紫羅欄花は愛を知らない

ATTENTION

・nmmn、irxs、mrnkに見覚えのな 　い方はバック ・オメガバースパロ ・互いの幸せのために自衛をよろしく 　お願いします

今作が初投稿となります

拙いですが、楽しんでいただければ 幸いです

それでは、どうぞ ↓

しなやかな指が、上気した肌を撫でる

焦ったいほどゆったりとした 丁寧な愛撫

本能のまま、身勝手に 動いてくれればいいのに

忘れられなくなるような 何処までも優しい愛撫

熱に浮かされた、掠れた声

耳元で響く音が、酷く鮮明で

名前を、呼ばないで欲しかった

それはまるで、愛の営みのようだから

朝になれば甲斐甲斐しく世話を焼かれ 昨夜の記憶に腹の奥が疼く

何処までも理性的に気遣ってくるその 態度が、自分との温度差が、嫌だ

体の芯からジワジワと 抗いようのない熱が 意思に関係なく込み上げてくるのに、俺を覗き込む顔はいつもと 全く変わらなくて

その温度差が、肌身でわかって

無意識にシーツを掴む手に力が籠る

番になって、初めての発情期

利害の一致で成り立つこの関係に、 それ以上もそれ以下の価値もない

発情期が早く鎮まるように 胎に出して貰って終わり

どんなに疼いたとしても その欲にまろを付き合わせるわけには いかない

俺はまろの運命でも なんでもないのだから

第一、この関係は 満たされるためのものじゃない

ただ、互いに事故を防ぐ為に 有益な契約だっただけ

今後何度交わったとしても、 そこにあるのは利害という 簡素な2文字だけ

バタバタと家主が出て行く背を見送る

その背が何処か名残惜しげに 見えたのは、きっと気の所為で

どうでもいい筈の一挙手一投足

その程度のことで揺さぶられる本能が 精神にまで影響を及ぼす

切なげに疼く胎に やり場のない感情が込み上げてきて

酷く、泣きたくなった

ないこの言うことは最もだ

両想いなら、互いに愛し合う関係に あれば、そう有るべきで

でも、だからこそ

今の俺と兄貴では、それができない

番にはなった

利害の一致という名目で

ライブ会場での事故を 互いに防ぐ為の契約

でも、それだけ

俺達は、その程度でしかない

『大事にしてあげなよ』

諦め半分にないこが吐き出した言葉が 胸の奥で小さな蟠りを作る

“大事に”

何を持ってして、“大事”にしていると 言えるのだろう

互いを尊重することを“大事”にする と言うのであれば きっと、大事には出来ている

例えそれが、どんなに冷めた関係に 思えたとしても

ないこは、俺達が番ったことを 知らない

少なくとも、俺の相手が兄貴だとは 知らない

そういう、条件だったから

他愛のない会話のキャッチボールの 中で、胸に残った蟠りは いつまでも消えてくれなかった

閲覧ありがとうございました