それは遠い昔の
とある夏の日の出来事。
田中
真っ青な空に
真っ白な雲。
蝉がうるさいほど元気に鳴いていた。
野乃
野乃
××
理斗
理斗
理斗
××
××
××
田中
××
××
田中
野乃
理斗
田中
野乃
・
・
身体が弱いから
出掛けられなくて
引きこもりがちだった。
でも、
この人たちが来てから。
毎日が
楽しかった。
理斗
田中
理斗
××
××
××
理斗
××
××
××
しかし、それには
微笑むだけで何も答えなかった。
田中
田中
野乃
田中
理斗
田中
理斗
理斗
三人は差し出された袋から
一本ずつ線香花火を取り出す。
最後に彼が一本取り出し、
田中さんのマッチで火を付ける。
”線香花火は人の人生そのものだ。”
おじいちゃんがそんなことを言っていたのを思い出す。
蕾、火を付けると球体になる。
牡丹、力強い火花が咲き誇る。
松葉、四方八方に火花が飛び出す。
柳、花火の勢いが衰え、球体が垂れ下がる。
散り菊、火花は分裂しなくなり、最後に球体が燃え尽き、落ちる。
花火は儚い。
けれど、だからこそ美しいのだと思う。
”あっ”
二人が同時に声を上げる。
松葉になった瞬間、
私と理斗さんの球体が
あっさりと落ちてしまったのだ。
××
理斗
××
理斗
××
顔を見合わせ、
にっこりと微笑む。
幸せな時間だった。
とても、
とても、
この時間が
ずっと続けばいいと
思っていた―――。
・
・
ピピッ…ピピッ…
氷野
アラームを止め、
大きく伸びをする。
氷野
氷野
氷野
氷野
ベリト
氷野
氷野
ベリト
氷野
氷野
氷野
氷野
・
・
END
コメント
4件
線香花火の雰囲気と賑やかに話すメンバーの雰囲気が重なって儚さが限界突破してました……
線香花火はWikipediaを参照しました。