めんたる神
めんたる神
めんたる神
私が好きになったのは
好きになっちゃいけない人だった
好きにならなければこんな苦しい思いはしなかった
好きにならなければこんな幸せな思いはできなかった
どうして私は君の隣にいられないんだろう
君に恋をして私は初めて
恋の痛みと
命の尊さを知った
幼い頃、夜中にそっと家を抜け出して遊びにいった丘で
君がいった言葉が忘れられない
いつものように空を見上げて
飛和
私に、そう、言ったね。
夏の生暖かい風が妙に気持ち悪く感じる。
迷路のように細く、入り組んだ道を行くとある丘の上
真っ暗な夜の丘、ホタルがチカチカとその闇を照らす
そんなロマンチックな様子には私たちにはまだまだ幼すぎた
この間、いつものように家を抜け出して遊びにいった時
満天の星空を二人で見上げて星を数えようとして
その星の多さに、断念したときの事を思い出していたのに
急になに…?
…お星様?
優花
優花
君が死んだら…なんて考えたくもない
飛和
優花
優花
飛和
飛和
優花
優花
飛和
優花
頬を膨らませた私に、飛和はおかしそうに笑った
飛和
優花
飛和
クスクス笑ったあと、暗くなる顔
でもすぐに、無理に笑顔をつくって私に微笑んだ
…飛和?飛和の笑顔、なんかぎこちないよ?
優花
飛和
そう言って、ぎゅっと左胸の辺りを握る飛和
飛和は、生まれつき心臓が悪く、ずっと死と隣り合わせの日々を送ってきた。
あれは幼稚園生の頃だった
皆で仲良く鬼ごっこしていたとき
飛和の寂しそうな羨ましそうな顔を見て私は
優花
飛和
優花
飛和
遠慮する飛和を無理矢理引っ張っていった
優花
友達
友達
友達
その時鬼だった男の子がこちらに向かって走ってきた
優花
飛和
二人で大笑いしながらグラウンドを走り回った
鬼を巻いたところで物陰に隠れた
優花
優花
飛和
飛和
優花
優花
膝をついて悲痛の表情を浮かべる飛和に
必死になって呼び掛けるけど
私の声は届いてないんじゃないかって言うくらい
荒い呼吸を繰り返していた
優花
その事態に気付いた先生が駆け寄り
救急車で運ばれていった
飛和が救急車で運ばれる姿をみて、涙が止まらなかった
飛和が病気なのは知ってたけど
間近で発作を起こした飛和を見るのは、初めてだったから
怖かった……
優花
どうしようこのまま飛和が死んじゃったら…
私良い子になります
ママの言うことちゃんと聞きます
だから…
だから…!
飛和を助けてください…!
5日後
願いが通じたのか
飛和が幼稚園に来た
優花
飛和
そう笑う飛和に泣きながら抱き付いた
飛和
飛和
優花
飛和
飛和
優花
そう笑いながらも苦しそうにしている飛和
飛和も…苦しいんだ…
飛和
そうニカッと笑う飛和
ずっと一緒にいて気付かなかった
雪のように白い肌
色素の薄い髪の毛
クリっとした愛らしい顔つき
女の私でも憧れるその容姿
あぁ、そうか…
飛和が好きなんだ
だけど、
ハッキリと飛和が好きだと気付いたのは、いつだったか覚えていない
でも、気づいたら好きになってた
あの、一件から飛和に近付く子はいなくて
私達はお互いがお互いを必要としていた
私には飛和しかいなかったし
飛和には私しかいなかった
寂しいなんて思うことはなかった
優花
優花
飛和
飛和
私は産まれてすぐに父をなくした
寂しい思いもたくさんしたけど
飛和がいたから乗り越えられた
飛和
優花
そう、約束したのに
優花
優花
ママ
ママ
ママ
優花
優花
ママ
母の言葉を無視して私は家を飛び出した
行き先はもちろんあの丘
飛和
飛和
飛和
優花
飛和
優花
飛和
優花
飛和
優花
優花
飛和
優花
飛和
飛和
優花
優花
飛和
飛和
飛和
優花
優花
飛和
飛和
振り向く瞬間飛和が泣いてたのは気のせいだったのか…わからない
でも、飛和との関係の終わりを告げた
コメント
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めちゃくちゃいい話…と思ったら切ないですね(´;ω;`)