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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

プリーメル・シム

魔獣!?なんで…。

プリーメル・シム

魔獣除けの結界は!?

ハワード・オミズ

なにか不備があったんだろうね。コヨミが森との境界を調べに行ってるよ。

ハワード・オミズ

あいつの祝福なら、そろそろ着いててもいい頃だと…。

カレイト・コヨミ

これは…!?

カレイト・コヨミ

…結界が…!

森と居住地区の間には、魔獣除けの結界が張られており、ルストへの魔獣の侵入を防いでいる。

その結界に直径3mほどの穴が空き、バチバチと音を立てている。

カレイト・コヨミ

こちらカレイト。魔獣除けの結界が壊れてた。

ハワード・オミズ

[キリがないわけだ。どうする?]

カレイト・コヨミ

この結界を張ってくれてる能力者と来てる。すぐ張り直してもらうよ。

カレイト・コヨミ

それまで耐えてくれ。

ハワード・オミズ

あの野郎…。

ハワード・オミズ

っく…!数が問題だな、次から次へと…!

リーラ・レモン

コヨミさんが結界の穴のところにいるから、これ以上増えることはないと思うけど…。

ハワード・オミズ

それにしても、既に入って来てる奴らが多すぎるだろ!!

プリーメル・シム

それに…なんでこんなに無差別に人を襲ってるのか…!実力差があれば、大抵逃げ出すはずの弱い魔獣まで…!

刀で魔獣の牙を受け止めながら、ふと、かすかに香る独特の匂いに気付く。

リーラ・レモン

(魔獣たちの集まりよう、昂り、そしておかしな香りは…。)

リーラ・レモン

魔獣寄せの香ですか!

ハワード・オミズ

…ってことは、結界のことも故意か。

ハワード・オミズ

はっ、やってくれるな!

ジェーン

あんなに慌てるなんて、一体何が…。

しばらくすると、 外が騒がしくなってきた。

ジェーン

シムさんの言ってた緊急事態…のせい、かな?

ふと、扉付きで今まで気が付かなかったが、部屋に窓があることに気付く。

不安の解消がしたかったことと、少しの好奇心で、私は窓を開けた。

ジェーン

あれは…魔獣!?

リーラ・レモン

…っく…これじゃキリがないですね。

リーラ・レモン

…仕方ない。

リーラ・レモン

【番人:番犬】

【番人:番犬(ケルベロス)】 冥界の門を守る番犬、ケルベロスを喚び出す。威圧が使えるが、相手により効果が薄れたり、全く効かないこともある。一日に喚び出せる合計時間は30分間。

レモンが指笛を鳴らすと、レモンの背後の空間に裂け目ができ、漆黒の獣が飛び出した。

鋭い眼光と重い威圧感が、魔獣たちの動きを完全に止める。

リーラ・レモン

ケルベロスの縄張りに侵入する愚かな者はいない。

リーラ・レモン

逃げるなら今のうちですよ。

魔獣たちは1、2歩、じりじりと退がったと思うと、一斉に散り散りになっていった。

リーラ・レモン

ふー…これでこの辺り一帯はケルベロスの縄張りになったから、弱い魔獣は勝手に国の外へ出るはずだよ。

リーラ・レモン

あとは残った、強めな魔獣を片付けていこう。

ハワード・オミズ

久しぶりに見たなぁ、ケルベロス…。

ハワード・オミズ

またでかくなってない…?

リーラ・レモン

しばらく喚んでなかったから…。あっちで、逃げ出そうとした死者でも喰らっていたんだろうね。

リーラ・レモン

…さ、残った魔獣も追い払いにいこう。

プリーメル・シム

召喚制限は大丈夫?

リーラ・レモン

予め結界の能力者をコヨミさんと一緒に森との境界へ送っておいたし…

リーラ・レモン

コヨミさんによれば結界は一部分しか壊れていないそうだから、30分あれば十分張り直せるだろうね。

プリーメル・シム

うーん…さすが…。

ハワード・オミズ

俺たちの仕事は残党の処理だけってことだ。じゃ、さっさと終わらせますか。

いくら彼らが強いとは言っても、あの数では苦戦を強いられるだろう。

息を切らしながら、曖昧な記憶でエントランスへ向かう。

ジェーン

(自分が行ったところで、出来ることは何もない。)

だが、このまま何もせずいることだけは嫌だと思った。

ジェーン

前の私とは、違う。

 

同じさ。

ジェーン

っ…!?誰…!?

 

帰るべき場所が、君にはあるだろう?

にこにこと、感情のこもっていない不気味な笑みを浮かべ、私に手を差し出す男。

ジェーン

…あそこは、居場所なんかじゃない。

 

…まぁ、貴女がどう言おうが来てもらいますが。

男がこちらに手を伸ばす。

ジェーン

っく…!

