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開票が中断されてから、おそらく30分はすぎていただろう。

ハカセ

セイヤ、大丈夫か?

セイヤ

あぁ、朝食ってきたものは
あらかた出たな。

ヨウタ

それにしても志賀のやつマジかよ……。
本当に容赦なく殺しやがった。

ハカセ

しかも、死体を片付けさせられるとは思わなかった。

投票箱は一度担任が回収し、中身の確認を始めた。

その直後、最初の班が全員白紙で提出していたことが発覚。開票はそこで中断された。

教室の後ろのほうに、その班のやつらを並ばせると、担任は猟銃の引き金を引いた。

火薬と血が混じった臭い。

飛び散る血液と、元は人間だったなにか。

一瞬で教室は血の海となり、担任の指示で男子が死体を隣の教室に運び、女子が教室の掃除をすることになった。

ヨウタ

もうしばらく飯食えないだろうなぁ。

ハカセ

蜂の巣になった死体を片付けたばかりだからね。
僕もしばらく夢に見そうだ。

フルフェイスA

おい、無駄口を叩くな。
用を足したらすぐに戻るぞ。

トイレの入り口で猟銃を構えたフルフェイスが言う。

ボイスチェンジャーをヘルメット内に仕込んでいるのか、気味の悪い合成音声だ。

ヨウタ

思ったよりも隙がないな。
銃さえ奪えればなんとかなりそうなのに。

ツヨシ

そう言うことなら、俺も一緒に暴れてやってもいいぜぇ。
あいつらにはむかついてるからなぁ。

セイヤ達の会話に割り込んできたのは、別の班にいるツヨシだった。

ツヨシはややガラが悪く喧嘩っ早い。

ただ、涙もろく仲間思いであるため、ガラが悪くとも周囲から信頼されていた。

セイヤ

いや、ここで俺達が抵抗したことで、教室に残っているみんなに危害が及ぶかもしれない。やめておいたほうがいいと思う。

死体を運び終えた後、気持ちが悪くなってしまったセイヤ達は、それを担任に伝えた。

死体を見るのは当然だけど初めて。 むごたらしいクラスメイトの亡骸を見て、 気持ちが悪くなって当然だろう。

死んだクラスメイトに失礼だ――

なんて綺麗事を言える余裕はなかった。

そこにツヨシが便乗して現在にいたる。

ヨウタ

でも、このまま大人しく俺達が戻ったら、また開票が再開されるんだ。

ヨウタ

それって、またクラスの誰かが死ぬってことだよな?

ツヨシ

お前達の班がどうやったのか知らないけどよ、俺達の班は――多分だけど、誰も死なない。

ハカセ

それは、興味深い話だね。

ツヨシ

あぁ、こいつはナギのやつが提案したんだけどよ……。

誰も死なない投票のやり方。

それは、セイヤがみんなに提案したやり方でもある。

ツヨシ達の班も、同じような方法にたどり着いたのだろうか。

フルフェイスA

時間だ。
教室に戻るぞ。

フルフェイスA

おしゃべりも終わりだ。
今後しゃべったやつは問答無用で撃ち殺す。

合成音声なのに、ややイライラしているように聞こえたのが不思議だった。

猟銃を突きつけられたまま、セイヤ達はトイレを後にする。

志賀先生

おー、戻ったな。
ご苦労さん。

教室には、まだ血のあとが残っていた。

かつてのクラスメイトが流した血の臭いは、 きっとどれだけ掃除をしても残っているのだろう。

志賀先生

さて、みんなあらかた行ったと思うけど、トイレとか大丈夫かな?

志賀先生

教室でゲロ吐かれても困るし、意外と掃除が大変なことも分かったから。

志賀先生

出すもんは出しておいて欲しいんだよなぁ。

志賀先生

まぁ、教室で一度に6人も殺したのは、先生もやりすぎたと思ってる。

志賀先生

すまんすまん。

志賀先生

今度からは、隣の教室に連れて行って殺すから。

志賀先生

そうすれば死体を片付ける手間も省けるし、教室でゲロ吐いたり、おしっこ漏らしたりするやつもいなくなるだろ?

志賀先生

その辺りは改善する。

生徒が6人も死んでしまったことに対しては、なにも思っていない様子の担任。

普段の気の弱い担任のイメージしかないものだから、その言動がさらに不気味に見えた。

セイヤ

人の命をなんだと思ってるんだよ……。

ハカセ

目的が見えてこないんだ。
先生はなんのためにこんなことをしてるのか?

