・パーサーとシェフの悩み事
一臣
瑠美子さん
高坂は厨房へ入った。コックと話していた留美子は高坂に気づき、高坂の元へ行く
厨房には留美子と数人のコックがいた
一臣
ごめん。忙しいのに頼み事して…他の人は…なんか少ないね?
高坂は辺りを見回して留美子に皿を渡す
瑠美子
大丈夫。昼食の調理が終わって一段落したところ。他の奴らは奥で少し休憩中やら皿洗い中。それにしても嬉しいねー。こんな綺麗に食べてくれて…作った甲斐があるよ
留美子は皿を見て微笑む
一臣
あ、お客様がとっても美味しかったです。ありがとうごさいましたと
瑠美子
ますます嬉しいね。ありがとう
留美子はカウンターに皿を置き、高坂に視線を戻す
瑠美子
それにしても珍しいな。お前が人に頼み事なんて
一臣
そうですか?
高坂は留美子に返事をして俯く
一臣
彼女、会ってから1度も俺と目を合わせてくれない
高坂は落ち込む
瑠美子
男が…パーサーがそんなでどうする!
留美子は高坂の背中に喝を入れて思い切り叩いた
一臣
痛ー…すみません!
高坂は姿勢を正す
瑠美子
まぁきっと理由があるんだろ?この食べっぷりでお前のことは嫌っていないと思うし。それに、何かあったら向こうから話しかけて来る。その時が来たら親身になって話を聞いてやれ。その為のパーサーだ
留美子の言葉に高坂は力良く頷く
一臣
深入りはしない、わかってるよ。やっぱり留美子さんに聞いてもらえてよかった。ありがとう。ーさて、そろそろ戻らないと…ーあと
高坂は留美子に微笑んだ
一臣
船長に話した方がいいよ…“あの事”。大丈夫。船長は全部受け止めてくれるよ…じゃあ!
高坂はそう言って厨房を出た
瑠美子
はぁ…やっぱり高坂に“あの事”話すんじゃなかった…何が大丈夫だよ、受け止めてくれるだよ…ー絶対に無理だよ…
留美子は誰にも聞こえないように呟いた