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アレン
ねえ真紀、今回のケーキどうかな！？
アレン
結構な自信作！
彼はアレン。パティシェ見習いの私の彼氏。
真紀
真紀
うん、甘さも丁度良くて美味しい！
真紀
見た目もとっても可愛いしウケいいんじゃない？
スイーツの研究に熱心で彼の頼みで試作品の試食をたまに頼まれる。
アレン
よっしゃ！
ハーフであるからか日本人離れした栗色の髪と緑の瞳の整った顔が無邪気に笑う。
真紀
(ハロウィンが近いせいか最近やたらと張り切ってて)
真紀
(毎日のように試食持ってくるのは困るけれどこの笑顔が見れるなら…)
真紀
(…運動頑張ろう)
アレン
真紀
(…？)
真紀
何じっと人の顔見てるの？
アレン
ん？ああいや…
アレン
そこまで美味しそうに食べてくれて可愛いなって！
真紀
なにそれ、食い意地張ってるって言いたいの？w
アレン
違う違うw
アレン
あー、早くハロウィンにならないかなー！
真紀
(…)
真紀
(でもさっきのちょっと怖かった…)
真紀
(とても彼女を見る視線とは思えない)
真紀
真紀
(考え過ぎかな)
ハロウィン前日の夜。
とうとう完成したと興奮気味に言うアレンに誘われるがまま
彼の家まで行くことになった。
真紀
…ねえアレン
真紀
お菓子食べるだけだよね？
真紀
何で目隠ししなきゃいけないの？
アレン
あれだよ、サプライズ！
真紀
へ、へえ…
ガチャ、と扉が開く音がして、入るよう促される。
そのまま彼の言う通り進んでいくと…
アレン
はい、目隠しとって
真紀
うん…
真紀
真紀
ここって
そこは窓から月明かりが入って来ている寝室だった。
真紀
…
真紀
完成したって言うお菓子は？
アレン
ここにちゃんとあるよ
真紀
…？
アレン
だから
アレン
真紀が完成したお菓子なんだよ
真紀
…
真紀
…は？
全く意味がわからない。
真紀
…ひょっとしてエロい意味？
アレン
あっはっはww
アレン
そんな訳ないじゃんw
真紀
そ、そうだよね…
真紀
そんなこと言うキャラじゃないし…
アレン
人間の色恋なんて僕興味ないもん
真紀
…え？
真紀
真紀
まあハロウィンは明日だから気持ちわかるけど
真紀
魔物かなんかに成り切ってるの？
アレン
成り切る、ねえ
アレンがこちらに歩いて来て、隠れていた顔が月明かりに照らされる。
赤い目、黒い髪。
その質感はカラコンやウィッグとはとても思えない。
アレン
とても面白い冗談だよ
真紀
アレン
お菓子を食べ続けた人間の血はとても甘いんだ
アレン
僕ら吸血鬼には最高のお菓子ってこと
真紀
ひっ…！！
ガチャガチャと寝室のドアノブを回す。
真紀
(なんで開かないの…！？)
アレン
力を持ってる魔物だもん
アレン
獲物を逃さないようにするなんて当然できる
真紀
こ…
真紀
来ないで！！！
抵抗むなしく壁際まで追い詰められる。
アレン
真紀
アレン
人間として暮らす君との恋人ごっこ
アレン
長い寿命の暇つぶしとして割と楽しかったよ
アレン
さよなら
ガブッ
真紀
アレン
全く、効率ばかり気にして医者ごっこしてる兄さんの気が知れないよ
アレン
吸血鬼たるもの風情を大事にするべきなのに♩
アレン
…さて、次はクリスマスかなあ…
アレン
コウモリ
コウモリ
次の獲物を探しにいくか
バサバサバサ…
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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