静(じん)さんの暴行によって
あすみさんの全身には数え切れない程の傷ができていた
その傷をかすみさんが強引に治療し
長袖を着て誤魔化しながら学校にも通っていた
虐待の影響で心に壁を作るようになったあすみさんは
幼い頃からの友達も徐々に離れ
中学二年の頃には完全に孤立していた
他人と関わることを一切しなくなり
高校に入学してからもそれは変わらず
いじめに発展することはなかったものの
あすみさんの話しかけづらい雰囲気から友達もできず
虐待が露見することはなかった
その状況を知ったかすみさんは
これ幸いとばかりに静さんの暴行をモニタ越しに観察し
静さんはかすみさんに聞こえるよう
わざとあすみさんに酷い言葉を浴びせ続け
ぐったりと横たわるあすみさんの姿に
静さんの心は罪悪感でいっぱいになっていった
けれど悲しむ間もなく
部屋のドアが開きかすみさんが入ってくると
井川かすみ
井川かすみ
井川かすみ
静さんは部屋から追い出され
自分の部屋に戻るまで平静を装い
部屋で声を殺して泣き続けた
性的虐待が行われるようになったのは
あすみさんが中学二年生になった頃
その頃はまだ
胸を触るなどの行為に留まっていたが
かすみさんの命令はエスカレート
学校から帰宅した彼女の制服や下着を全て脱がせ
家の中では常に裸で過ごすように強要
真冬の寒い時期には
暖房機もないあの部屋にずっと閉じ込め
寒さで震える彼女の身体に殴る蹴るの暴行を加え
更にナイフで切りつけた
かすみさんはそれら全てをモニタで監視し
静さんが少しでも攻撃の手を緩めると寝室に呼びつけ
今度は静さんに対して背中を蹴るなどの暴行を加えた
静さんはわざと手を抜いて
攻撃の対象を妹から自分に向けようとしたが
その真意をかすみさんに悟られ
井川かすみ
井川かすみ
かすみさんによる暴行が激化するだけだった
静さんが高校生になると
かすみさんの命令は更にヒートアップ
男女の偽りの契りを交わすことになり
あすみさんを守るために
静さんは心を殺して事に及んだ
井川あすみ
井川あすみ
井川あすみ
泣き叫ぶ妹の声が脳内で激しく反響する
この事に罪悪感を抱きつつも
少年の身体は目の前の獲物に正直で
顕になった自身の巨体に
気が狂いそうになるのを必死に堪え
夜を一つずつ越えていった
次第に静さんの中にある感情が沸き上がる
日々、繰り返されるあすみさんへの暴行
目の前で泣き叫ぶあすみさんの姿
必死に抵抗する妹の姿を愛しく感じ
その愛しい妹へ自身の身体を重ねるようになった
決して抱いてはいけない禁断の感情に
静さんの心はどんどん支配されていく
それでもまだ兄として妹を思う気持ちから
せめてもの償いのつもりで避妊具を用意
かすみさんにバレないように装着し
使用済みのものを袋に入れて本棚に隠した
更にかすみさんを欺くため
井川静(じん)
かすみさんに聞こえるようにわざと大きめの声を出し
井川静(じん)
井川静(じん)
自分自身を狂ったように見せかけた
心の中で何度も
井川静(じん)
を繰り返しながら
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