敵わないことはわかっている。しかし、やれるだけ暴れてやろうと覚悟を決めた時、ゴンッ、と鈍い音が響いた。

 

うぐっ…!?

シュテルン・アミ

困るわ〜、なにウチの客人に手出そうとしてくれてんの。

ジェーン

アミさん!?

シュテルン・アミ

やっほ。危機一髪やね。

ジェーン

(ふ、フライパン…?)

不思議そうな顔をして私の視線を辿ったアミさんは、納得したように軽く頷く。

シュテルン・アミ

すぐ使える武器がこれしかなかったんや。

シュテルン・アミ

入口の方に加勢しようと思って、向かってたとこ。

ジェーン

は、はぁ…。

シュテルン・アミ

にしても、一体何者や…。あっ、伸すべきじゃなかったな…聞きそびれた。

ジェーン

アミさんも、戦えるんですか…。

シュテルン・アミ

ん?あぁ、これでも元はみーくん…マガツキさんとかと同じ、軍人なんよ。

アミさんは男の持ち物を漁り、武器の類を投げ捨てながら応える。

シュテルン・アミ

ちょっと怪我して、辞めてしまったけど。まだまだ鈍ってなかったな!

ジェーン

あの…入口のほうは、大丈夫なんですか?

シュテルン・アミ

多分大丈夫やろ。私も一応、ってだけやったし。

ジェーン

でも…あんな量の魔獣、いくらみなさんでも危険なんじゃ…?

…と、油断して男に背を向けて話していたのがまずかった。

目を覚ましたらしい男が、アミさんの背後から襲いかかった。知らせる暇もない。

シュテルン・アミ

…残念でした。

アミさんの拳が、男の腹部に決まった。

シュテルン・アミ

よかったー、これで何処の奴らか聞き出せるわ。

うめき声をあげて座り込んだ男を覗き込みながら、笑顔でそう言うアミさん。

ジェーン

(正直…ちょっと怖い!!)

シュテルン・アミ

…ジェーンさん。

ジェーン

はっ、はい!?

シュテルン・アミ

地下一階まで降りて、左の突き当たりの部屋にみーくんが居る。

シュテルン・アミ

騒動が落ち着くまでそこに居って。

ジェーン

え…アミさんは…?

シュテルン・アミ

私もすぐ行くよ。

ジェーン

地下一階の左の突き当たり…。わかりました。

シュテルン・アミ

…そんで?君は私と少しお話しよか。

シュテルン・アミ

オミズさんを襲った奴もアンタも、みんな同じ組織の人間やろ?どこの人?王国?帝国?

 

……。

シュテルン・アミ

…ま、ええわ、口を割らす術はいくらでもあるしな。

シュテルン・アミ

今言っといた方が良かったって、後悔するで。

シュテルン・アミ

もしもし、オミズさん?

ハワード・オミズ

[はい?なんかあった?]

シュテルン・アミ

お、その感じやと落ち着いたみたいやな。

ハワード・オミズ

[ケルベロスのおかげでね。で、どうかした?]

シュテルン・アミ

侵入者を発見した。捕縛は済んどる。

シュテルン・アミ

魔獣のどさくさに侵入者…これはなんか裏があるで。

ハワード・オミズ

[…なるほどね、俺もこの騒動が気にかかってたところだよ。あとで会議だね。]

シュテルン・アミ

せやな。また連絡する。

シュテルン・アミ

…さーてと…身分証明できそうなもんは…お、これか。

シュテルン・アミ

…アンタ、王国の傭兵なんやな。

アミが男のポケットから取り出したのは、王国の傭兵であることを示すピンバッジ。嵌め込まれた水晶が映し出すのは、今座り込んでいる男の顔だった。

シュテルン・アミ

流石王国。凝っとるなぁ。

シュテルン・アミ

(王国の傭兵のピンバッジは、証明書みたいなもん。祝福で作られとるから偽造も不可能…。)

シュテルン・アミ

(だから潜入が面倒や、ってキナリさんが言うてたなぁ…。)

 

……。

シュテルン・アミ

じゃあ、さっさとみーくんのとこに…。

そう言って、アミが男に背を向けた瞬間。

ザシュッ、という音とともに、鋭い痛みが腹部に走った。

シュテルン・アミ

はっ…?

シュテルン・アミ

(刃物…?なんで…!?さっき、武器類は全部…奪った、はず、なのに…。)

意識が遠のいていく中で、男が素早く窓から逃げていくのがぼんやりと見えた。

シュテルン・アミ

ぐっ……く、そ…。

To be continued—

ジェーン・ドウの偽言

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