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主
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 二次創作
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第110話『見てはいけないものを、見てしまった日』
昼前だった。
エアコンの効いたリビングに、微かに夏の匂いが混じっている。
冷たい風と、開け放した廊下の向こうから流れ込む熱気が、曖昧に交じり合っていた。
らんは、ソファに腰を下ろしていた。
そのすぐ隣――影が、立っている。
昨日より、さらに近い。
触れてはいないのに、距離がない。
欠けた輪郭は相変わらず不安定で、床に落ちる影も、本来の形をなぞっていなかった。
らんは、何も言わない。
影も、何もしない。
ただ、そこにある。
その“異様な静けさ”を、最初に破ったのは――扉の開く音だった。
なつ
なつ
なつの声。
その後ろに、すちとみことが続く。
何気ない、いつもの光景。
――だったはず、なのに。
すちが、一歩、足を止めた。
すち
視線が、らんではなく、その隣に落ちる“影”に向く。
ほんの一瞬。
けれど、確かに“見てしまった”目だった。
すち
空気が、止まる。
らんの肩が、僅かに強張る。
みこと
みことが、きょとんとした顔で首を傾げる。
みこと
すち
すちは、言葉を選ぶように口を閉じ、もう一度、床を見る。
すち
その瞬間。
影が、固まった。
らんの喉が、ひくりと鳴る。
らん
らんは、笑おうとした。
でも、その声は、少しだけ上ずっていた。
らん
らん
なつが、らんの方を見る。
なつ
疑うというより、困惑した顔。
影は、そこにいる。
隠れていない。
隠れきれていない。
空気が、じわじわと重くなる。
その時だった。
いるま
低い声。
振り向くと、廊下の奥に、いるまとこさめが立っていた。
状況を、一瞬で理解した顔。
こさめは、小さく息を吐く。
こさめ
なつが、二人を見て首を傾げる。
なつ
なつ
沈黙。
隠せない。
誤魔化せない。
こさめが、一歩前に出た。
視線は、床に落ちる歪んだ影に向けられている。
こさめ
一拍。
こさめ
言葉が、落ちた。
音もなく。
でも、確実に。
みこと
みことが、復唱する。
理解できない、という顔。
みこと
みこと
すちは、何も言わない。
ただ、目を逸らさなかった。
いるまが、淡々と続ける。
いるま
冷静な声。
いるま
一つずつ、線を引く。
いるま
――正論だった。
説明としては、正しい。
でも、その言葉は、 影を“役割”に押し込める。
みことが、息を呑む。
みこと
なつが、らんを見る。
なつ
らんは、何も答えない。
代わりに、影が、僅かに揺れた。
輪郭が、また歪む。
みことが、恐る恐る聞いた。
みこと
声が、小さくなる。
みこと
言い終わる前に。
こさめが、首を振った。
はっきりと。
こさめ
即答だった。
こさめ
苦笑する。
こさめ
みことが、眉を寄せる。
みこと
こさめは、視線を落としたまま続けた。
こさめ
一拍。
こさめ
空気が、冷える。
なつが、言葉を失う。
すちの拳が、僅かに握られた。
こさめ
こさめは、無理に明るく言う。
こさめ
それから、みことを見る。
こさめ
みことは、不服そうに唇を尖らせた。
みこと
言葉は続かなかった。
影が、動いた。
らんのさらに近くへ。
距離が、完全になくなる。
触れていないのに、誰よりも近い。
それを見て、いるまが低く言う。
いるま
こさめが、苦しそうに頷く。
こさめ
らんが、口を開く。
らん
声は、震えていない。
でも、強くもない。
らん
いるまとこさめを見る。
らん
守る、とも。
一緒にいたい、とも言わない。
ただ、切り分けられることを拒否した。
影は、理解してしまう。
――主は、自分を選んだ。
だから、離れない。
守らない。
奪わない。
でも、離れない。
その沈黙が、部屋を満たす。
誰も、動けない。
誰も、正解を持っていない。
ただ一つ、確かなのは。
この瞬間。
第三者が“見て”“知って”“説明してしまった”ことで、主従でも、共存でもない――歪んだ関係が、完成したということ。
窓の外で、蝉が鳴いた。
何事もなかったように。
それが、余計に残酷だった。
第110話・了
主
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡380
主
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コメント
2件
ついに知られちゃった... ☔️ちゃんが真面目に語るからこその緊張感すごすぎる✨️ 続き楽しみにしてます!!!
見ちゃったか…… らんくんの影、どうなっちゃうんだろ…?