BBダウト戦 ルール概要
互いに相手に踏ませるストーリーをセットするまでは既存のBBと変わらない。
それぞれ3回ずつダウトをする権利を有する。
相手に自分のストーリーを踏ませるか、ダウトで相手のストーリーを当てることができれば勝ち。
ダウトは回数制限があるものの、使い切っても負けにはならない。
勝負は始まったが、しかし双方互いに様子見。
別に距離を取る必要はないのだが、一定の間合いを取りつつ、一宮は九条の出方を見る。
一宮
(今回の勝負は基本的にスタンダード。でも、そこにダウトという要素が加えられている)
一宮
(このダウト――見方によっては攻撃手段のように見えなくもないけど、使い方によっては守りにも使える)
一宮
(相手の仕掛けたストーリーをダウトするというルールであれば、すなわちダウトが外れた場合、その行動はストーリーとして仕掛けられていないということになる)
九条
ふふっ……。
九条
もしかして、ダウトって攻撃より防御のほうに回したほうがいいんじゃない?
九条
なんて思ってません?
一宮
(考えが読まれている?)
一宮
(いや、そんなことはない)
一宮
(この勝負において新要素となるのはダウトの部分になる。だからこそ、まずそこから思考を始めるのは当然のこと)
一宮
(九条はただ当たり前のことを言っただけだ)
九条
まぁ、好きにやってくれたらいいですよ。
九条
あ、ちなみになんで僕が負けないかご存知ですか?
九条
僕、人の心が読めるんですよ。
九条
だから、一宮さんがどんなストーリーを設定したのかも、もう分かっていたりするんですよねぇ。
一宮
だったら、さっさとダウトすればいいじゃないか。
九条
いや、それをやっちゃうと面白くないじゃないですか?
一宮
読心術だかなんだか知らないが、それだけの自信なんだ。
一宮
さぞ簡単に俺の考えていることを当てられるんだろうなぁ。
九条
だから、ついさっき当てたじゃないですか――。
互いの距離は縮まらない。
一宮
(さっきのは当たり前の思考を読んだだけ。言わば、誰にでも必ず当てはまるようなことを口にするバーナム効果を狙ったものだ)
一宮
(この勝負において、ダウトのことに思考が行くのは当然で、しかもダウトが攻撃だけじゃなくて、防御にも使えると考えることは、ごく普通の思考能力があれば当然たどり着く)
一宮
(九条はハッタリをかましているだけだ)
一宮
(ただ、少しばかりおしゃべりな男だな。おかけで、自然と九条のダウトを封じることができた)
一宮
(俺の考えていることを当てられる――もし、それが本当だとすれば、当然ながらダウトを外したりはしない)
一宮
(ダウトを外すということは、自らのハッタリを否定することになってしまうから、まずダウトは使えない)
一宮
(話術で俺を翻弄(ほんろう)しようとしたんだろうが、それご裏目に出たな)
九条
どうしました?
九条
仕掛けて来ないのですか?
九条
ダウトを仕掛けるタイミングは任意ですし、3回使った以降は単に使えなくなるだけです。
九条
よって、デメリットは皆無。
一宮
だったら、そっちが先にやればいいだろ?
一宮
(現状では、まだダウトはできない)
一宮
(ここは適当な理由をつけてダウトは避けるはず)
九条
……いいですよ。
九条
ただ、僕はじっくり楽しみたいタイプでして、そうですね、美味しいものは最後まで取っておくタイプなんです。
九条
だから、簡単に当てにはいきませんよ。
九条
あ、うっかり当ててしまったらごめんなさい。
九条
まぁ、それだけ一宮さんが味気のない方だったということで。
一宮
(先に保険を打ってきたか。そう言っておけば、ダウトを外してしまっても、わざとだと言い訳できるし、当たったら当たったで問題はない)
一宮
(そもそも当たってしまえば、俺に対して言い訳をする必要もないんだ)
一宮
あんた、なかなかいい性格してるな。
いい具合に捻じ曲がってるよ。
いい具合に捻じ曲がってるよ。
九条
ふふっ、よく言われます。
九条
ちなみに、今一緒に行動している二ツ木さんからはね、週一くらいで「死んだらいいのに」って言われますよ。
九条
あー、あっちのほうはもう終わっちゃったかなぁ。
一宮
四ツ谷は簡単に負けたりしない。
九条
そうだといいですし、それ以前にここで一宮さんは負けてしまうので残念です。
九条
どうです?
九条
今からでも遅くありませんから、わざと負けてくれませんか?
九条
今ならまだ命だけは保証できますよ。
九条
もちろん、本気でやり合うというなら話は別ですけど。
一宮
(九条はやっぱり、俺の心なんて読めちゃいない。確実に勝てるのであれば、わざと負けろと提案なんてしない)
一宮
悪いけど、俺も負けるわけにはいかないんだよ。
九条
そうですか、残念です。
九条
では、早速ですがダウトさせていただきましょうか。
九条
あ、もし当たった場合は、その場で勝手に勝負がつきますのでご安心を。
一宮
やれるものならやってみろよ。
一宮
(ダウトが正解した場合は、おそらく例の鎖が絵本に巻き付いて決着となるんだろう)
九条
さーて、一宮さんも気づいてはいるでしょうが、この勝負は戦略として2種類あります。
九条
まずひとつは、純粋に相手にストーリーを踏ませること。
九条
この場合、ストーリーは踏みやすく、また必ず踏めるものにしておく必要があります。
九条
せっかくセットしたストーリーでも、相手に絶対踏まれないストーリーだったら勝てませんから。
九条
もうひとつはダウトを成功させること。
九条
この場合は、3回という制限があり、難しい勝ち方だと言えるでしょう。
九条
どちらの戦略でいくかによって、やり方も大きく変わります。
九条
相手にストーリーを踏ませることを重視するか、それともダウトを回避することを重視するか。
九条
ダウトに回数制限がある以上、やっぱり相手に踏ませやすいストーリーを設定するでしょうね。
九条
ただ、問題は一宮さんがどちらの戦略を取るかです。
一宮
(講釈を垂れてくれてはいるが、これも普通に思いつく戦略)
九条
きっと一宮さんは……僕にストーリーを踏ませる戦略でくるはず。
九条
どうです?
九条
当たりでしょう?
一宮
さぁな。
一宮
(回数制限のあるダウトで勝とうとするより、相手にストーリーを踏ませるほうが勝率が高い)
一宮
(九条はそれらしいことを言ってるだけで、俺の心を読んでいるように見せかけているだけだ)
九条
それじゃあ、ひとつダウトをしますかねぇ。
九条
【なにかを対価として、相手を従える】なんてどうですか?
九条
僕は一宮さんにわざと負けるように提案していますし、一宮さんが僕に従うふりをして、このストーリーを踏ませる可能性は高いと思うのですが。
九条のダウト。
しかし、一宮の絵本に変化はなし。
一宮
(そのストーリーは、俺が八橋に踏ませたストーリーじゃないか。こいつ、的確に桃太郎での効率的なストーリーの仕掛け方を理解している?)
九条
まぁ、外れでしょうね。
九条
そんな分かりやすいストーリーをセットするなんてことは、まずあり得ませんから。
一宮
(こいつ……自分でも断言していたが)
一宮
(強い――)
一宮
(こっちからも仕掛けないと、本当にダウトされるかもしれない)
一宮
(なにか……策はないのか)