お久しぶりです!!
いや、お久しぶり過ぎますね笑
覚えてる方いるか 分かりませんが、ぷ。です
忙しくて小説を書く 暇さえありませんでした🥲
また、みなさんと 仲良く出来たらなぁと 思っておりますので
どうかよろしく お願い致します🫶🏻
今回もるぅころです!!!
どーぞ!!!
る先生
る先生
学校に着いてすぐに保健室の 扉を開けるといつも通り 優しい先生が迎えてくれた
る先生
嬉しそうに笑う先生を見て 固くなった口元が少し緩んだ
僕は高校2年生
新学期早々に親が離婚して 家庭環境が悪くなり 当たり前のように不登校になった
どうしようもない不安と 自分の不甲斐なさに 押しつぶされる毎日
食事も上手く取れず 寝たきりが続いていた時
真っ暗な闇の中から 先生が僕を救ってくれた
ピピピッ
アラームの音が 響き渡る
最近はずっと眠れずにいる
また、眠るよりも早く 朝が来てしまった
こくん
ため息を吐きながら アラームを止めて 学校の支度をする
こくん
しかし、学校に行く前の この時間は決まって 気を失いそうな程の腹痛が 僕を襲う
こくん
もう一度布団の中に 潜り込んで 身体を丸めどうにか 楽な体勢を探す
こくん
こくん
痛くて苦しくて 死んでしまいたくなる
こんなにも辛いのに 僕を助けてくれる人は どこにもいない
いつかこのまま 誰にも気付かれずに 死んでしまうのではないかと さえ感じる
親は離婚してから 気を紛らわせる為か
僕の顔を見ると 元夫を思い出すのが嫌なせいか
家に帰って来ることが ほとんどなくなった
幸いに僕は高校生ということもあってある程度のことは自分で出来るのでそこまで苦労していない
むしろそんな親が嫌いだから 顔を見なくて済むのは 僕にとっても好都合だった
ただ、こんな時は どんなに嫌な親でも そばにいて欲しかった
なんて思ってしまう自分は まだまだ自分も子どもだと 思い知らされて余計苛立ちが募る
ピンポーン
突然インターフォンが鳴った
こくん
立ち上がろうとするが 腹痛が収まらず すぐに諦める
ピンポーン
またインターフォンがなる
ピンポーン
3回、4回と 何度も何度も機械音が 僕を呼んでいる
こくん
ガチャッ
こくん
僕は息を飲んだ
今確かに玄関の扉が 開く音がした
そしてバタバタと足音がする
こくん
足音は僕の部屋に だんだん近づいてくる
それと比例して僕の心臓も 大きく音を立てる
親がこの時間に帰ってくる ことも鍵を持ってるから インターフォンを押す必要もない
今僕の部屋に向かってくる この足音の正体は 確実に知らない人なのである
殺されるかもしれない
そんな考えが 頭の中を埋めつくして 震えが止まらなくなる
ガチャッ
ついに部屋の扉が 開けられてしまった
る先生
こくん
それは聞き覚えのある声だった
そっと布団を捲って 顔を出すと
そこにはるぅと先生がいた
こくん
る先生
る先生
る先生
先生は落ち着いていて 優しく僕の腰を さすってくれた
る先生
る先生
こくん
る先生
先生の手は暖かくて どんな薬よりも 効き目があった
痛みが消えたのはお腹 だけじゃなくて
ボロボロになった僕の心にも 優しく絆創膏を貼って もらえた気がした
気づけば僕は 大きな声を上げて泣いていて
疲れて眠った
久しぶりに眠りについた
それから先生は 毎日のように 仕事の合間を縫ったり たまに抜け出したりして
僕の看病に来てくれた
1ヶ月ほどかけて 僕の体は元に戻っていき
不登校になってから 初めて僕が学校に来た時は 先生は泣いて僕を抱きしめて 自分の事のように喜んでくれた
とはいっても教室にいることは 難しく保健室通いだが
それでも先生はいつでも 褒めてくれた
る先生
る先生