ヨウタ

それに、あのフルフェイスヘルメットの連中は何者なんだ?

フルフェイスの連中はやや遅れて教室に戻ってきた。 あいつらがいる以上、下手に抵抗はできない。

アカリ

それが分かれば苦労しないよ。

シズカ

帰りたい。家に帰りたい。

マドカ

さっきからうるさいって。
イライラするから黙ってくれないかな?

クラスメイトの死は、それぞれに衝撃を与えたようだ。

気の強いマドカでさえ、シズカに八つ当たりする程度には、メンタルを乱されている。

志賀先生

おーい、みんなどうしたぁ?
元気ないぞー。

志賀先生

普段からこれくらい静かだと、先生もやりやすいんだけどなぁ。

志賀先生

まぁいい。

志賀先生

それじゃ、開票を再開しようか。

志賀先生

次は、ナンバーズの班だな。

マドカ

あー、あそこの班。
よくよく見たらナンバーズで固まってるじゃん。

アカリ

わざとだとしたら、かなり悪質な組み合わせだよね。

マドカ達の言うナンバーズとは、名前に数字が入っている女子グループのこと。

学校となると、大なり小なりグループができるもの。ナンバーズもそのうちのひとつ。

クラスカーストでは上位に位置するグループだった。

アカリ

あそこはかわいそうだけど、誰が犠牲になるかわかっちゃうよね。

マドカ

まぁ、照らし合わせて意図的にあの子を犠牲にするだろうね。

人間は集団になると、なぜか弱者を作り出して除外しようとする。

実はナンバーズの中でも、それが起きていたのである。

簡単に言ってしまえば、いじめである。

志賀先生

よし、開票するぞー。
まず1票目は……イチカ。

担任はチョークを持ち、黒板と向き合った。

ナンバーズのメンバーは、レイ、イチカ、ニコ、ミナミ、シキ、そしてゴミの6人。

一学期の中頃までは、それぞれ下の名前で呼び合っていたが、いつしか彼女……いじめの標的となった五味だけが、苗字呼びされるようになった。

呼び方もゴミ箱などを発音する際のイントネーションだった。呼び名は全く同じでも、イントネーションが異なるだけで印象は変わる。

それを分かっていながら、あえてイントネーションを変えて苗字呼びをしていた彼女達は、かなり悪質だ。

志賀先生

2票目も……イチカ。

アカリ

多分、イチカに票を集中させて、ゴミを2番目にするように投票してると思う。

アカリが正確なイントネーションで呼んでいるのが、せめても救いだった。

志賀先生

3票目もイチカか……。

マドカ

でもゴミも完全に被害者ってわけじゃないよね。
シカトされるのが嫌なら、グループから抜ければいいのに。

ハカセ

ん?
そういうものなのかい?

アカリ

あー、男子はよく分からないと思うけど、グループで無視されたらね、そこより格下のグループに入れてもらうみたいな風潮があるんだよ。

セイヤ

クラスカーストってやつか。

ハカセ

別にたかだか高校の3年間程度、クラスのカースト上位にいてなんになるんだろうね。

ハカセ

今後生きて行くうえで、なんの役にも立たないのに。
履歴書に書けるのであれば、話は変わるけど。

マドカ

ハカセ達には分からないよ。
本人達からすれば死活問題なんだから。

志賀先生

そこ、ちょっとうるさいぞ。
静かにしてくれよ。静かに。

志賀先生

4票目も――イチカか。

ヨウタ

これでイチカのやつは投票トップ確定。安全圏になったわけか。

アカリ

となると、残り1票がイチカで、もう1票は……。

マドカ

ゴミでしょうね。

ヨウタ

おい、そのイントネーションで呼ぶなよ。かわいそうだろ。

マドカ

いいじゃない。
ヨウタだって、あの子がグループからハブられてるって知ってるから、関わらないようにしてたでしょ?

志賀先生

お、5票目は……ゴミか。

担任までもがイチカ達のようなイントネーションで彼女の名を呼んだことに、たまらずセイヤは手を挙げる。

セイヤ

その呼び方はやめて欲しい。
教師は生徒に平等であるべきだと思う。

志賀先生

誰がそんなこと決めた?
先生だって人間だからな、
よってたかって人をいじめたくもなるさ。

志賀先生

なぁ、イチカ。

イチカは担任を無視した。

志賀先生

まぁいいや。これで全てが決まるぞ。
6票目が入ったのは……。
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面白いです!恐怖だ…みんな淡々としてる…

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