ガキの頃から 腕っ節はよくて
近所の子供を纏める様な ガキ大将だった
「 俺は最強 」
そんな事を考えながら 中学にあがり
「 最強 」率いる 暴走族に入り
「 普通 」の 不良として
中学三年生になった
周囲から見た俺は まだ強い方だろう
── それでも
俺はその現状に 満足出来なかった
全ては アイツとの約束の為
9 years ago
キ ヨ マ サ
キ ヨ マ サ
近所の公園で
あの日
俺の袖を掴み 上目遣いで 俺を見つめる少女に
目を潤ませた 可憐な少女に
キ ヨ マ サ
キ ヨ マ サ
驚くように 目を開く彼女に
にっと笑って
キ ヨ マ サ
キ ヨ マ サ
ハ ズミ
ハ ズミ
約 束 し た
ハ ズミ
ハ ズミ
キ ヨ マ サ
その頃の無垢な俺は
その約束が永遠だと
そう、思っていた
キ ヨ マ サ
今ではこんな
どうしようも無い 不良になってしまった
キ ヨ マ サ
俺の声に怯えるセンコー
蔑むような目で見る 俺のクラスメイト
アイツに顔向けできない俺
全部がウザったらしい
クソみたいな毎日
キ ヨ マ サ
結局の所
俺という人間は 表面で判断される
非行の多い 馬鹿な中坊
まったく嗤える話だ
聞こえねぇよ
お前の声も 嘲笑も
無視して出た扉の先
黒く淀んだ世界が 俺を呑み込んだ
学校をバックレて 行く先はやはり
ハ ズミ
ハ ズミ
キ ヨ マ サ
お前と誓った あの公園
ハ ズミ
キ ヨ マ サ
ハ ズミ
コロコロと変わる表情
少し大きめな身振り手振り
小柄なその体
全てが愛おしい
キ ヨ マ サ
夏の暑さも
騒ぐ蝉達も
何も感じない 暖かく柔らかい世界
ハ ズミ
キ ヨ マ サ
キ ヨ マ サ
ハ ズミ
お前が泣かなくていい
そんな世界を作る約束
そのための 喧嘩
辞める訳には いかない
キ ヨ マ サ
キ ヨ マ サ
ハ ズミ
ドガッ
ボコ ッ ボコ ッ
キ ヨ マ サ
キ ヨ マ サ
心が黒く 塗り潰されたような
そんな気がした
キ ヨ マ サ
どうしようも無い気持ちを 喧嘩で発散
でもやっぱり 完全には晴れない霧
屋上一面に 倒れた不良を
ハエを見るように 見下して
キ ヨ マ サ
次第に込み上げてくる 自分への嘲笑に
虫唾が走った
「 約束って何? 」
冷たくて平坦な その声音で
俺の独りよがりは 終わった
過ぎていく月日と 深まる溝
羽澄とは
連絡は疎か 話さえしなくなった
一度は澄んだ世界が
また黒色に染まり
そして ──
俺は罪を犯した
そして迎えた 八月三日
83抗争で
キ ヨ マ サ
ドラ ケ ン
俺はドラケンを刺した
結局 ドラケンは助かり
俺は逮捕
罪状は 『 殺人未遂 』
ことごとく 失敗に終わった事件後
お前は、泣いていた
ウ ー ウ ー
ピー ポー ピー ポー
パトカーと救急車のサイレン
ただ降りしきる雨
両手に掛けられた手錠
ヒソヒソと話す他人共
ハ ズミ
キ ヨ マ サ
キ ヨ マ サ
そして 愛しの幼馴染
ハ ズミ
急いで来たのか 傘も持たずに
そこに佇む 幼馴染は
顔を歪ませ 苦痛そうに口を開け
ハ ズミ
ハ ズミ
キ ヨ マ サ
ハ ズミ
ハ ズミ
雨のせいか 濡れてる頬を拭い
悲痛な叫びを 俺に聞かせた
キ ヨ マ サ
キ ヨ マ サ
ハ ズミ
キ ヨ マ サ
キ ヨ マ サ
ハ ズミ
ハ ズミ
ハ ズミ
ハ ズミ
キ ヨ マ サ
あの日交わした約束は
「 最強になる 」 だけじゃなかった
ハ ズミ
羽澄を泣かせない
羽澄から離れない
キ ヨ マ サ
一気にその両方を 破ってしまった俺は
嫌われて当然だ
... でも
これは
これだけは
キ ヨ マ サ
キ ヨ マ サ
どうか 伝えさせてくれ
キ ヨ マ サ
ずっと前から
伝えさせて欲しかった 言葉を
キ ヨ マ サ
ハ ズミ
ギュ ッ
どんな罰も 甘んじて受ける代わり
この時だけは
ハ ズミ
ハ ズミ
誰も邪魔できない 世界にしてくれ
それから 五年
少年院から 出所する日が
遂に来た
キ ヨ マ サ
門が開き 俺を自由へ解放する
俺を待つ人なんて 当然誰もいない
キ ヨ マ サ
約束を破った俺に アイツと会う資格はない
ならまずは手始めに 職でも探そうかと
そう思ってた 矢先
キ ヨ マ サ
足が
体が
勝手に動いた
あの頃とは違う 大人びた雰囲気
でも
まだあどけない童顔も その小さな体も
何も かも
ギュ ー
キ ヨ マ サ
ハ ズミ
ハ ズミ
愛しい思い出から 取り出されたような
そんな幼馴染が
そこには立っていた
ハ ズミ
この五年間を 埋めるように
体を寄せ合い 抱き合って
キ ヨ マ サ
﹁ 大 好 き だ ﹂
約束 今度こそ守るから
もう離れ離れなんて なりませんように
「 約 束 」
清水 将貴 Kiyomizu Masataka
×
高田 羽澄 Takada Hazumi
end .