純白の君は見たくない

なんとなく想像はついてた

最近彼に会えなかったし

いい話ではないだろう

震える声をごまかすように笑みを浮かべる

どうか君にバレていませんように

涙が溢れる

暗い部屋に電気もつけずひきこもった

あれから一年が経った

心の傷は大分癒えてきた…はず

ポストを見ると手紙が入っていた

裏を見て心臓が止まりそうになった

忘れたかったのに忘れられない

父と矢田社長は知り合いなので父の面子の為にも行くしかない

周りを見れば皆笑顔

当たり前だよね今日は「祝福の日」なんだから

祝福のベルがなる

新婦の隣に立つ彼は悔しいけれど今までで一番かっこよかった

唇をぎゅっと噛む

まだ、大丈夫

本当に辛いのはこの後だから

二人は寄り添い唇を合わせた

母親に何かの文句をつける新婦

ねえ、カズマ本当にこの人と結婚するの？

やめるって行って私の元へ来てよ

もう、何も聞きたくないよ

どうして彼の隣は私じゃないんだろう

俺は両親には逆らえなかった

無情にも本当に愛する人に祝福されてしまった

俺はさっきナズナに何を言おうとした？

何を言ったってもう、遅いのに

俺の隣に彼女はもういない

この誰よりも着飾ったドレスを着ている「妻」よりも

地味めな青いドレスを着た「ナズナ」の方に目を惹かれる

この声は誰にも届かなかった