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スマートフォンを握りしめながら、つばきは少しばかりドキリとした。
アイドルや芸能人ではないものの、顔を晒すのは恥ずかしい。
しかし、セラーノベルのコメント欄は「憧れの人が顔を見せてくれるかもしれない」という期待で、にわかに盛り上がりを見せていた。
二ツ森メリー
二ツ森メリー
二ツ森メリー
新規フォロワー
新規フォロワー
新規フォロワー
新規フォロワー
新規フォロワー
二ツ森メリー
二ツ森メリー
フォロワー
フォロワー
フォロワー
フォロワー
フォロワー
二ツ森メリー
二ツ森メリー
普段から両親やクラスメイト達には、一応可愛いだなんだと言われているが、やはり不安は付き物だ。
もしこのフォロワー全員からブスだと言われようものなら、立ち直れなくなるのは目に見えている。
二ツ森メリー
二ツ森メリー
二ツ森メリー
新規フォロワー
新規フォロワー
二ツ森メリー
二ツ森メリー
新規フォロワーへの返答をはぐらかし、つばきはアプリを閉じる……
こうして時間は流れ、放課後。
クラブ活動もしていない、企画委員会の活動もないとなると、つばきがわざわざ学校に残る意味などない。
つばき
つばき
クラスメイト
クラスメイト
エミリ
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばきは未だに悩んでいた。 自分の投稿に、顔出し……自撮りを入れるかどうかを。
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
確かに恥ずかしくはあるが、顔を出しているユーザーの多くは、かなりの数のフォロワーを誇っている。
そればかりか、コメントの数も、他の投稿者に比べて桁違いに多いのだ。
つばき
つばき
つばき
そうすれば、いずれ自分の存在価値を、周りに認知してもらえるはず。
あの憎たらしいエミリだって、負けたと思うに違いない。
つばき
つばき
そう思えば、恥ずかしいなんて躊躇っている理由はない。
つばき
つばき
つばき
つばき
家に帰って早々、つばきは自撮りに明け暮れていた。
何せ初めて顔を出すのだから、その顔が良く見える1枚が欲しい。
スマートフォンの容量が悲鳴をあげるが、そんなものなどお構い無しに、つばきは写真を撮り続ける。
つばき
つばき
つばき
つばき
カシャ! カシャ!
そう心に言い聞かせながら、カメラの前で色々なポージングを試し、細部まで作り込んでいく。
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
スマートフォンを床に置いて、彼女は鏡に顔を寄せる。
そこには目をらんらんと光らせ、可愛いというよりも、迫力のある表情をしている、つばきが映っているのだが……
当の本人は気づいていない。
つばき
つばき
そうして、何時間経ったことだろうか。
カシャ! カシャ! カシャ!
連続撮影でもしているのかと思うほど、頻繁に鳴るシャッター音。
いつもと同じ撮影風景だと言うのに、この日はどこか緊迫した雰囲気が、甘く可愛らしい室内に漂っていた。
つばき
つばき
大量に撮った写真を消しながら、つばきはうっとりと微笑む。
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
顔を出した投稿をしたのは、親と決めた時間制限の終了間際のこと。
つばきが翌日になって画面を見れば、そこにはとてつもない数のいいねとフォロー、コメントの通知が並んでいた。
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
意気揚々としながらも、つばきは通知欄をスクロールさせていく。
つばき
つばき
つばき
つばき
1度でも、顔を出したためだろうか。
つばきには、プライベートな写真を投稿する事への抵抗感が消え失せていた。
つばき
つばき
ワクワクする胸を抑えつつ、つばきはいい匂いの漂うリビングへと足を向ける。
そして、スマートフォンのカメラを、母親が出したばかりの朝食に向け――
カシャ!
お母さん
つばき
つばき
つばき
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
つばき
お母さん
お父さん
お父さん
お父さん
お父さん
お母さん
つばき
いつも通りの穏やかな朝。 食卓を囲む様子は、こちらもまた変わりない。
だが、つばきの心には『承認欲求』という名の欲望が、鎌首をもたげていた。
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
つばき
このままいけば、自分は世間に認められる。誰もが自分を好意的に見つめ、笑いかけ、構ってくれる。
この時までは、彼女はそう思い込んでいた。