甘い香りのするココアを 僕に差し出した
こくん
上手く笑顔が作れず 声も掠れてしまう
る先生
る先生
そんな無愛想な僕なのに 優しく頭を撫でて 笑顔を向けてくれる
嬉しくて温かくて
それだけで僕は 涙が零れないように必死だった
こくん
る先生
る先生
こくん
先生の瞳が僕の目を まっすぐ見つめてくるから すぐに逸らしてしまう
こくん
こくん
る先生
る先生
る先生
先生は僕のほっぺを 手で挟んで遊びながら 嬉しそうに笑っている
僕の胸は大きく高鳴る
本当に言いたかったことは 感謝の言葉じゃなくて
たった2文字だったのに
言えなかった
こくん
る先生
心配そうに眉を寄せている
こくん
僕はそそくさと ベットに横になった
先生を見てると胸が苦しい
あんな大きな瞳で 見つめられたら
あんな笑顔を向けられたら
あんな簡単に 触れられてしまったら
身体中が熱を帯びて 顔が赤いのが 自分でもわかる
る先生
る先生
カーテンが開いて 先生が体温計を持ってきた
言われるがままに 脇に体温計を挟んだが
この熱の正体が 先生だと分かりきっている
ピピッ
る先生
こくん
36.5
ただの平熱
当たり前だ
る先生
る先生
る先生
こくん
そう言って先生は カーテンを閉めて 机に向かった
パソコンのタイピング音が 保健室に響いている
カーテンを挟んで すぐ側の机に 先生がいる
この部屋に先生と二人きり
そう意識するだけで 全身が脈を打つ
こくん
こくん
先生のそばにいられるのは あと1年とちょっと
せめて別れの日までに この気持ちを伝えたい
隠した想いを抱えて 僕は目を瞑った
月日は経ち、 僕は高校3年生になった
あれから僕は徐々に クラスに行けるようになり
今ではもうすっかり 保健室に行くことも無くなった
さくん
パックのレモンティーに 刺さったストローを咥えながら
気だるそうに机に 項垂れているのは
同じクラスで 1番仲のいいさとみくん
女子にも男子にも 共に人気があるが サボり癖のせいで ろくに学校に来ない
こくん
さくん
こくん
こくん
さくん
さくん
重たそうな腰を上げ 机の横にかかった 体育着を持った
さくん
そう言ってからになった紙パックを 僕に差し出してきた
こくん
僕らは着替えに向かった
さくん
体育の授業はバスケだった
男だけの体育ということもあり 結構本気の戦いが 繰り広げられている
ドンッ
敵チームのクラスメイトと 激しくぶつかり
視界が歪んだ
気づけば僕は横たわっていて 直ぐに立ち上がろうとすると 足首に激痛が走った
さくん
僕の周りには大勢の クラスメイトと先生が集まってきた
こくん
さくん
さとみくんはそう言って 肩を貸してくれた
そして僕らは 保健室へ向かった
さくん
さくん
る先生
る先生
こくん
懐かしい場所と 相変わず高鳴る胸
先生は慣れた手つきで 湿布を僕の足に貼った
真剣な眼差しも 綺麗な手も
僕の気持も
何も変わっていない
さくん
る先生
少し気まづそうに 先生ははにかむ
こくん
こくん
さくん
る先生
少し嬉しそうに 先生が食いついた
そんな素直なところも 懐かしく感じる
さくん
さとみくんの言った通り 僕は大人と関わろうとしていない
自分勝手な親を見て育ったせいで 大人という存在が憎らしくて
子どもの権力の低さに 苦しめられてきた
だけど先生は特別
先生だけが僕を助けてくれた
命の恩人だから
る先生
少し寂しそうな顔で 僕を見つめてくる
こんな顔させたかった わけじゃないのにな
る先生
る先生
優しく僕の頭を撫でた
る先生
こくん
思いはこんなに溢れるのに 言葉は上手く出ない
ありがとうを伝えるので精一杯
さくん
さくん
こくん
こくん
る先生
る先生
こくん
こくん
