いっちゃんとたっくん

数日後

児童相談所の職員さんの訪問があった

私が保護されていた児童相談所から

今住んでいる地域の児童相談所に連絡が入っていて

私の今の様子を見るための訪問だった

女性の職員さんが声をかけてきたけど

私は怖くて返事をすることができなかった

もしまた児童相談所に連れていかれたら

大好きな二人と一緒にいられなくなったら

そう思うと不安で

いっちゃんにしがみついたまま動かなかった

私が不安にならないように

いっちゃんは何度も頭を撫でてくれた

数十分後

そう言って職員さん達は帰っていった

これからもここで暮らせる

大好きな二人と一緒にいられる

それが嬉しくて

何度もいっちゃんの胸に顔を埋めた

その日の夜

たっくんは大きな荷物を抱えて帰ってきた

カラフルな包み紙の大きな箱

驚くいっちゃんを横目に

たっくんが包み紙のテープを外していく

包み紙から出てきたのは

クリスマスツリーの箱だった

生まれてからこの家に来るまで

まともにテレビを見たことがなかった私は

初めて見るクリスマスツリーに驚いて

でもワクワクドキドキして

いっちゃんが夕食を作っている間

たっくんはクリスマスのお話をしてくれた

12月24日の夜

赤い服を着た白髭のサンタクロースが

トナカイのソリに乗ってやってくる

煙突から中に入り

クリスマスツリーにぶら下げた靴下に

プレゼントを入れてくれる

そう言って笑ういっちゃんの顔

すごく嬉しそうで

私もつられて笑顔になった