私が病院に搬送されてから
気がつけばもう半年
病院で三ヶ月の入院の後
児童相談所で約一ヶ月半保護されて
そしてこの家に来て一ヶ月半
病院に搬送された梅雨の時期から
半年経って今は冬
この頃の私は
常にいっちゃんがそばにいないと泣いてしまい
赤ん坊のように夜泣きも酷くなり
その度にいっちゃんが私をあやしてくれていた
拓郎
郁美
郁美
この頃の一番の問題はトイレだった
常に密着していないと私が落ち着かなかったため
いっちゃんはなかなかトイレに行くことができなかった
トイレに行くために私を離そうとすると
堰を切ったように泣き出してしまう
いっちゃんはなんとか我慢して
私が昼寝をしている間に行くようにしたり
それでもいつ私が目覚めるかわからなかったから
トイレのドアはいつも全開
本気で大人用のオムツを買おうか迷ったほど
拓郎
拓郎
郁美
郁美
拓郎
結局オムツは諦めて
いっちゃんは今まで通り我慢の道を選んだ
いっちゃんは誰よりも早く起きて
朝食と昼食を同時に作る
この時間は寝ているか
起きてもたっくんがいるため泣くことはなく
朝食後にたっくんが出勤してからは
おんぶ紐で背中に私を固定し
掃除や洗濯、買い物を済ませてしまう
家に戻って作っておいた昼食を食べたあとは
ひたすら引っ付いて離れない私の相手をしてくれた
夜になってたっくんが帰宅すると
今度はたっくんが私のそばにいてくれて
その間にいっちゃんは大急ぎで夕食を作り
たっくんは私をおんぶ紐で背中に固定して
鼻唄を歌いながら風呂掃除
長い柄のあるスポンジを使って
私に洗剤が飛ばないように
細心の注意を払って行っていた
夕食後のお風呂は毎日交互に
二人のどちらかが一緒に入り
少しでも離れると私が泣いてしまうため
私の体や髪を洗い終えると
直ぐに体を拭けるように外で待機して
郁美
拓郎
私から離れないようにしてくれた
郁美
拓郎
二人はまだ新婚
色々としたいこともあったはずなのに
郁美
拓郎
郁美
郁美
郁美
拓郎
いつも私のために我慢してくれていた
拓郎
拓郎
郁美
郁美
何も知らずにスヤスヤと眠る私を見て
郁美
拓郎
二人は笑みを浮かべていた
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