもいいのに!!)
桜笑
(ていうか今の時間で名前くらい言えたでしょ!)
いなくなった見習いくんにはあとため息をついて外を眺める
桜笑
(死ぬ…か)
桜笑
(…いつ、死ぬんだろう)
桜笑
(明日かな、明後日かな、それとも来週かな…)
桜笑
(…もう、残された時間は本当に数えるほどしかなくて)
桜笑
(ならあたしは、自分で…この世からいなくなりたい)
桜笑
(最期に見習いくんの名前聞けたら、遺書だけ書いて死のうと思ったんだけど)
桜笑
(…まだ、死ねないなぁ)
あたしは今までもこれからも自分の人生を客観的に、冷静に見ていて…
桜笑
(見習いくんが言った、死んでほしくないは…)
桜笑
(どういう意味なのかな)
桜笑
(好きって…意味なのかな)
桜笑
(だとしたらあたしはもう…)
桜笑
桜笑
(───そんなの聞けないや)
でもそんなのウソだ
桜笑
(きっと、聞いたら)
桜笑
(死にたくなんて…なくなっちゃう)
桜笑
(そう思う気持ちが…溢れちゃうから)
ギリギリで保たれたあたしの気持ちは
もうはち切れそうで
菜乃に、京介くんに、瑠々ちゃんに、空くんに、会長に美桜さんに見習いくんに…
…たくさんの大切な人に、会うたびに…
桜笑
(ずっと、泣きそうだ…)
…雨
俺の気持ち、みたいだ
時雨ってか?
デスくん…どうしたの?
お邪魔します
いらっしゃい
…それで?
ああ、時雨って言ったのは───
うん、泣いてる例えだよね
…お前なんでも先に言うな
そんな覚えはないけど…
…そういえば、デスくんは会ったばっかりのときも時雨の話をしていたね
あのときは冬の初めに降っていたあの雨のことを指してた
そんときだろ先に言ったの
あはは、そうだったんだ
…それで彼女は、桜笑はどうしたの?
────っ
それを伝えにきたんだよね






