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CO2
23,400
夜の森は、音を吸い込む
ユイの足音だけが…荒れて響いていた
ユイ
呼吸が持たない
足ももうまともに動いていない
それでも止まらない
いや止まれない
止まったら──
戻ってしまうから
ユイ
もうどこを走っているか分からない
ただ
遠ざかろうとしているだけ
離れなきゃ
傷つける前に…
ユイ
足がもつれる
ぐらりと体が傾き
そのまま
地面に崩れ落ちる
ユイ
息が苦しい
胸が痛い
もう立てない
指先が震える
それでも地面を掴む
まだ
……行かなきゃ……
だが身体は、言うことを聞かない
ザッザッザッ
足音が近づいてくる
ゆっくりと確実に
ユイ
振り向けない
誰かわかってしまっているから
足音が止まるすぐ後ろ
シン
柔らかい声
振り向いてしまう
ユイ
ユイ
シン
ユイの目の前にしゃがみ込む
シン
ユイ
困ったように笑うシン
それが心に突き刺さる…
ユイ
ユイ
言葉が続かない
ただシンは、わかっている
″また傷つけてしまう″
全てわかっている顔で
手を伸ばしユイの頬に触れる
シン
ユイ
逃げたい
でももう逃げられない
シン
シン
シン
ユイ
ユイ
ドンッ
シンを突き飛ばす
その拍子に細い爪がシンの首元をかする
一筋の線と赤
ユイ
目線がそこに行く
滲む赤
微かな傷
匂いが広がる
喉が鳴る
ユイ
シン
シン
自分の首元に触れ
血が着いた指を見るが すぐにユイと目を合わせる
腕を掴み抱き寄せる
少し強引に
シン
シン
ユイ
シン
頭を撫でる首元に近づける
目の前の距離
体温
呼吸
全てが近すぎる
ユイ
離れようとするが離れない
それをシンが許さない
シン
ユイ
シン
シン
ユイ
シン
シン
甘く優しく
シン
シン
ユイ
シン
シン
シン
シン
甘く耳元で
シン
シン
ユイ
ユイ
シンは、目を静かにつぶる
シン
シン
シン
これは、衝動じゃない
生きるための
選択だった
シン
肉がちぎられる音
血が滴る音
荒い呼吸が混じり合う
ミチミチ……
ブチッ…
シン
ユイ
ミチミチ…ミチ
ボタボタ…
ユイ
ゴクッ……
ユイ
ミチミチ
シン
ブチィ…ボタボタ…
ユイの涙は、止まらない
食べることも止められない
それでもシンは、それを受けれる
優しく頭を撫でる震える手で
ユイ
あぁユイ…
謝らないで
死ぬほど愛おしい…
ユイ
ユイ
ユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイ
ユイ……
ユイは、肩をを掴まれる
シン
ユイ
ユイの頬に手を当て そのまま
チュ………
ユイ
甘く深く長く
ユイは、固まる動けない
キスされる直前目が合った時
シンの目は、猛獣のように鋭かった
初めてのキスは…
鉄の味だった