これは俺が高二の夏休みに
実際に体験した話だ
俺は自分の机の中に宿題を忘れたことに気づいて
夕方5時くらいに親友の和樹と学校へ取りに行った
和樹
おい、プリント見つかったか?
悠斗
えーっと...、ちょっと待ってくれ...
悠斗
悠斗
あった!このプリントだよな?
和樹
それだけど...クシャクシャになってるぞ、
悠斗
大丈夫だって、伸ばせば.......ほら!
和樹
はいはい、俺もう帰るからな、鍵返して帰れよ。じゃあな
悠斗
ちょ...待てよ!
悠斗
あーあ、行っちゃった…あいつ冷たいんだよなあ。
そう言って教室の鍵をかけようとした時、誰かが俺の後ろに立っていることに気づいた
悠斗
うおっ!
後ろにいたのは半年前事故で大怪我を負い入院しているはずの直哉だった
悠斗
なおや...直哉じゃねえか!
直哉
ひ、久しぶり!
直哉
悠斗、元気だった?
悠斗
それはこっちの台詞だよ!もう退院したんだな!
直哉
ま、まあね。
悠斗
なんでそんなに緊張してんだよ!それにしても良かったなぁ
直哉
うん...
悠斗
どうして泣くんだよ、
直哉
だって、もう忘れられてると思って...嬉しくて...ごめん。
悠斗
何言ってんだよ、俺ら友達じゃねぇか…、他の奴らには言ったのか?皆心配してたんだぞ
直哉
ううん...言ってない
悠斗
そうか...、はやく言ってやれよ、皆喜ぶぞ!
直哉
うん...僕がいない間どうだった?
悠斗
そりゃあもう色んなことがあってな、何から話したらいいもんか...
悠斗
あ!そう言えば転校生が来たぜ!村木ってやつでさ、そいつがめっちゃ面白い奴なんだよ、
悠斗
それとこれは秘密だけどな、和樹と結付き合ってんだぜ
直哉
え!そうなんだ、文化祭はどうだった?
悠斗
文化祭はな・・・
それから俺たちは時間を忘れて喋りまくった
そして気づくと外は暗くなっていた
悠斗
もう...こんな時間か
直哉
時間が経つのが早いね
悠斗
じゃあ俺帰るわ、また今度皆でゆっくり会おうぜ!
直哉
悠斗、もうちょっと話そうよ
悠斗
え?でももう外暗いぞ
悠斗
お前ん家遠いし退院したばかりだろ、無理してまた悪くなったらどうすんだよ
直哉
それは大丈夫、親に迎えに来てもらうから。
悠斗
でも俺も帰らないと...
直哉
行かないで!
悠斗
ど、どうしたんだよ
直哉
じゃあ俺ん家に泊まりにこればいいよ、
悠斗
いや、急だし迷惑だろ?
直哉
そんな事ないって、
悠斗
親にも言ってねぇし...
直哉
じゃあ電話してよ
悠斗
で、でも
直哉
いいじゃん、泊まりに来てよ
直哉
僕、嬉しいんだ、半年ぶりに会えて、
悠斗
それなら今度でも大丈夫だろ?もう退院したんだし…
直哉
よくない!電話しろよ
悠斗
わ、わかった
俺は直哉がちょっと怖くなって職員室前の電話からかけることにした
プルルルルルルルプルルルルルルル
ガチャ
おふくろが出た
おふくろ
悠斗?何時だと思ってるの!
悠斗
おふくろ、俺今日友達んち泊まりたいんだけど、
おふくろ
急だから迷惑でしょ、早く帰りなさい。
悠斗
俺もそう言ったんだけど…どうしてもって...
おふくろ
誰の家に泊まるつもりなのよ
悠斗
事故って入院してた奴いただろ、そいつんち
おふくろ
入院してたって…直哉くん?
悠斗
そう!そいつ元気になったから来たんだよ、だからさ・・・
おふくろ
何いってんのあんた?直哉くんならさっき・・・
悠斗
だから泊まってくるわ、じゃあな
ガチャ
直哉
いいって?
悠斗
おう!
悠斗
でも本当に大丈夫なのかよ
直哉
もちろん、じゃあ近くの公園のとこに母親の車来てるから行こう?
俺は言われるがままに直哉についてった
今思えば、この時点でおかしいと気づくべきだった
だって直哉に母親はいないはずだから
暗い廊下を直哉の後ろについて歩いた
悠斗
こんな時間まで学校開いてるんだな、
直哉
そうだね...
一瞬別人の声に聞こえた
昇降口で直哉の横顔を見た俺は暑くもないのにぶわっと汗をかいた
そこにいるのは直哉では無い
別人だ
悠斗
うわあああああああああああ
俺は一目散に逃げた
心臓がちぎれるほど走って家の中に飛び込んだ
おふくろ
悠斗!無事だったのね!
悠斗
おふ、くろ...
おふくろが泣きそうな顔で飛びついてきた
悠斗
おふくろ!直也が...直哉が!
おふくろ
落ち着いて悠斗、さっきあなたが私に電話する少し前、連絡網が回ってきたの、
おふくろ
倉橋直哉くんは亡くなりましたって…