先生の優しさを不器用に 押し返してしまった
そんな自分に嫌気がさして
すぐに保健室を出た
あれからというもの、 保健室には1度も行っていない
先生とも話すことはなく
たまに廊下で見かけて なんとなく避けてしまっている
さくん
さくん
こくん
息を飲んだ
嘘だ
何も知らなかった
さくん
さくん
さくん
こくん
どうして先生は 僕に教えてくれなかったんだ
ずっと信じていた
ずっとそばに居てくれる 気がしていたのに
何も言わずに 姿を消すなんて
こくん
溢れそうな涙を 必死に堪えて 人気のない場所を探した
馬鹿
先生の馬鹿
あほ
頭が上手く働かなくて
ボキャブラリーの乏しい 言葉しか頭に浮かばない
こくん
結局、誰も信じられない
裏切られるんだ
いや、僕が勝手に 期待したんじゃないか
信じるだけ無駄なんてこと 分かりきっていたじゃないか
それでも先生を信じたのは
先生だけは 特別だと思いたかっただけだ
信じていたかった
愛されたかった
1人になりたくなかっただけだ
馬鹿なのは僕だ
僕は弱い
こくん
こくん
居なくならないで
僕の目の前から 消えていかないで
置いていかないで
ひたすら屋上で泣いて 授業なんか受けられる筈もなく
学校をサボって 家に帰ってきた
誰もいない ひとりぼっちの家に
ベッドに潜り込んで 目を閉じる
先生との思い出が 走馬灯のように思い出される
助けに来てくれた日のこと
保健室で話した 他愛のない会話
触れられた時の 高鳴る心臓
長いまつ毛と 大きくてキラキラした瞳
ふわっと香る柔軟剤
白衣からはみ出す長くて細い脚
全てを愛していた
だからこんなにも悲しい
避けていたのは僕の方なのに
今更、先生に会いたくて
抱きしめてもらいたくて
ひたすらに寂しい
こくん
こくん
泣くことしか出来なかった
数日後、離任式が行われた
先生に話しかけることは 出来なかった
る先生
る先生
先生の話は 全く頭に入ってこなかった
今日話さなかったら もう会えないかもしれない
最後にもう一度 話がしたい
神様、どうか 僕に勇気をください
頭はそんなことで いっぱいいっぱいだった
る先生
その一言で僕は我に返った
る先生
る先生
る先生
る先生
る先生
る先生
る先生
る先生
る先生
る先生
先生の視線は 僕の方を見ていた
僕は声を殺して泣いた
る先生
る先生
る先生
先生は深くお辞儀して もう一度後ろのパイプ椅子に腰掛けた
大きな拍手と 大人数のすすり泣く声が 体育館に響いた
気づけば離任式は終わっていて ゾロゾロと体育館から 人がいなくなっていく
その様子をぼーっと眺めながら 考えをめぐらせていた
意地ばかりはって ろくに挨拶もせずにいた日々が
憎くて悔しくてたまらなくなった
さくん
隣に立っていた さとみくんが僕だけに 聞こえる声で囁いた
さくん
さくん
さくん
さくん
さとみくんは 呆れたように笑った
こくん
さくん
拳を向けて 僕に笑いかけた
僕が思っていたよりも さとみくんは大人で
僕のことを知ってくれていた
その嬉しさを噛み締めながら 体育館を走って抜け出した
こくん
思い切り保健室のドアを開けると
驚いた顔をした先生が 荷物をまとめていた
る先生
る先生
る先生
わざわざ作業を中断して 僕の元に駆け寄ってくる
る先生
る先生
る先生
思い切り抱きしめられる
その時僕は気づいた
こくん
る先生
明らかに空元気で 声は震えていた
こくん
る先生
ごめんねと笑いながら 離れてまた荷物をまとめだした
る先生
る先生
こくん
こくん
心からの本心だった
だけど先生は 笑うだけで
言って欲しい言葉は 帰ってこなかった
長い沈黙が続いた
言いたいことは山ほど あるのに
なにも言えず 立ちすくしていた
