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🔈<ピンポーン
部屋に響いたのは、無機質なチャイムの音。
しかも、今は夜の21時。
こんな時間に来る人は、限定される。
宅配の人か、あるいは──
いや、まだ確信は得てない
「そうであって欲しい」と 「もし、そうだったら嫌だな」
相反した思いを抱きながら、 インターホンのカメラを起動する。
切なそうに僕を呼ぶ声。
猫のような目で、カメラを見つめる彼。
ryok
「嬉しい」
そう思ったのも束の間、
「ごめんね」
静かに、マイクをオンにした。
ryok
wki
wki
wki
ryok
ryok
ryok
wki
wki
wki
ryok
ryok
ryok
涙が、止まらなくなった。
wkiの優しさが、カメラ越しに伝わってくるけど
それを、僕は受け取れるような人じゃない
それは、wkiも分かってるよね、?
ryok
wki
ryok
ryok
これ以上、wkiの声を聞いたら心が壊れちゃう
遮るようにインターホンを切る。
きっと、wkiもインターホンの前で泣き崩れてると思う。
ごめんね
こんな、苦しませて、ごめんね
素直じゃなくてっ、ごめんね
何度も、何度も。
口から出る言葉は
ryok
謝罪だけだった。
インターホンが、切れた
さっきまで、ryokちゃんの声が流れていたインターホンは、 機械音が流れる
wki
心の苦しみを叫ぶように、言った言葉
「全部、全部、僕のせい…だからっ……」
「wkiは…っ、悩まなくてっ……良いか、ら…!」
ぐるぐると、ryokちゃんの言葉が流れる
ryokちゃんは、俺を突き放した。
それがどういう意味なのか
嫌なほど、察しがついた。
もう、分かり合えることは、無いのかな?
ryokちゃんと過ごしていた日々も
悩みを隠していた時も
俺から言った言葉は、ひとつも響いてなかった。
その時から神様は教えてくれてたんだ。
“ふたりが分かり合えることは無い”
と。
なのに、見ぬふりをして傍に居続けた。
時に気持ちを伝えてみたり、
愛情を行動で表現してみたり
『ryokちゃんの為に』と思ってしてきたことは、 数え切れない。
それをいつも「ありがとう」って言って、
ふわっと柔らかく笑顔になって。
そんな表情を見て、満足していた。
今思えば、エゴだったんだな。
そう、冷静に考えた。
風が吹く
そっか、
俺、ずっとryokちゃんの家の前でぼーっとしてたんだな
時間を確認してみれば、23時。
人の家で、2時間も居た。
俺、執着すご。笑
ふと、自嘲する。
空を見上げる
見上げれば、数多の星たち。
星たちに向けて、俺はこう願った。
『ryokちゃんと、また恋人になれますように』
だけど、もう、叶うことは無いんだろうな。