しかし沈黙を破ったのは 先生の方だった
る先生
る先生
る先生
こくん
さっきまで空元気だった 先生はピンと張っていた線が 切れてしまったかのように 突然泣き出した
る先生
こくん
こくん
こくん
思いが溢れすぎて 言葉に詰まってしまう
る先生
コンコン
急に扉がノックされる
先生はすぐに涙を拭って いつもの笑顔を作った
る先生
り先生
る先生
り先生
る先生
り先生
扉のすぐ横にいた僕に 気づき、先生は 不思議そうに見つめていた
返答に困っていると 先生が口を開いた
る先生
る先生
り先生
り先生
こくん
こくん
こくん
そっと保健室を後にした
これ以上先生を泣かせたくなくていてもたってもいられなかった
先生がいなくなって 数ヶ月が経ち 今度は僕がこの学校と 別れる季節になった
さくん
窓の外に咲いている 桜を眺めながら 少し切なそうに呟いた
いつも制服を着崩している さとみくんは今日だけは きちんと着こなしていた
こくん
さくん
さくん
こくん
さくん
こくん
さくん
さくん
こくん
さとみくんは少し 重たそうな口を開いた
さくん
さくん
こくん
こくん
こくん
るぅと先生みたいに 誰かを助けられる人になりたくて 先生という職を目指したのもあるが
きっと大きな理由は それじゃない
先生が言った 「ごめんね」の意味が 他にある気がしたからだ
あの日から1度も 先生を考えなかった日はない
モヤモヤしたまま 終わりたくなくて
願いを叶えるべく この道を選んだ
り先生
担任の莉犬先生が みんなに声をかけた
僕はネクタイを整えて みんなの列の中へ入っていった
卒業式もあっという間に 終わり、みんなと最後の 写真を撮っていると
先生が僕を呼んだ
り先生
り先生
こくん
り先生
り先生
こくん
り先生
り先生
先生に背中を押され 僕は保健室へ急いだ
こくん
こくん
る先生
こくん
そこにはるぅと先生が 花束を抱えて立っていた
る先生
先生はいたずらっぽく 笑って見せ、花束を 僕に渡した
こくん
心のどこかで もう会えないと思っていた
それなのに今目の前に 立っている
その事実が 嬉しくて自然と涙が零れた
こくん
る先生
先生に抱きつくと 優しく抱き返してくれた
こくん
こくん
る先生
先生のその言葉を聞いて 離任式の日のことを思い出した
あの時もこうやって 謝られた
聞くなら今しかない
こくん
こくん
先生は困った顔をして 俯いた
る先生
静かな保健室に 先生の声が響き渡る
る先生
る先生
る先生
る先生
る先生
る先生
こくん
こくん
る先生
る先生
守ってあげられなくて ごめんと言ったのは そういうことだったのか
先生もずっとそばで 僕を守りたかったが 引き離されてしまった
その事実をずっと 黙っていてくれたのか
全ては僕のために
僕が傷つかないように
守ってくれていたんだ
こくん
こくん
る先生
る先生
る先生
こくん
る先生
る先生
こくん
る先生
先生は1度も僕を 裏切ったりなんかしてなかった
ずっと味方でいてくれたんだ
溢れ出す感情の中で あともうひとつ 言わなくちゃいけないことがある
ドキドキする胸も
勝手に先生を探してしまう この目も
先生のことばかり考えて しまうこの脳も
治し方が分からない
ねぇ、先生教えて
この気持ちはきっと...
る先生
こくん
やっと言えた
先生は驚いた顔をしている
る先生
あぁ、これが 愛されるということか
る先生
神様、愛というものは とてもステキなものですね
1度砕けた心を 先生が新しく作ってくれた
先生の絆創膏 魔法みたいだね
コメント
80件
ぷ。さんの言葉の表現の仕方がとても丁寧で読んでて心地よかったです!
マジで好きです